CHAPTER 09 4 / 8
スコープクリープを防ぐ
要望が少しずつ増えて、気づくと元の計画の倍になる「スコープクリープ」。起きる仕組みと、防ぐための決まりごとを紹介します。会話と具体例つきで、やさしく読めます。現場の例で学べます。
約5分で読めます
段取り教室の目次(章と記事の一覧)
1. プロジェクト管理ってなに?
2. 課題管理入門
4. ガントチャート入門
5. 見積もりとスケジュール
6. 進捗管理と報告
7. チームのコミュニケーション
8. Web制作の現場で
この記事の内容
この記事でわかること
- スコープクリープが起きる仕組みがわかる
- 防ぐ4つの方法がわかる
- 断らずに返す言い方がわかる
最初は「ちょっと足すだけ」だったのに、気づけば元の計画の倍になっていた。そんな現場では、何が起きているのでしょう。
スコープクリープとは
スコープは「作る範囲」、クリープは「じわじわ這い寄ること」です。範囲が、少しずつ、知らないうちに広がっていくことを、スコープクリープと呼びます。
怖いのは、1 件 1 件は小さく見えて、誰も「増えた」と思わないことです。気づくと、日程も費用も、足りなくなっています。
この図は、追加の要望が積み重なって、作業が増えていく様子の例です(数字は架空です)。
なぜ起きるのか
- 要件の範囲が、あいまいに書かれている
- 見たことで、お客さんに新しい考えが浮かぶ(自然なことです)
- 「いい人でいたい」気持ちで、断れない
- 追加の影響を、数字で見せていない
防ぐ 4 つの方法
1. 範囲を、文章で決めておく
「やること」と「やらないこと」を、要件に書きます(要件定義と合意)。範囲が決まっていれば、「これは範囲外です」と、冷静に言えます。
2. 追加は、受ける前に確認する
追加依頼が来たら、内容、目的、作業量、日程、費用の影響を確認します(追加依頼・仕様変更の扱い)。
3. 「次の機会」の置き場を作る
今回は入れられない良いアイデアを、捨てずに置く場所を作ります。「第 2 弾の候補」と名づけると、お客さんも安心します。
この図は、今回の範囲と、「第 2 弾の候補」の置き場を、列に分けたものです。強調したカードは、いま相談しているものです。
今回の範囲3
相談中1
第 2 弾の候補2
たとえば、こんな画面です。公開の節目ごとに、マイルストーンを置いて、進み具合を見られます。

- 「β版リリース」「正式公開」のように、節目が並んでいます。
- 「件数」と「工数」の線で、節目ごとの進み具合がわかります。
4. 変えるなら、何かを足し引きする
日程が決まっているなら、増やす分、別のものを減らすか、日程を延ばします。「全部、同じ日程で」は、できません。
| 追加したいもの | 選べる方法 |
|---|---|
| ブログ機能 | 費用を追加/別の機能と入れ替える/第 2 弾に回す |
気づくための工夫
週の定例で、「元の計画から、増えたものはありますか?」と聞きます。小さな増加を、そのつど見える形にすると、積み重なりに気づけます。
言い方の例
追加の依頼を、お客さんに返すときの言い方の例です。
- 「いいアイデアですね。今の日程だと、この作業が入ります。費用と日程を、あとでまとめてお送りします」
- 「今回の公開には、間に合いそうにありません。第 2 弾で、一緒に考えませんか」
否定せず、次の行動を示すのがコツです。
まとめ
- スコープクリープは、範囲が少しずつ広がる現象。
- 範囲を文章で決め、追加は受ける前に確認する。
- 「第 2 弾の候補」の置き場を作る。
- 増やすなら、日程や費用、他の内容とセットで決める。
akamine でやるなら
追加の依頼は、「追加」のラベルをつけた課題にしておくと、一覧で絞り込めて、いくつ増えたかが数えられます。元の計画との差が、見えてきます。ラベル と 絞り込み の記事を見てください。

- 「絞り込み」から、ステータスや担当者、期限などの条件で課題を絞れます。
- 一覧の右上の件数(19 件)が、絞り込んだ数に合わせて変わります。