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CHAPTER 08 3 / 14

要件定義と合意

作るもの・作らないものを文章にして、お客さんと合意する「要件定義」の考え方と、決めることのチェックリストを、新人ディレクター向けに説明します。会話と具体例つきで、やさしく読めます。

約6分で読めます

ひなた桜井さん虎田さん ★★ ふつう
Web制作の現場でのイメージ
段取り教室の目次(章と記事の一覧)
1. プロジェクト管理ってなに?
2. 課題管理入門
3. カンバン入門
4. ガントチャート入門
5. 見積もりとスケジュール
6. 進捗管理と報告
7. チームのコミュニケーション
8. Web制作の現場で
9. リスクとトラブル
10. ツール選びと定着
この記事の内容

この記事でわかること

  • 要件定義で決めることがわかる
  • 「やらないこと」を書く理由がわかる
  • 合意を記録に残す手順がわかる

お客さんの希望は聞いた。でも、そのまま作り始めて、あとから「そんなつもりじゃなかった」と言われたことはありませんか?

ヒアリングが終わって、ひなたは満足そうです。

ひなた
ひなた桜井さんの希望は全部聞きました! あとは作るだけですね。
虎田さん
虎田さん聞いたことを「作るもの」に変える作業が残っているよ。
ひなた
ひなた同じことではないんですか?
虎田さん
虎田さん桜井さんは「予約もできるといい」と言った。それは、メールフォーム? 電話? それとも決済つきの予約システム?
ひなた
ひなた全然、費用が違います……!

要件定義とは

要件定義は、「何を作るか」を、お客さんと作る側が同じ言葉で決める作業です。「要件」は、お客さんの目的を満たすために必要な条件のことです。

決めた内容は文章にして、お客さんの合意をもらいます。これが後の工程の「約束の書類」になります。

決めることのチェックリスト

  • 目的とゴール: 公開後に何がどうなればうまくいったと言えるか
  • 対象ページ: 作るページの一覧(あとで サイトマップ にする)
  • 機能: お問い合わせフォーム、予約、お知らせの更新など
  • やらないこと: 今回は含めないもの(多言語対応、会員機能など)
  • お客さんが用意するもの: 原稿、写真、ロゴ、各種アカウント
  • スケジュールと公開日: 公開日に決まりがあるか
  • 費用と支払い: 見積もり、支払い条件
  • 公開後の運用: 誰が更新するか、保守はどうするか

たとえば、こんな画面です。要件を 1 つのページにまとめておけます。

目的・範囲・スケジュール・決まっていることが並ぶ要件のドキュメント
目的・範囲・スケジュール・決まっていることが並ぶ要件のドキュメント
  • 見出しが「目的」「範囲」「スケジュール」「決まっていること」の順に並んでいます。
  • 右の目次から、見たい項目へ移れます。

「やらないこと」を書く理由

虎田さん
虎田さんいちばん大事なのは、実は「やらないこと」だよ。
ひなた
ひなた載せることより、ですか?
虎田さん
虎田さん書いていないことは、お客さんは「入っている」と思いがちなんだ。

たとえば「スマホ対応」と書いても、「アプリのように動く」と期待されるかもしれません。「表示を画面幅に合わせる」まで書いておけば、期待のずれを防げます。

この図は、同じ内容を、あいまいに書いた場合と、期待がそろうように書いた場合で比べたものです。

あいまいな書き方
期待がそろう書き方
スマホ対応
表示を画面幅に合わせる(アプリのような動きは含まない)
予約ができる
メールフォームで受け付ける(決済は含まない)
更新できる
お知らせだけ、お客さんが更新できる
「やらないこと」まで書くと、期待がずれにくい

合意は「見える形」でもらう

口頭の「いいですよ」では、あとで「そんなつもりでは」となりがちです。

この図は、合意をもらうまでの 4 つの手順を表します。

  1. 1
    要件を A4 で 1〜2 枚にまとめる
  2. 2
    打ち合わせで読み合わせる

    質問に答える

  3. 3
    記録の残る形で返事をもらう

    「この内容で進めます」とメールなどで

  4. 4
    合意した日付と版を残す
合意を「見える形」でもらう手順

要件が決まらないときは

お客さん自身が、まだ決められないこともあります。そのときは、無理に決めず、「決まっていないこと」を一覧にして、いつまでに誰が決めるかを書きます。 決めない状態のまま進むのと、決めていないと自覚して進むのとでは、あとの混乱が大きく違います。

この図は、要件を「決まった」「宿題」「やらない」の 3 列に分けたものです。強調したカードが、決める人と期限を書く対象です。

決まった3

対象ページの一覧
お問い合わせフォーム
公開日

宿題(決める人と期限を書く)2

予約の受け方
写真の撮影をどうするか

やらないこと2

多言語対応
会員機能
決まっていないことは、宿題として見える場所に置く

合意をもらう前に、次の 4 つを確かめましょう。

  • 「やらないこと」が書いてある
  • 決まっていないことが一覧になっている
  • お客さんの宿題に期限がある
  • 記録の残る形で返事をもらえる
合意の前の最終確認

まとめ

  • 要件定義は、「何を作るか」を同じ言葉で決める作業。
  • 目的、ページ、機能、やらないこと、お客さんの宿題、日程、費用を決める。
  • 「やらないこと」を書くと、期待のずれが減る。
  • 合意は、記録の残る形でもらう。
とらまる
とらまる書いていないことは「入ってる」と思われるよ。

akamine でやるなら

要件はドキュメントに書いておけば、変更の履歴が残ります。要件の 1 項目ごとに課題をつくると、「決まったこと」と「作業」がつながります。ドキュメント と 課題の履歴 を見てください。

会話にステータスの変更や工数の記録の履歴が並ぶ課題の詳細
会話にステータスの変更や工数の記録の履歴が並ぶ課題の詳細
  • 会話を「すべて」にすると、コメントと、ステータスの変更や工数の記録が時間順に並びます。
  • 「誰がいつ変えたか」が残るので、あとから経緯をたどれます。

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