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CHAPTER 08 1 / 12

現場の声を聞く

業務アプリづくりの最初の一歩、現場へのヒアリングの考えかたを解説。「何を作りたいか」ではなく「何に困っているか」を聞くコツと、聞いた内容の整理のしかたを紹介します。

約6分で読めます

サトルさん工藤さんユウキ
アプリづくりの考えかたのイメージ
現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
7. 在庫・備品・資産を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
11. 失敗しないための注意
この記事の内容

この記事でわかること

  • 要望ではなく困りごとを聞く理由がわかる
  • 現場でのヒアリングの進めかたがわかる
  • 聞いた内容を三つに整理できる

「現場のために作ったのに、使われない」。その原因は、作り始める前に決まっていることがよくあります。

ユウキ
ユウキサトルさん、点検記録のアプリを作るんですよね。項目はどう決めましょうか。
サトルさん
サトルさんその前に、工藤さんに話を聞きに行きましょう。
ユウキ
ユウキ項目の案なら、僕がもう考えてきましたよ。
サトルさん
サトルさんありがとうございます。ただ、それは「現場の人が困っていること」とつながっていますか?
工藤さん
工藤さん……俺は、今の紙で困ってはいない。

アプリづくりで最初につまずくのは、技術ではなく、「何を作るか」の決めかたです。作る側の想像で作ったアプリは、現場に使われないことがよくあります。

「要望」ではなく「困りごと」を聞く

「こんなアプリがほしい」という要望は、現場の人が思いつく範囲の解決策です。それより、現場で起きていること、困っていることを聞くほうが、アプリの設計に役立ちます。

聞きかた得られるもの
「どんな機能がほしいですか?」思いつきの機能。使われないことも多い
「いちばん面倒な作業は何ですか?」本当に楽にしてほしいこと
「間違えやすいところはどこですか?」入力チェックの設計のヒント
「この記録は、あとで誰が見ますか?」記録の目的と項目の優先順位

ヒアリングの進めかた

進めかたは、次の4つです。

  1. 1
    現場で、実物を見ながら聞く

    作業している場所で、紙やExcelを見せてもらう

  2. 2
    「やっていること」を順に聞く

    朝から夕方までの流れを話してもらう

  3. 3
    紙のムダも、紙の良さも聞く

    良さは、設計の条件になる

  4. 4
    記録を「見る人」にも聞く

    事務・上長・品質担当

ヒアリングの進めかた

1. 現場で、実物を見ながら聞く

会議室で聞くより、作業している場所で、実際に使っている紙やExcelを見せてもらいます。「ここはなぜ書くのですか」「これは使っていますか」と聞くと、書類の意味がわかります。

2. 「やっていること」を順に聞く

朝から夕方までの流れを、順番に話してもらいます。どのタイミングで記録するか、誰に渡すかがわかります。

3. 紙のムダも、紙の良さも聞く

聞いたことを画面の設計に変えるイメージは、たとえば次の画面です。スマホの入力画面は、項目が縦に並び、下に大きめの保存ボタンが固定されています。

スマホで開いた設備点検の入力画面。設備の欄にスキャンのボタンがあり、下に保存ボタンが固定されている
スマホで開いた設備点検の入力画面。設備の欄にスキャンのボタンがあり、下に保存ボタンが固定されている
  • 保存ボタンが大きく、指で押しやすい形です。
  • 設備の欄はスキャンで入れられるので、打つ手間が減ります。
工藤さん
工藤さん紙のほうが早いこともある。手袋のままで書ける。
サトルさん
サトルさんそこが大事です。その良さを、アプリでも残さないといけません。
ユウキ
ユウキ手袋のままでも押せる、大きいボタンにするとか、ですね。

「紙のほうがいい」という意見は、反対ではなく、設計の条件です。紙の良さが分かれば、それを守りながら置き換えられます。

4. 記録を「見る人」にも聞く

記録を書く人だけでなく、その記録を後で使う人(事務、上長、品質担当)にも話を聞きます。書く人にとっては不要な項目が、見る人には必須、ということがあります。

見る人の目線は、たとえば次の一覧です。点検の記録が並び、「不具合 2件」「問題なし 6件」のように、結果がひと目でわかります。

設備点検・保守記録の一覧。設備・点検日・点検者・点検の種類・点検チェックリストの結果が並ぶ
設備点検・保守記録の一覧。設備・点検日・点検者・点検の種類・点検チェックリストの結果が並ぶ
  • 「点検チェックリスト」の列で、不具合の有無を拾えます。
  • 「設備」「点検日」「点検者」の列で、いつ・どの設備かがわかります。

聞いた内容の整理

聞いた内容は、次の三つに分けて、メモします。

  • 困っていること: 面倒、間違いやすい、時間がかかる
  • 守りたいこと: 紙の良さ、今のやり方で上手くいっていること
  • 使う場面: 場所、道具、時間(手袋、騒音、片手、立ったまま、など)
1困っていること

面倒・間違いやすい・時間がかかる

2守りたいこと

紙の良さ、うまくいっている今のやり方

3使う場面

場所・道具・時間。手袋、片手、立ったまま

聞いた内容は、この三つの箱に分けてメモする

まとめ

  • アプリの設計は、要望ではなく「困りごと」の聞き取りから始める
  • 作業の場所で、実物の紙を見ながら聞く
  • 「紙の良さ」は設計の条件。守りながら置き換える
  • 記録を書く人と、見る人の両方に聞く
  • 小さく始めて、使いながら聞き続ける

Formia でやるなら

聞き取った内容から、まず作る範囲を絞ります。Formiaには、顧客管理・日報・備品管理・設備点検などのひな形があり、近いものから始めて、現場に合わせて直せます(アプリのひな形、アプリを作る)。項目の追加や並べ替えは、画面上でドラッグして行えます(フォームデザイナー)。

設計モードのアプリ一覧。業務アプリが並び、ひな形から作ったものも同じ形で管理できる
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