CHAPTER 08 1 / 12
現場の声を聞く
業務アプリづくりの最初の一歩、現場へのヒアリングの考えかたを解説。「何を作りたいか」ではなく「何に困っているか」を聞くコツと、聞いた内容の整理のしかたを紹介します。
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現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
この記事の内容
この記事でわかること
- 要望ではなく困りごとを聞く理由がわかる
- 現場でのヒアリングの進めかたがわかる
- 聞いた内容を三つに整理できる
「現場のために作ったのに、使われない」。その原因は、作り始める前に決まっていることがよくあります。
アプリづくりで最初につまずくのは、技術ではなく、「何を作るか」の決めかたです。作る側の想像で作ったアプリは、現場に使われないことがよくあります。
「要望」ではなく「困りごと」を聞く
「こんなアプリがほしい」という要望は、現場の人が思いつく範囲の解決策です。それより、現場で起きていること、困っていることを聞くほうが、アプリの設計に役立ちます。
| 聞きかた | 得られるもの |
|---|---|
| 「どんな機能がほしいですか?」 | 思いつきの機能。使われないことも多い |
| 「いちばん面倒な作業は何ですか?」 | 本当に楽にしてほしいこと |
| 「間違えやすいところはどこですか?」 | 入力チェックの設計のヒント |
| 「この記録は、あとで誰が見ますか?」 | 記録の目的と項目の優先順位 |
ヒアリングの進めかた
進めかたは、次の4つです。
- 1現場で、実物を見ながら聞く
作業している場所で、紙やExcelを見せてもらう
- 2「やっていること」を順に聞く
朝から夕方までの流れを話してもらう
- 3紙のムダも、紙の良さも聞く
良さは、設計の条件になる
- 4記録を「見る人」にも聞く
事務・上長・品質担当
1. 現場で、実物を見ながら聞く
会議室で聞くより、作業している場所で、実際に使っている紙やExcelを見せてもらいます。「ここはなぜ書くのですか」「これは使っていますか」と聞くと、書類の意味がわかります。
2. 「やっていること」を順に聞く
朝から夕方までの流れを、順番に話してもらいます。どのタイミングで記録するか、誰に渡すかがわかります。
3. 紙のムダも、紙の良さも聞く
聞いたことを画面の設計に変えるイメージは、たとえば次の画面です。スマホの入力画面は、項目が縦に並び、下に大きめの保存ボタンが固定されています。

- 保存ボタンが大きく、指で押しやすい形です。
- 設備の欄はスキャンで入れられるので、打つ手間が減ります。
「紙のほうがいい」という意見は、反対ではなく、設計の条件です。紙の良さが分かれば、それを守りながら置き換えられます。
4. 記録を「見る人」にも聞く
記録を書く人だけでなく、その記録を後で使う人(事務、上長、品質担当)にも話を聞きます。書く人にとっては不要な項目が、見る人には必須、ということがあります。
見る人の目線は、たとえば次の一覧です。点検の記録が並び、「不具合 2件」「問題なし 6件」のように、結果がひと目でわかります。

- 「点検チェックリスト」の列で、不具合の有無を拾えます。
- 「設備」「点検日」「点検者」の列で、いつ・どの設備かがわかります。
聞いた内容の整理
聞いた内容は、次の三つに分けて、メモします。
- 困っていること: 面倒、間違いやすい、時間がかかる
- 守りたいこと: 紙の良さ、今のやり方で上手くいっていること
- 使う場面: 場所、道具、時間(手袋、騒音、片手、立ったまま、など)
面倒・間違いやすい・時間がかかる
紙の良さ、うまくいっている今のやり方
場所・道具・時間。手袋、片手、立ったまま
まとめ
- アプリの設計は、要望ではなく「困りごと」の聞き取りから始める
- 作業の場所で、実物の紙を見ながら聞く
- 「紙の良さ」は設計の条件。守りながら置き換える
- 記録を書く人と、見る人の両方に聞く
- 小さく始めて、使いながら聞き続ける
Formia でやるなら
聞き取った内容から、まず作る範囲を絞ります。Formiaには、顧客管理・日報・備品管理・設備点検などのひな形があり、近いものから始めて、現場に合わせて直せます(アプリのひな形、アプリを作る)。項目の追加や並べ替えは、画面上でドラッグして行えます(フォームデザイナー)。
