CHAPTER 09 1 / 10
アプリが使われない理由
せっかく作った業務アプリが、現場で使われなくなるのはなぜか。「手間が増える」「やる理由が見えない」など、よくある原因と、使われるアプリに近づける考え方をやさしく解説します。
約6分で読めます
現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
この記事の内容
この記事でわかること
- アプリが使われなくなる5つの理由がわかる
- 「紙より楽」を目安にできる
- 入力する人の得を用意する大切さがわかる
せっかく作ったアプリなのに、気づけば現場は紙に戻っている。そんな経験はありませんか。
「使われない」には理由がある
使われないアプリは、たいてい怠けているわけではなく、使うと損をするから使われません。現場の人は、毎日の仕事で手いっぱいです。新しいやり方が、今のやり方より少しでも手間なら、元に戻るのは自然なことです。
よくある理由を、現場の言葉に直すと次のようになります。
| 現場の本音 | 裏にある原因 |
|---|---|
| 紙のほうが早い | 入力の手間が、紙より多い |
| 結局、二重で書いている | 紙をやめる日が決まっていない |
| 何のために書くのかわからない | 集めたデータが、本人に返ってこない |
| 使い方がわからない | 説明が長い、または誰にも聞けない |
| 自分には関係ない | 作る前に、現場の話を聞いていない |
どれも、アプリの機能の問題ではありません。やり方と進め方の問題です。
原因1: 手間が減っていない
アプリにしたのに、入力項目が紙より増えていることがあります。「あとで集計に使えそうだから」と項目を足していくと、書く人の負担だけが増えます。
目安は、紙より短い時間で終わることです。選ぶだけで済む項目は選択式にする、前回の値を引き継ぐ、といった工夫で、まず「楽になった」を作ります。
たとえば、こんな画面です。日付も担当も、押して選ぶだけで入るようにすると、紙より短く終わります。

- 日付の下の「今日」「昨日」のボタンで、打たずに入力できる
- 報告者や部署は、一覧から選ぶ形になっている
- 下の「必須はすべて入力済み」で、書き漏れがその場でわかる
原因2: 二重入力のまま
紙をやめないまま「アプリにも入れてください」と頼むと、仕事が2倍になります。これは、ほぼ必ず嫌われます。
先に、いつから紙をやめるかを決めておきます。並行して使う期間を短く区切り、終わりの日を全員に伝えておくのがコツです。
この図は、手間の増えたアプリが、どう使われなくなっていくかを表します。強調した「二重に書く」の段で、早めに手を打ちます。
原因3: 入力した人に、いいことがない
毎日入力しても、誰がそれを見ているのかわからない。これもやる気をそぐ原因です。
入力したデータが、自分の仕事に返ってくる仕組みを作ります。たとえば次のようなものです。
- 自分の入力した記録が、一覧ですぐ見返せる
- 月末の集計を、人に頼まずに自分で出せる
- 前回の点検結果を、次の点検のときに見られる
たとえば、入力した記録が、こんな一覧にすぐ並びます。

- 上の検索欄から、設備番号や点検者で探せる
- 右上の「変更履歴」から、直した跡も見られる
原因4: 作る前に聞いていない
画面を作ってから「使ってください」では、現場の人には押し付けに見えます。先に現場の話を聞き、一緒に作ったという感覚をもってもらうと、使われ方がまるで変わります。ベテランの意見を取り入れることは、そのまま定着の近道です(次の記事で詳しく扱います)。
次の図は、アプリを入れる前の確認です。1つでも空いていたら、そこから手を打ちます。
- 入力は、紙より短い時間で終わる
- 紙をやめる日を決めて、全員に伝えた
- 入力した人が、自分の記録を見返せる
- 作る前に、現場の話を聞いた
- 使い方を聞ける人が、現場にいる
まとめ
- 使われない原因の多くは、アプリのできではなく、手間・二重入力・見返りのなさにある
- 目安は「紙より短い時間で終わる」こと
- 紙をやめる日を、先に決めておく
- 入力する人にも、見返せる・探せるという得を用意する
- 作る前に現場の話を聞き、一緒に作った形にする
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