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CHAPTER 08 2 / 12

『何を記録するか』を決める

業務アプリの設計で最も大切な「何を記録するか」の決めかたを解説。使い道から逆算して項目を選ぶ方法と、記録の一件の単位をどう切るかの考えかたを紹介します。現場の例つきで説明します。

約6分で読めます

サトルさん玲子さん ★★ ふつう
アプリづくりの考えかたのイメージ
現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
7. 在庫・備品・資産を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
11. 失敗しないための注意
この記事の内容

この記事でわかること

  • 記録の項目を使い道から逆算できる
  • 「一件」の単位の切りかたがわかる
  • 記録しないと決める判断ができる

点検表の欄は、増える一方。そろそろ、本当に必要な欄はどれなのかを、見直してみませんか。

玲子さん
玲子さん現場の点検表を、そのままアプリにしてほしいと言われています。
サトルさん
サトルさん今の点検表には、何項目ありますか?
玲子さん
玲子さん四十項目近くあります。長年の追加で、増える一方でして。
サトルさん
サトルさんその四十項目、全部が使われていますか?
玲子さん
玲子さん……正直、誰も見ていない欄もあると思います。

紙やExcelの帳票は、足し算で増えていきます。誰かが「これも書いてほしい」と言うたびに、欄が増えます。アプリにするときは、この機会に、記録の中身を見直せます。

記録の目的から逆算する

記録は、「あとで何かに使う」ために残すものです。使い道が決まっていない項目は、書く人の負担だけが増えます。

使い道必要な記録の例
異常を見つける測定値、判定(良・否)、写真
履歴を追う日付、対象(設備番号)、担当者
請求・報告に使う金額、数量、相手先
監査や法令の確認確認者、確認日、承認の記録

項目ごとに「これは誰が、いつ、何のために見るのか」と問います。答えが出ない項目は、削る候補です。

使い道から項目をたどると、次のような木になります。

  • 点検の記録
    • 異常を見つける
      • 測定値
      • 判定(良・否)
      • 写真
    • 履歴を追う
      • 日付
      • 設備番号
      • 担当者
    • 監査や法令の確認
      • 確認者
      • 確認日
使い道から逆算した、点検記録の項目の例。使い道がぶら下がらない項目は削る候補

木の枝にぶら下がらない項目があれば、それが「誰も見ていない欄」です。

迷う項目の判断

  • 誰も見ていない → 削る
  • 見る人はいるが、別の記録からわかる → 削る(二重に書かない)
  • たまにしか使わない → 「任意」にする、または別の画面に分ける
  • 法令や契約で必須 → 残す

一件の単位を決める

「一件」の単位をどう切るかは、あとで集計するときの便利さを決めます。

業務一件の単位の例集計でわかること
点検設備1台 × 1回の点検設備ごとの履歴、不具合の頻度
日報1人 × 1日人別の稼働、日ごとの作業
見積1つの見積書受注率、金額の推移
備品1つの備品状態、場所の一覧

「点検1回につき1件」ではなく「点検表1枚に設備5台分」を一件にすると、設備ごとの履歴を取るのが難しくなります。

点検表1枚に5台分
設備1台ごとに1件
設備ごとの履歴を取りにくい
設備別の履歴が、自然に残る
不具合の頻度が数えにくい
月ごとの不具合の傾向が見える
1件が大きく、入力に時間がかかる
1件が小さく、入力が軽い
一件の単位を、点検表1枚にするか、設備1台にするかの違い

設備1台ごとに1件にすると、たとえば次の一覧のようになります。1行が1台・1回の点検で、設備・点検日・点検者が並びます。

設備点検・保守記録の一覧。1行が1台の設備の1回の点検で、設備・点検日・点検者・点検の種類が並ぶ
設備点検・保守記録の一覧。1行が1台の設備の1回の点検で、設備・点検日・点検者・点検の種類が並ぶ
  • 設備の列を見ると、同じ設備の点検が日付ごとに複数行並んでいるのがわかります。
  • 行が1回の点検なので、設備別の履歴が自然にたまります。
玲子さん
玲子さん今の点検表は、一枚に五台分を書く形です。
サトルさん
サトルさん一台ごとに一件にすると、設備別の履歴が自然に残りますよ。
玲子さん
玲子さんたしかに、月ごとの不具合の傾向を見たいと思っていました。

記録しないことも決める

  • 別のシステムで管理しているもの(顧客の詳細など)は、参照だけにする
  • 毎回同じになる値は、記録せず既定値にする
  • 自動でわかるもの(日付、入力者)は、人が書かない

たとえば、日報の入力画面では、報告日の下に「今日」「昨日」のボタンがあり、報告者には本人の名前が入っています。書く人が打つのは、その日の内容だけです。

日報・作業報告の入力画面。報告日の下に「今日」「昨日」のボタン、報告者に名前が入っている
日報・作業報告の入力画面。報告日の下に「今日」「昨日」のボタン、報告者に名前が入っている
  • 報告日は、ボタンを押すだけで入ります。
  • 報告者・部署は、選んだ状態で始まっています。

見直しは一度で終わらせない

記録の項目は、運用しながら育てるものです。使ってみて「これは要らなかった」「あれが欲しい」が出たら、そのつど見直します。最初に完璧を目指さず、定期的に見直す前提で始めると、気楽に決められます。

  • 項目ごとに、誰が・いつ・何のために見るかを言える
  • 誰も見ていない項目を、削る候補にした
  • 「一件」の単位を、あとで見たい集計から決めた
  • 自動でわかる値は、人が書かない形にした

まとめ

  • 記録の項目は、使い道から逆算して決める
  • 誰も見ていない・二重になっている項目は、削る
  • 「一件」の単位は、あとで見たい集計から決める
  • 記録しないと決めることも、設計の大事な仕事

Formia でやるなら

Formiaでは、アプリのデータは「列(項目)」の集まりで、テーブル構成の画面で名前と型を確認できます。項目は後から足したり、並べ替えたりできるので、最初は絞って始められます(フォームデザイナー、項目の種類)。

テーブル構成の画面。列の名前・型・必須の設定が縦に並ぶ
テーブル構成の画面。列の名前・型・必須の設定が縦に並ぶ

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