CHAPTER 08 2 / 12
『何を記録するか』を決める
業務アプリの設計で最も大切な「何を記録するか」の決めかたを解説。使い道から逆算して項目を選ぶ方法と、記録の一件の単位をどう切るかの考えかたを紹介します。現場の例つきで説明します。
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現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
この記事でわかること
- 記録の項目を使い道から逆算できる
- 「一件」の単位の切りかたがわかる
- 記録しないと決める判断ができる
点検表の欄は、増える一方。そろそろ、本当に必要な欄はどれなのかを、見直してみませんか。
紙やExcelの帳票は、足し算で増えていきます。誰かが「これも書いてほしい」と言うたびに、欄が増えます。アプリにするときは、この機会に、記録の中身を見直せます。
記録の目的から逆算する
記録は、「あとで何かに使う」ために残すものです。使い道が決まっていない項目は、書く人の負担だけが増えます。
| 使い道 | 必要な記録の例 |
|---|---|
| 異常を見つける | 測定値、判定(良・否)、写真 |
| 履歴を追う | 日付、対象(設備番号)、担当者 |
| 請求・報告に使う | 金額、数量、相手先 |
| 監査や法令の確認 | 確認者、確認日、承認の記録 |
項目ごとに「これは誰が、いつ、何のために見るのか」と問います。答えが出ない項目は、削る候補です。
使い道から項目をたどると、次のような木になります。
- 点検の記録
- 異常を見つける
- 測定値
- 判定(良・否)
- 写真
- 履歴を追う
- 日付
- 設備番号
- 担当者
- 監査や法令の確認
- 確認者
- 確認日
- 異常を見つける
木の枝にぶら下がらない項目があれば、それが「誰も見ていない欄」です。
迷う項目の判断
- 誰も見ていない → 削る
- 見る人はいるが、別の記録からわかる → 削る(二重に書かない)
- たまにしか使わない → 「任意」にする、または別の画面に分ける
- 法令や契約で必須 → 残す
一件の単位を決める
「一件」の単位をどう切るかは、あとで集計するときの便利さを決めます。
| 業務 | 一件の単位の例 | 集計でわかること |
|---|---|---|
| 点検 | 設備1台 × 1回の点検 | 設備ごとの履歴、不具合の頻度 |
| 日報 | 1人 × 1日 | 人別の稼働、日ごとの作業 |
| 見積 | 1つの見積書 | 受注率、金額の推移 |
| 備品 | 1つの備品 | 状態、場所の一覧 |
「点検1回につき1件」ではなく「点検表1枚に設備5台分」を一件にすると、設備ごとの履歴を取るのが難しくなります。
設備1台ごとに1件にすると、たとえば次の一覧のようになります。1行が1台・1回の点検で、設備・点検日・点検者が並びます。

- 設備の列を見ると、同じ設備の点検が日付ごとに複数行並んでいるのがわかります。
- 行が1回の点検なので、設備別の履歴が自然にたまります。
記録しないことも決める
- 別のシステムで管理しているもの(顧客の詳細など)は、参照だけにする
- 毎回同じになる値は、記録せず既定値にする
- 自動でわかるもの(日付、入力者)は、人が書かない
たとえば、日報の入力画面では、報告日の下に「今日」「昨日」のボタンがあり、報告者には本人の名前が入っています。書く人が打つのは、その日の内容だけです。

- 報告日は、ボタンを押すだけで入ります。
- 報告者・部署は、選んだ状態で始まっています。
見直しは一度で終わらせない
記録の項目は、運用しながら育てるものです。使ってみて「これは要らなかった」「あれが欲しい」が出たら、そのつど見直します。最初に完璧を目指さず、定期的に見直す前提で始めると、気楽に決められます。
- 項目ごとに、誰が・いつ・何のために見るかを言える
- 誰も見ていない項目を、削る候補にした
- 「一件」の単位を、あとで見たい集計から決めた
- 自動でわかる値は、人が書かない形にした
まとめ
- 記録の項目は、使い道から逆算して決める
- 誰も見ていない・二重になっている項目は、削る
- 「一件」の単位は、あとで見たい集計から決める
- 記録しないと決めることも、設計の大事な仕事
Formia でやるなら
Formiaでは、アプリのデータは「列(項目)」の集まりで、テーブル構成の画面で名前と型を確認できます。項目は後から足したり、並べ替えたりできるので、最初は絞って始められます(フォームデザイナー、項目の種類)。
