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CHAPTER 08 12 / 12

試作して現場で試す

完璧なアプリを一度で作ろうとせず、小さく試作して現場で使ってもらい、直していく進めかたを解説。試す手順、意見の集めかた、本番への切り替えを紹介します。現場の例つきで説明します。

約6分で読めます

サトルさんユウキ工藤さん ★★ ふつう
アプリづくりの考えかたのイメージ
現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
7. 在庫・備品・資産を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
11. 失敗しないための注意
この記事の内容

この記事でわかること

  • 試作して現場で試す利点がわかる
  • 試作を進める手順がわかる
  • 本番への切り替えで決めることがわかる

時間をかけて作ったアプリが、現場で使われない。それを避ける一番の方法は、早めに見せることです。

ユウキ
ユウキ点検アプリ、ほぼ完成しました。来週、全員に配ります。
サトルさん
サトルさん現場の人は、もう触りましたか?
ユウキ
ユウキいえ、これから説明会で見せようと思います。
工藤さん
工藤さん……いきなり全員か。
サトルさん
サトルさんそれは少し、危険かもしれません。一度、小さく試してみませんか。

アプリづくりで一番もったいないのは、時間をかけて作り込んだものが、現場に合わず、使われないことです。避けるには、完成してから見せるのではなく、早い段階から現場で試して、直す進めかたが有効です。

試作のすすめ

「試作」とは、まず最低限の形で動くものを作り、実際に使って確かめることです。

進めかた特徴
作り込んでから配る時間がかかり、現場に合わなかったとき、やり直しが大きい
試作して、試して、直す早く動く。ズレが小さいうちに直せる

試作から本番までは、一周ではなく、くり返しです。

  1. 1試作
  2. 2試す
  3. 3聞く
  4. 4直す
試作して、試して、直す。何周かして本番へ進む

試す手順

小さく始める場合の日程は、たとえば次のようになります(日程は例です)。

1週2週3週4週5週6週
範囲を決めて試作
紙と並行して使う
意見を聞いて直す
範囲を広げる
紙をやめる
◆
二班の三人が、紙と並行して二週間試す例

1. 範囲を小さく決める

全員・全設備ではなく、「二班の三人が、二週間、一台の設備で」のように、小さく始めます。

2. 試す人を選ぶ

協力的な人だけでなく、「紙のほうがいい」と言う人にも使ってもらいます。そのほうが、本当の問題が見つかります。

工藤さん
工藤さん……俺でいいのか。
サトルさん
サトルさん工藤さんが「これなら使える」と言えれば、ほかの人も大丈夫です。
工藤さん
工藤さん……やってみるか。

3. 紙と並行して使う

最初は、紙とアプリの両方に記録する期間を設けます。アプリが使えなくても、紙が残っているので、仕事は止まりません。

4. 見て、聞く

使っている様子を、実際に見に行きます。

  • 入力にかかった時間
  • 手が止まった場所
  • 「ここが使いにくい」という声
  • 使われなかった項目

たとえば、こんな画面を、現場で実際に触ってもらいます。スマホで開いた点検の入力画面です。

スマホで開いた設備点検の入力画面。設備の欄にスキャンのボタンがあり、下に保存ボタンが固定されている
スマホで開いた設備点検の入力画面。設備の欄にスキャンのボタンがあり、下に保存ボタンが固定されている
  • 片手でスキャンのボタンを押せるかを、見てください。
  • 保存ボタンが押しやすいかも、現場で確かめます。

5. 直して、もう一度試す

聞いた意見をすべて取り入れる必要はありません。「何度も出る意見」「作業が止まる問題」を優先して、直します。

  • 範囲を小さく決めた(人・設備・期間)
  • 反対意見のある人にも使ってもらう
  • 紙と並行して使い、現場を止めない
  • 手が止まった場所を、実際に見に行った

本番への切り替え

試作で問題が減ったら、範囲を広げます。切り替えの際は、次のことを決めておきます。

  • いつから紙をやめるか
  • 困ったときの連絡先
  • 以前の紙の記録を、どう扱うか

試作でやらなくてよいこと

試作の段階では、見た目の細かい調整や、全員分の権限の設定、帳票の仕上げまでは必要ありません。まず、「入力が最後までできるか」「記録した内容が使えるか」の二つを確かめます。

細かいところは、使い始めてからのほうが、本当に直したい箇所がわかります。最初から完璧を目指さないことが、試作を続けるコツです。

試作に参加してくれた人へのお礼

試作に付き合ってくれた現場の人には、「あなたの意見で、ここを直しました」と伝えます。意見が形になるのを見ると、自分たちのアプリだと思ってもらえて、本番の定着につながります。

まとめ

  • 完成してから見せず、小さく試作して、早く現場で試す
  • 範囲を絞り、反対意見のある人にも使ってもらう
  • 紙と並行して使い、現場を止めない
  • 使っている様子を見て、何度も出る意見から直す
  • 本番のあとも、変更の窓口を残す

Formia でやるなら

アプリは、下書きのまま作って確認でき、プレビューで入力画面を試せます。公開したあとも、項目を直すと、改訂として管理されます(フォームデザイナー、改訂と履歴)。試験用の環境で作り替えた内容を、本番に反映する機能もあります(リリースの流れ。利用できるかどうかは、環境によって異なります)。

設計の画面には、「プレビュー」のボタンがあり、公開する前に入力画面を試せます。

点検票のフォーム設計画面。上に「プレビュー」「公開する」のボタンと「下書きは保存されています」の表示がある
点検票のフォーム設計画面。上に「プレビュー」「公開する」のボタンと「下書きは保存されています」の表示がある
  • 上の「プレビュー」で、公開する前に入力画面を試せます。
  • 「下書きは保存されています」の表示があり、途中のものは下書きとして残ります。

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