CHAPTER 09 2 / 10
ベテランを味方にする
「紙のほうが早い」と言うベテランは、現場を一番よく知る人でもあります。反対ではなく助言をもらう形で巻き込み、アプリ定着の強い味方にするための具体的な進め方を紹介します。
約6分で読めます
現場改善ノートの目次(章と記事の一覧)
1. 現場改善とノーコードの基本
2. 紙・Excel からの卒業
3. 日報・報告を変える
4. 点検・保守・品質を変える
5. 申請・承認・稟議を変える
6. 営業・顧客・案件を変える
8. アプリづくりの考えかた
9. 現場を巻き込む・定着させる
10. データ活用と帳票
この記事の内容
この記事でわかること
- ベテランを巻き込む4つのコツがわかる
- やりがちな失敗と立て直し方がわかる
- 「教えてもらう」側に回る意味がわかる
「紙のほうが早い」と言われて、言い返せずに困ったことはありませんか。
ベテランは「抵抗勢力」ではない
新しいやり方に慎重なベテランは、よく「抵抗している人」と見られがちです。でも多くの場合、その人は今のやり方の良いところを一番よく知っている人です。
紙の点検票には、長年の工夫が詰まっています。記入欄の順番、よく見る項目を上に置く、汚れても読める大きさの字。これを知らずに画面を作ると、現場で使いにくいものになります。
慎重なのは、失敗したときに困るのが自分だとわかっているからでもあります。その慎重さは、現場を守る力です。
巻き込む4つのコツ
1. 作る前に、やり方を見せてもらう
「教えてください」と頼み、一日の仕事を横で見せてもらいます。聞くのは、次のようなことです。
- どの順番で、何を見ているか
- 紙のどこが書きにくいか
- 「ここは絶対に外せない」という項目はどれか
2. 言われたことを、目に見える形で直す
要望を聞くだけでは信頼されません。言われたことを、画面に反映して見せます。「ボタンを大きくしました」「この順番に変えました」と、短い時間で返すことが大切です。
たとえば、こんな設計画面で、その場で並び順を直せます。

- 左の項目を並べて、入力画面の順番を変えられる
- 画面上部のプレビューで、できあがりを確かめられる
- 1聞く
- 2直す
- 3見せる
- 4試す
この図は、聞いて、直して、見せて、また試してもらうという往復を表します。1周を短くするほど、信頼が戻ります。
3. 「試す人」になってもらう
完成品を渡すのではなく、試作を触ってもらうのが効きます。「ここが使いにくい」と言ってもらえれば、それがそのまま改善点になります。評価する側に立ってもらうと、自然と当事者になっていきます。
4. 手柄を、その人のものにする
うまくいったときは「工藤さんの意見で、この順番にしました」と、名前を出して伝えます。ベテランが「自分たちが作ったアプリ」と思えたら、周りの人にも伝わります。
試作は、現場と同じ端末で見てもらうのが一番です。たとえば、スマホではこんな見え方になります。

- 「スキャン」などのボタンが大きく、押しやすい
- 保存ボタンが画面の下に固定されている
やってはいけないこと
| やりがちなこと | 避けたい理由 |
|---|---|
| 「古いやり方だ」と言う | 長年の仕事を否定されたと感じる |
| 事務所で決めて、完成後に渡す | 当事者でなくなる |
| 使えない人を、できない人扱いする | 反発が強まる |
| 紙を急に取り上げる | 不安が先に立つ |
失敗しがちな場面と、立て直し方
うまくいかないときは、たいてい「ベテランに相談する順番」が遅れています。完成してから見せて、「使いにくい」と言われると、双方が気まずくなります。
そうなったら、無理に押し切らず、一度、話を聞き直すところまで戻ります。「どこが、いちばん困りますか」と1つだけ聞き、その1つを直して、翌日に見せます。小さな往復を重ねるうちに、「聞いてもらえる」という信頼が戻ってきます。
この図は、気まずくなったときの戻り方です。強調した段から、小さな往復をやり直します。
まとめ
- ベテランは抵抗勢力ではなく、今のやり方を一番知っている人
- 説得するより、教えてもらう側に回る
- 作る前に見せてもらい、言われたことはすぐ画面に反映する
- 試作を触ってもらい、評価する側になってもらう
- うまくいったら、その人の意見だったと名前を出して伝える
Formia でやるなら
Formiaの入力画面は、項目の並び順や大きさを画面上で並べ替えながら作れます。ベテランに横で見てもらいながら、その場で直していく進め方に向いています。入力画面の作り方は フォームデザイナー を、スマホ・タブレットでの見え方は スマホでの使い方 を参考にしてください。