バックアップ・DR

AWS Backup えーだぶりゅーえす ばっくあっぷ

バックアップ災害対策DRAWSクラウドデータ保護
AWS Backupについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

AWS上のいろんなサービス(データベース・ストレージ・仮想サーバーなど)のバックアップを、バラバラに管理するんじゃなくて「一か所でまとめてスケジュール管理・監視できる」サービスだよ。「全部まとめて任せちゃえ!」ってイメージ!


AWS Backupとは

AWS Backup は、Amazon Web Services(AWS)が提供するフルマネージド型のバックアップサービスです。AWSの複数のサービスにまたがるデータを、一元的にバックアップポリシーを定義・実行・監視できる仕組みを提供します。「フルマネージド」とは、バックアップ用サーバーの構築や運用をユーザーが行わなくてよい、AWSがインフラを管理してくれる形態のことです。

従来はAmazon RDS(データベース)、Amazon EBS(仮想サーバーのディスク)、Amazon S3(ファイルストレージ)といったサービスごとに個別のバックアップ設定が必要でした。AWS Backupを使うと、これらすべてをバックアッププラン(Backup Plan)という統一した設定ファイルで管理できます。これにより、「どのサービスのバックアップ設定が抜けていた」というヒューマンエラーを防ぎやすくなります。

システム発注・運用を担当するビジネスパーソンの視点では、「バックアップ取得の証跡(監査ログ)を残せる」「コンプライアンス要件(法令・規制への準拠)に対応しやすい」という点が特に重要です。金融・医療・官公庁向けシステムで求められるデータ保全義務にも活用されています。


AWS Backupの構造と主な概念

概念説明
バックアッププラン(Backup Plan)「いつ・どのくらいの頻度で・何日間保持するか」を定義するルールセット
バックアップボールト(Backup Vault)バックアップデータを格納する保管庫。暗号化・アクセス制御が適用される
リソース割り当て(Resource Assignment)バックアッププランをどのAWSリソース(DBやEC2など)に適用するかの紐付け
復元ポイント(Recovery Point)実際に取得された1回分のバックアップデータ。ここから復元する
バックアップゲートウェイ(Backup Gateway)オンプレミス(自社サーバー)の仮想マシンをAWS Backupで管理するための連携エージェント

覚え方:「プラン→ボールト→ポイント」の3ステップ

バックアップの流れを「保険」に例えると覚えやすいです。

  • バックアッププラン = 保険の契約内容(月1回払い、10年間保持など)
  • バックアップボールト = 保険会社の金庫(安全に保管される場所)
  • 復元ポイント = 実際に払い込んだ保険証書1枚1枚(いざというとき使う実体)

対応しているAWSサービス一覧(主なもの)

カテゴリ対応サービス
仮想サーバーAmazon EC2、Amazon EBS
データベースAmazon RDS、Amazon Aurora、Amazon DynamoDB、Amazon DocumentDB、Amazon Neptune
ストレージAmazon S3、Amazon EFS、Amazon FSx
ハイブリッドAWS Storage Gateway、VMware Cloud on AWS
その他Amazon Redshift、AWS CloudFormation(一部)

歴史と背景

  • 2019年1月:AWS Backupが正式リリース。当初はEBS・RDS・DynamoDB・EFS・Storage Gatewayに対応
  • 2020年:Amazon FSx(Windowsファイルサーバー互換)やEC2インスタンス全体のバックアップに対応範囲を拡大
  • 2021年クロスアカウントバックアップ(別のAWSアカウントへのバックアップコピー)に対応。ランサムウェア対策としての需要が高まったことが背景
  • 2022年AWS Backup Audit Manager を追加。バックアップポリシーの準拠状況を自動でレポートできるように。コンプライアンス対応ニーズへの対応
  • 2023年〜:Amazon S3の継続的バックアップ(PITR: Point-in-Time Recovery)対応強化、マルチリージョン対応の拡充が続く

バックアップをサービスごとに個別管理していた時代から、「ガバナンス(組織全体での統制)として一元管理する」方向にAWSが舵を切った流れの中で生まれたサービスです。


関連技術・アーキテクチャとの比較

AWS Backupと手動バックアップの比較

比較項目AWS Backup各サービスの個別バックアップ
管理画面一元管理(1か所)サービスごとにバラバラ
スケジュール設定統一的に設定可能サービスごとに設定が必要
監査ログAWS Backup専用ログで一覧化CloudTrailで個別確認が必要
コスト管理タグベースで集計しやすい分散していて把握しにくい
コンプライアンス対応Audit Manager連携で自動レポート手動で集計・証跡準備が必要

バックアップ戦略:3-2-1ルールとAWS Backupの対応

3-2-1ルールとは、データを「3つのコピー・2種類のメディア・1か所はオフサイト(遠隔地)」に保管するバックアップのベストプラクティスです。AWS Backupではこれを以下の機能で実現できます。

3-2-1バックアップルール と AWS Backupの機能対応 3つのコピー 本番データ+ バックアップ×2 2種類のメディア EBS+S3など 異なるストレージ 1か所はオフサイト 別リージョン or 別アカウントへコピー ランサムウェア対策 ボールトロック機能で 削除・改ざんを防止 AWS Backup バックアッププランで スケジュール自動化 クロスリージョン/ クロスアカウントで 3-2-1を実現 ※ ボールトロック = WORM(Write Once Read Many)方式で一定期間削除不可にする機能

RPOとRTOの考え方

バックアップ戦略を発注・設計するときに必ず出てくる2つの指標があります。

  • RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点):「どの時点まで戻れればよいか」。例:「最大1時間前のデータまで失ってもよい」
  • RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間):「どのくらいの時間で復旧できなければならないか」。例:「障害発生から4時間以内に復旧すること」

AWS Backupではバックアップ頻度(1時間ごと・1日ごとなど)を設定することでRPOをコントロールできます。RTOはバックアップデータのサイズ・リストア先の構成によって変わるため、AWS Backupだけで保証されるものではなく、全体のDR(Disaster Recovery:災害復旧)設計と合わせて検討が必要です。


関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
ISO/IEC 27001情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格。バックアップ管理はA.12.3として要求事項に含まれる
NIST SP 800-34米国国立標準技術研究所によるITコンティンジェンシープランニングガイド。RTO・RPO設定の標準的な考え方を定義

関連用語