DR(Designated Router) でぃーあーる(でじぐねいてっどるーたー)
簡単に言うとこんな感じ!
DR(Designated Router)は、同じネットワークに複数のルーターが接続されているとき「代表ルーター」として選ばれる1台のことだよ! 全員がバラバラに情報をやり取りすると通信が爆発的に増えてしまうから、DRが窓口役になって交通整理してくれるんだ。学級委員みたいなイメージだね!
DR(Designated Router)とは
DR(Designated Router=指定ルーター)とは、OSPFルーティングプロトコルにおいて、同一のマルチアクセスネットワーク(イーサネットなど複数機器が共存するネットワーク)に接続した複数のルーターの中から「代表者」として選出される1台のルーターのことです。
OSPFではルーター同士がリンクステート情報(ネットワークの地図)を交換し合いますが、全ルーターが全ルーターと1対1で情報交換をすると、接続台数が増えるほど通信量が爆発的に増大します。そこでDRが「情報のハブ」として機能し、各ルーターはDRとだけ情報を交換する仕組みが採用されています。
DRと合わせて、DRに障害が発生した際のバックアップとなるBDR(Backup Designated Router=バックアップ指定ルーター)も同時に選出されます。この2台体制によって、代表者が落ちても即座に引き継げる冗長構成が実現されています。
DRの役割と選出の仕組み
DRが担う主な役割と、どのように選ばれるかを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な役割 | LSA(リンクステート広告)の収集・再配布。マルチアクセスネットワーク内の通信を代表する |
| BDRの役割 | DRの障害時に即座に昇格して代行する |
| 選出基準① プライオリティ | 各ルーターに設定された優先度(0〜255)。高いほど優先。デフォルトは1。0に設定するとDRになれない |
| 選出基準② Router ID | プライオリティが同じ場合、Router IDが大きいルーターが選出される |
| 再選出 | 一度DRが決まると、DRが障害になるまで原則として再選出されない(プリエンプトなし) |
DROTHER とは
DR・BDR以外の一般ルーターは DROTHER(ディーアールアザー) と呼ばれます。DROTHERはDRおよびBDRとのみ完全隣接関係(Full Adjacency)を結び、DROTHER同士は「2-Way」状態にとどまります。これにより隣接関係の数が最小限に抑えられます。
隣接関係数の比較
■ DRなし(フルメッシュ)の場合
ルーター数: N = 5
隣接関係数: N×(N-1)/2 = 10本
■ DRあり(スター型)の場合
DR↔各ルーター = 4本
→ 通信量を大幅削減!
歴史と背景
- 1988年頃 — OSPFの前身となるリンクステート型ルーティングの概念が研究され始める。ネットワーク規模の拡大に伴い、既存のRIPでは対応できない大規模ネットワーク向けプロトコルの必要性が高まった
- 1989年 — OSPFv1がRFC 1131として公開。DR/BDRの概念が初めて正式に定義される
- 1991年 — 改良版のOSPFv2がRFC 1247として公開。現在も使われるIPv4向けOSPFの基礎となる
- 1998年 — OSPFv2の最新版RFC 2328が公開。現在のデファクトスタンダード
- 1999年 — IPv6対応のOSPFv3がRFC 2740として公開(後にRFC 5340で更新)
- 現在 — エンタープライズネットワーク・ISP(インターネットサービスプロバイダー)において最も広く使われるIGP(内部ゲートウェイプロトコル)として標準的に採用されている
DR・BDR・DROTHERの関係図
OSPFマルチアクセスネットワーク内でのルーター間の隣接関係を図解します。
DRとBDRの選出フロー
1. ネットワーク起動 / インターフェース有効化
↓
2. Hello パケット送受信(ネイバー探索)
↓
3. 各ルーターの Priority と Router ID を比較
↓
4. Priority 最大 → DR に選出
Priority 2位 → BDR に選出
(Priority = 0 のルーターは選出対象外)
↓
5. DR 障害時: BDR が自動昇格 → 新 BDR を再選出
関連する規格・RFC
| 規格・RFC番号 | 内容 |
|---|---|
| RFC 2328 | OSPFv2 の標準仕様。DR/BDR の選出アルゴリズムを詳細に規定(IPv4向け) |
| RFC 5340 | OSPFv3 の標準仕様。IPv6ネットワーク向けのOSPF。DR/BDRの概念を継承 |
| RFC 1131 | OSPFv1 の初版。DR/BDRの概念が初めて定義された歴史的RFC |
| RFC 1247 | OSPFv2 の初期版。現代のOSPFの基礎 |
関連用語
- OSPF — DRが動作するリンクステート型ルーティングプロトコル。エンタープライズネットワークの標準
- BDR(Backup Designated Router) — DRの障害時に即座に昇格するバックアップ指定ルーター
- LSA(Link State Advertisement) — ルーターがネットワーク情報を広報するためのOSPFのメッセージ単位
- Router ID — OSPFでルーターを一意に識別するためのID。DR選出の基準にもなる
- Hello パケット — OSPFネイバー探索・維持に使われる定期送信パケット
- EIGRP — Cisco独自のルーティングプロトコル。OSPFと同様に大規模ネットワークで使われる
- IGP(Interior Gateway Protocol) — 組織内ネットワークで使われるルーティングプロトコルの総称。OSPFはIGPの一種
- フェイルオーバー — 主系の障害時に副系へ自動切り替えする仕組み。BDR昇格も広義のフェイルオーバー