クラウドの基本概念

シングルテナント・マルチテナント しんぐるてなんと・まるちてなんと

シングルテナントマルチテナント専有共有分離SaaS
シングルテナント・マルチテナントについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

マンションか一軒家かの違いみたいなもの。マルチテナントは複数の会社がインフラを共有(マンション)、シングルテナントは自社専用のインフラを使う(一軒家)。コストと分離性のトレードオフだよ。


シングルテナント・マルチテナントとは

マルチテナント(Multi-tenant)とは、複数の顧客(テナント)が同一のインフラ・アプリケーションを共有する形態です。SaaSやパブリッククラウドの多くはこの方式で、リソースを効率よく使うことでコストを抑えています。データは論理的に分離されますが、物理的には同じサーバー・DBを使います。

シングルテナント(Single-tenant)とは、特定の顧客専用のインフラ・環境を用意する形態です。他社と物理的に分離されるため、セキュリティ・コンプライアンス要件が厳しい業種(金融・医療・行政)に適しています。コストはマルチテナントより高くなります。

クラウドでは、AWS Dedicated Host・Dedicated Instanceなどがシングルテナント相当の物理分離を提供します。一般的なEC2インスタンスはマルチテナントで、同じ物理ホスト上に複数顧客の仮想マシンが同居しています。


比較表

項目マルチテナントシングルテナント
リソース共有複数顧客が共有専用
コスト低い高い
物理分離なし(論理分離のみ)あり
カスタマイズ性低い高い
スケール効率高い低い
規制対応のしやすさやや難しいしやすい
代表例Gmail、Salesforce、一般的なEC2Dedicated Host、プライベートクラウド

SaaSにおけるマルチテナントの実装パターン

パターンDBの分離説明
共有DB・共有スキーマテナントIDカラムで識別最も効率的。漏洩リスク管理が重要
共有DB・分離スキーマスキーマ(名前空間)単位バランス型
分離DBDB自体が別最も安全。コストが高い

歴史と背景

マルチテナントの概念はメインフレーム時代のタイムシェアリングシステムに遡ります。1990年代のASP(Application Service Provider)サービスでも共有型が使われていました。

2000年代にSalesforceが大規模なマルチテナントSaaSを成功させ、「共有インフラで安全にビジネスデータを扱える」ことを実証しました。クラウドでは、AWSが2007年に「Dedicated Instance」を追加し、物理分離を希望する顧客向けの選択肢を提供しました。

近年はコンプライアンス要件の厳格化GDPR個人情報保護法など)によりシングルテナントや厳格なデータ分離の需要が高まっており、クラウドベンダーもISOの認定取得や政府専用クラウド(AWS GovCloud等)の提供を強化しています。


分離の概念図

テナント分離のイメージ マルチテナント 共有物理サーバー 会社A VM 会社B VM 会社C VM 論理的に分離 (同一物理機器) コスト:低 シングルテナント 専用サーバー 会社A 専用VM 物理的に分離 (他社と非共有) コスト:高 専用サーバー 会社B 専用VM 物理的に分離 (他社と非共有) コスト:高

関連する規格・RFC

規格内容
ISO/IEC 27017クラウドサービスにおける情報セキュリティ管理
CSA CCMクラウドセキュリティ管理策(テナント分離を含む)
FedRAMP米国政府向けクラウドセキュリティ基準

関連用語