LAN・物理層

L3スイッチ えるすりーすいっち

レイヤー3ルーティングVLANIPアドレススイッチングハブルーター
L3スイッチについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

L3スイッチは「スイッチングハブの速さ」と「ルーターの頭の良さ」を合体させた機器だよ!社内ネットワークで「営業部のPCと開発部のPC、別々のグループに分けつつ、必要なときだけ通信させたい」ってときに大活躍する、いわばネットワークの”賢い交通整理係”なんだ!


L3スイッチとは

L3スイッチ(Layer 3スイッチ) とは、OSI参照モデル第3層(ネットワーク層)まで処理できるネットワーク機器のことです。通常のスイッチングハブ(L2スイッチ)がMACアドレスを使ってデータを転送するのに対し、L3スイッチはIPアドレスを使ったルーティング(経路制御) も行えます。

一般的なルーターと似た機能を持ちながら、ハードウェアによる高速処理が特徴です。ルーターがソフトウェアで経路を計算するのに対し、L3スイッチは専用チップ(ASIC)で処理するため、大量のパケットを遅延なくさばけます。主に企業の社内ネットワーク(LAN)の中核機器として使われており、複数のVLAN(仮想的に分割したネットワーク)間の通信を取り持つ役割を担います。


L3スイッチの仕組みと役割

L3スイッチが何をしているか、L2スイッチ・ルーターと比べて整理すると理解しやすいです。

比較項目L2スイッチL3スイッチルーター
参照する情報MACアドレスMACアドレス+IPアドレスIPアドレス
OSI層第2層(データリンク層)第2〜3層第3層(ネットワーク層)
処理方式ハードウェア(高速)ハードウェア(高速)ソフトウェア(比較的低速)
VLAN間通信❌ できない✅ できる✅ できる
WAN接続❌(基本的に)
主な設置場所各フロアのHUB社内LANのコアインターネット接続点

覚え方

L3 = L2スイッチ + ルーティング機能」と覚えておけばOKです。
“L2の速さ × L3の頭の良さ” → L3スイッチ、というイメージです。

VLANとの関係

L3スイッチの最大の活用場面が VLAN間ルーティング です。

【VLANとL3スイッチの関係イメージ】

  VLAN 10(営業部)  192.168.10.0/24
  VLAN 20(開発部)  192.168.20.0/24
  VLAN 30(管理部)  192.168.30.0/24
         ↑ ↑ ↑
    全部まとめてL3スイッチ1台で束ねて
    VLAN間の通信をルーティング!

VLANは「同じスイッチに繋がっていても別ネットワーク」として扱う技術です。異なるVLAN同士が通信するには従来ルーターが必要でしたが、L3スイッチがあれば1台で完結できます。


歴史と背景

  • 1980年代後半〜 — 企業ネットワークの拡大に伴い、ルーターだけでは転送速度が追いつかない問題が顕在化
  • 1990年代前半 — スイッチングハブ(L2スイッチ)が普及。MACアドレスベースの高速転送が実現
  • 1990年代後半 — ASIC(専用チップ)の進化により、ルーティング処理をハードウェアで行う「L3スイッチ」が登場
  • 2000年代〜 — 企業LANのコア機器として標準化。VLANと組み合わせたネットワーク分割設計が一般的に
  • 現在 — クラウド利用が増えた現在も、社内LAN(オンプレミス)の基幹機器として現役。仮想環境向けの「仮想L3スイッチ」も普及

L2スイッチ・ルーターとの配置関係

企業ネットワークでは、各機器がどこに置かれるかに明確な役割分担があります。

企業ネットワークにおける機器の配置と役割 インターネット (外の世界) ルーター WAN接続・インターネット出口 L3スイッチ(コアスイッチ) VLAN間ルーティング・高速転送 L2スイッチ VLAN10 営業部 L2スイッチ VLAN20 開発部 L2スイッチ VLAN30 管理部 ルーター(L3/WAN境界) L3スイッチ(LAN中核) L2スイッチ(各フロア)

このように、インターネット側はルーターが担当し、社内LAN内部の通信はL3スイッチがまとめて処理します。各部署のフロアにはL2スイッチを置いてPCを繋ぎ、L3スイッチが部署間の通信を仲介するという階層構造が一般的です。

L3スイッチとルーター、どちらを選ぶ?

場面向いている機器
社内LANのVLAN間通信L3スイッチ
インターネット接続・WANルーター
大量パケットの高速処理L3スイッチ
複雑なNAT・VPN設定ルーター
中小規模のシンプル構成ルーター(L3スイッチ不要な場合も)

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
IEEE 802.1QVLANタギングの標準規格。L3スイッチのVLAN実装の基礎
RFC 791IP(Internet Protocol)の定義。L3スイッチが処理する経路情報の基本
RFC 1812IPルーターの要件定義。L3スイッチのルーティング動作の参考規格
RFC 2328OSPF(リンクステート型ルーティングプロトコル)。L3スイッチでも対応機種あり

関連用語

  • L2スイッチ — MACアドレスで転送するスイッチングハブ。L3スイッチの下位に位置する
  • ルーター — IPアドレスで経路制御する機器。WAN接続に使われる
  • VLAN — 物理構成に関係なくネットワークを論理分割する技術
  • OSI参照モデル — ネットワーク機能を7層に分類したモデル。L3の「3」はここから
  • IPアドレス