LAN・物理層

コア・ディストリビューション・アクセス(3階層モデル) こあ・でぃすとりびゅーしょん・あくせす

階層型ネットワーク設計コアスイッチディストリビューションスイッチアクセススイッチスパニングツリーキャンパスネットワーク
コア・ディストリビューション・アクセスって何?

簡単に言うとこんな感じ!

会社のネットワークを「高速道路(コア)→ 幹線道路(ディストリビューション)→ 住宅街の道(アクセス)」の3段階に分けて設計する考え方だよ。役割をレイヤーごとに分けることで、大規模なLANでもスッキリ管理できるんだ!


コア・ディストリビューション・アクセスとは

コア・ディストリビューション・アクセス(Core-Distribution-Access モデル とは、企業や学校などの大規模な構内ネットワーク(LAN)を3つの機能レイヤーに分けて設計・構築するための考え方(アーキテクチャ)です。シスコシステムズが提唱したことで広く普及し、今日でもキャンパスネットワーク設計の標準的なフレームワークとして使われています。

各レイヤーは役割を明確に分担しており、「コア層」はネットワーク全体の高速な基幹部分、「ディストリビューション層」はポリシー制御や集約、「アクセス層」はPCや電話機などのエンドポイントが実際につながる部分を担います。この分離によって、障害の影響範囲を局所化し、拡張・変更を容易にすることが主な目的です。

システム発注の立場では「3階層設計で提案してください」と指示するだけで、ベンダーとの共通認識が生まれます。規模の大きいオフィスや複数拠点を持つ企業のネットワーク設計提案書には必ずと言っていいほど登場する概念なので、名称と役割を押さえておくと発注・評価がスムーズになります。


3つの層の役割と特徴

別名主な機器役割キーワード
コア層Core Layerコアスイッチ(L3スイッチ全トラフィックを高速転送する「背骨」高速・冗長・シンプル
ディストリビューション層Distribution LayerL3スイッチ / ルーター部門間の集約・ルーティング・ポリシー適用集約・フィルタリング・VLAN境界
アクセス層Access LayerL2スイッチ / 無線APPCや電話機などを直接収容する「末端」接続・PoE・VLAN割当

覚え方:「高・集・末」

  • 速バックボーン → コア
  • 約・制御 → ディストリビューション
  • 端収容 → アクセス

「コアは高速道路、ディストリビューションはインターチェンジ、アクセスは一般道」とイメージすると覚えやすいです。

各層の設計原則

  • コア層:できるだけシンプルに保ち、複雑なポリシーを持ち込まない。冗長化(2台以上)が必須。
  • ディストリビューション層:VLANのルーティング境界をここに置く。アクセスコントロールリスト(ACL)やQoSなどのポリシーを集中管理。
  • アクセス層:機器台数が最も多い。PoE(給電機能)対応スイッチで IP電話・無線APに電力供給することが一般的。

歴史と背景

  • 1990年代前半:LANが普及し始め、フラットな構成(すべて同じ階層)のネットワークで障害やブロードキャスト嵐が多発。大規模化に伴う管理の複雑さが課題に。
  • 1999年頃:シスコシステムズが「Hierarchical Network Design(階層型ネットワーク設計)」を体系化し、コア・ディストリビューション・アクセスの3層モデルを公式に提唱。
  • 2000年代:キャンパスネットワーク(大学・大企業)で標準的な設計手法として定着。ベンダーを問わず共通の設計語彙として業界に浸透。
  • 2010年代仮想化・クラウドの普及に伴い、データセンター向けには「スパイン・リーフ(Spine-Leaf)」モデルが登場。ただしオフィスLANでは3階層モデルが引き続き主流。
  • 現在:中小規模では「コア+アクセス」の2層に簡略化したコラプスドコア(Collapsed Core)構成も広く使われる。

3階層モデルの構造と比較

3階層モデルの全体像

コア層(Core Layer) 高速バックボーン / 全体を束ねる「背骨」 コアスイッチ A コアスイッチ B ディストリビューション層(Distribution Layer) 集約・ルーティング・ポリシー制御(VLAN境界・ACL・QoS) ディストリビューションSW-1 ディストリビューションSW-2 アクセス層(Access Layer) PCや電話機などエンドポイントを直接収容 アクセスSW-A アクセスSW-B アクセスSW-C アクセスSW-D

3階層モデル vs コラプスドコア(2階層)vs スパイン・リーフ

比較項目3階層モデルコラプスドコア(2層)スパイン・リーフ
主な用途大規模キャンパスLAN中小規模オフィスデータセンター
コスト高い(機器台数多)低い中〜高
拡張性高い中程度非常に高い
管理複雑さ高い低い中程度
障害影響の局所化優れる普通優れる

コラプスドコアとは、コア層とディストリビューション層を1台(または1組)のスイッチに統合した簡略構成。拠点が1つで規模が小さい場合に採用される。


関連する規格・RFC

規格・文書内容
Cisco「Campus Network Design Guide」3階層モデルの公式ガイドライン(シスコ社ドキュメント)
IEEE 802.1QVLANタギング規格。ディストリビューション層でのVLAN設計に必須
IEEE 802.1D / 802.1W(RSTP)スパニングツリープロトコル。ループ防止のためアクセス〜コア間で使用
IEEE 802.3af / 802.3at(PoE)アクセス層スイッチからIPフォン・APへの給電規格

関連用語

  • スパニングツリープロトコル(STP) — ループを防ぐL2ネットワークの基本技術。アクセス〜ディストリビューション間で重要
  • VLAN — 仮想的にLANを分割する技術。ディストリビューション層でVLAN間ルーティングを行う
  • L3スイッチ — ルーティング機能を持つスイッチ。コア・ディストリビューション層の主役
  • PoE(Power over Ethernet) — LANケーブルで電力供給。アクセス層で