LAN・物理層

L2スイッチ えるつーすいっち

スイッチングハブMACアドレスデータリンク層VLANフレーム転送イーサネット
L2スイッチについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

会社のオフィスにあるLANケーブルを束ねる「賢い分電盤」みたいな機器だよ!「どのケーブルの先に誰がいるか」を覚えていて、必要な相手だけにデータを届けてくれるんだ。無駄な送信をしないから、ネットワークが混まなくて済むってこと!


L2スイッチとは

L2スイッチ(Layer 2 Switch)とは、OSI参照モデル第2層(データリンク層)で動作するネットワーク機器です。「L2」はOSIモデルの「Layer 2」の略で、MACアドレス(機器固有の識別番号)を使ってデータの転送先を判断するのが最大の特徴です。オフィスや工場のLAN(社内ネットワーク)を構築するときに、PCやプリンター、サーバーをつなぐ中心的な役割を果たします。

L2スイッチが登場する前は「ハブ(リピーターハブ)」が使われていました。ハブは届いたデータを全ポートに垂れ流す(フラッディング)だけでしたが、L2スイッチはMACアドレスを学習して「このデータはポート3番の先にある機器宛だ」と判断し、必要なポートだけに転送します。これにより帯域の無駄遣いが減り、セキュリティも向上しました。

現在では「スイッチングハブ」や単に「スイッチ」とも呼ばれ、企業内LANのアクセス層(エンドユーザー端末を直接つなぐ部分)で最もよく使われる機器のひとつです。


L2スイッチの仕組み:MACアドレステーブル

L2スイッチの核心は「MACアドレステーブル(FDBテーブル)」です。どのポートにどのMACアドレスの機器がつながっているかを記録した「住所録」のようなものです。

データ転送の流れ

ステップ動作ポイント
① 受信ポートからフレームを受け取る送信元MACアドレスを確認
② 学習送信元MACアドレスとポート番号を記録テーブルが徐々に埋まっていく
③ 検索宛先MACアドレスをテーブルで検索一致するエントリを探す
④a 転送該当ポートだけにフレームを送出ユニキャスト転送
④b フラッディング全ポートに送出(宛先不明時)MACアドレス未学習の場合

覚え方:「学習→検索→転送」の3ステップ

「がっ・けん・てん」(学習・検索・転送)と覚えよう!
スイッチは「誰がどこにいるか」を学びながら、賢く仕分けしていくんです。

L2スイッチの主な機能一覧

機能説明
MACアドレス学習ポートと機器の対応を自動で覚える
フレームフィルタリング不要なポートへの転送をブロック
VLAN(仮想LAN)物理配線を変えずに論理的にネットワークを分割
STP(スパニングツリー)ループ接続による通信障害を防ぐ
ポートミラーリング特定ポートの通信を別ポートにコピーして監視
リンクアグリゲーション複数ポートをまとめて帯域を増やす

歴史と背景

  • 1980年代前半 — イーサネットが普及し始め、当初は「リピーターハブ」で機器を接続。全員に同じデータを送る非効率な方式だった
  • 1989年 — Kalpana社(後にCisco Systems傘下)が世界初の本格的なイーサネットスイッチ「EtherSwitch」を発表
  • 1990年代前半 — スイッチング技術が普及し始め、ハブからスイッチへの置き換えが進む。帯域の有効活用と衝突(コリジョン)の回避が大きなメリットとして注目される
  • 1998年〜VLAN機能が標準化(IEEE 802.1Q)され、L2スイッチ1台でネットワークを論理分割できるようになった
  • 2000年代〜現在 — Gigabit Ethernet(1Gbps)対応が標準化。現在は10Gbps対応のL2スイッチも一般的に。PoE(給電機能)搭載により、IPカメラやWi-Fiアクセスポイントへの電源供給も担う

L2スイッチとL3スイッチの違い

L2スイッチとよく比較されるのがL3スイッチ(Layer 3スイッチ)です。「レイヤー3」つまりOSI第3層(ネットワーク層)でも動作でき、IPアドレスを使ったルーティング(ネットワーク間の経路制御)が可能な上位機種です。

L2スイッチ vs L3スイッチ — 動作レイヤーの比較 OSIモデル 第7層 アプリケーション 第6層 プレゼンテーション 第5層 セッション 第4層 トランスポート 第3層 ネットワーク 第2層 データリンク 第1層 物理 L2スイッチ 動作レイヤー:第2層 識別子:MACアドレス 用途:同一ネットワーク内の転送 コスト:比較的安価 例:アクセス層スイッチ L3スイッチ 動作レイヤー:第2〜3層 識別子:MACアドレス+IPアドレス 用途:異なるネットワーク間ルーティング コスト:L2より高価 例:コア・ディストリビューション層 選び方の目安 ✅ L2スイッチでOKな場合 ・同じフロア内のPC接続 ・小規模オフィスのLAN ・コスト優先の環境 ⭐ L3スイッチが必要な場合 ・部署ごとにVLAN分割 ・複数フロア・拠点の統合 ・ルーターの負荷を減らしたい 💡 実務のポイント 小規模:L2スイッチのみでOK 中規模:L2+L3の組み合わせ 大規模:コア層にL3必須 PoE対応モデルは無線AP・ IPカメラへの給電も可能
比較項目L2スイッチL3スイッチルーター
動作レイヤー第2層第2〜3層第3層
識別に使う情報MACアドレスMAC+IPアドレスIPアドレス
ネットワーク間転送❌ 不可✅ 可能✅ 可能
処理速度⚡ 高速⚡ 高速🔄 やや遅い
コスト💰 安価💰💰 中程度💰〜💰💰💰
主な用途端末接続(アクセス層)部門間接続(コア層)インターネット接続

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
IEEE 802.1Dスパニングツリープロトコル(STP)— ループ防止の基本規格
IEEE 802.1QVLAN(仮想LAN)タギングの標準規格
IEEE 802.1wRSTP(Rapid STP)— STPの高速版
IEEE 802.3adリンクアグリゲーション(LACP)— 複数ポートの束ね方の規格
IEEE 802.3afPoE(Power over Ethernet)— ケーブルで電力供給する規格
RFC 7042MACアドレスの用途・管理に関するガイドライン

関連用語

  • L3スイッチ — IPアドレスを使ってネットワーク間のルーティングもできる上位スイッチ
  • MACアドレス — ネットワーク機器ごとに割り当てられた固有の識別番号
  • VLAN — 物理配線を変えずにネットワークを論理的に分割する技術
  • OSI参照モデル — ネットワーク機能を7層に分けた設計モデル
  • イーサネット — 有線LANの世界標準となっている通信規格
  • スパニングツリープロトコル — L2スイッチをループ接続した際の通信障害を防ぐ仕組み
  • ルーター — 異なるネットワーク間でデータを中継するネットワーク機器
  • PoE — LANケーブル経由で機器に電源を供給する技術