LAN・物理層

リンクアグリゲーション りんくあぐりげーしょん

ボンディングトランキングLACP帯域幅冗長化イーサネット
リンクアグリゲーションについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

複数のLANケーブルを束ねて「1本の太いケーブル」として使う技術だよ!たとえば1Gbpsのケーブルを4本まとめると最大4Gbpsで通信できるし、1本が切れても残りで通信し続けられるんだ。速さと安心を同時にゲットできるってこと!


リンクアグリゲーションとは

リンクアグリゲーション(Link Aggregation)とは、スイッチとサーバー、またはスイッチ同士の間に複数の物理的なネットワーク回線(リンク)を束ねて、1本の論理的な高速リンクとして扱う技術のことです。「ポートトランキング」「ボンディング」「チーミング」などとも呼ばれます。

主な効果は2つあります。まず**帯域幅の拡張(アグリゲーション)です。たとえば1Gbpsの物理ポートを4本束ねると、理論上は最大4Gbpsの帯域幅を確保できます。次に冗長化フェイルオーバー)**です。束ねた回線のうち1本が断線・障害を起こしても、残りの回線で通信を継続できるため、サービス停止のリスクを大幅に下げられます。

オフィスのコアスイッチとサーバーの接続、データセンターの上位スイッチ間接続など、通信量が集中する”幹線部分”によく用いられる技術です。発注・選定の場面では「冗長構成を取るか」「どれだけの帯域が必要か」を判断する際に必ずといっていいほど登場します。


仕組みと主な構成

構成イメージ

複数の物理ポートをまとめ、OSやスイッチには1つの論理インターフェースとして見せます。

項目内容
束ねるリンク数一般的に2〜8本(規格上は最大8本)
帯域幅物理リンク速度 × 本数(上限値)
障害時の動作生き残りのリンクで自動的に通信継続
対応機器スイッチ・サーバーNICルーター
制御プロトコルLACP(IEEE 802.3ad)またはスタティック設定

負荷分散の方式

束ねた複数リンクへのトラフィック分散には、機器ごとに複数の方式があります。

方式分散のキー特徴
送信元MACアドレス送信元端末のMACシンプルだが偏りが出やすい
送信元/宛先MACアドレス送受信両MACのXORバランスが改善
送信元/宛先IPアドレスIPアドレスのハッシュIPルーティング環境に向く
L4ポート番号TCP/UDPポートも加味フロー単位で細かく分散

注意: 1つの通信フロー(セッション)は原則として同一の物理リンクを使います。「1本あたりの速度」は超えられないので、単一ファイルの転送速度が4倍になるわけではありません。

覚え方

束ねる=太くなる&切れにくくなる」とセットで覚えましょう。
電気コードを複数束ねるほど丈夫で大容量になるイメージです。


歴史と背景

  • 1990年代後半:スイッチベンダー各社が独自の「ポートトランキング」機能を実装し始める(Ciscoの EtherChannel など)。互換性はなかった
  • 2000年:IEEE 802.3ad として標準化。LACP(Link Aggregation Control Protocol)が定義され、異なるベンダー間での相互接続が可能になる
  • 2008年:IEEE 802.1AX へ統合・再編。802.3adの内容を引き継ぎつつ体系を整理
  • 2010年代:10GbE・25GbEの普及とともに、サーバーの複数NICをまとめるOSレベルのボンディング(Linux bonding / Windows NIC Teaming)が標準的に使われるようになる
  • 現在:クラウド基盤・仮想化環境でも仮想スイッチレベルでリンクアグリゲーション相当の機能が提供され、オンプレ・クラウドを問わず幹線設計の基本要素となっている

LACPとスタティックの比較、および構成パターン

LACP vs スタティック(手動)

比較項目LACP(動的)スタティック(手動)
制御プロトコルIEEE 802.1AX(LACP)なし
設定の手間やや多い(両端でLACP有効化)シンプル
障害検知LACPPDUで自動検知・切り離し物理リンクダウンのみ
互換性標準化されているため高いベンダー依存
推奨場面本番環境・異ベンダー接続同一ベンダー内・テスト環境

物理構成のパターン(SVG図解)

サーバー NIC ポート 1 NIC ポート 2 NIC ポート 3 NIC ポート 4 bond0 (論理) L2スイッチ ポート 1 ポート 2 ポート 3 ポート 4 LAG (論理) 障害発生 論理的には1本の 高速リンク(3本で継続)

関連する規格・RFC

規格番号内容
IEEE 802.1AXリンクアグリゲーションの現行標準規格(旧802.3adを統合)
IEEE 802.3ad2000年制定の元祖LACP標準(802.1AXに吸収)
IEEE 802.3-2018イーサネット全般の統合規格(802.3adの内容も含む)

関連用語

  • LACP — リンクアグリゲーションを動的に制御するプロトコル(IEEE 802.1AX)
  • イーサネット — LAN配線の標準技術。リンクアグリゲーションの土台
  • スパニングツリープロトコル — スイッチ間ループを防ぐプロトコル。LAGと組み合わせて設計する
  • 冗長化 — 障害時にも動作し続けるための多重化設計の総称
  • NIC — サーバーやPCに搭載されるネットワーク接続用のカード。ボンディングで複数まとめる