クラウドネットワーキング

Shared VPC しぇあーどぶいぴーしー

VPCGoogle Cloudネットワーク共有ホストプロジェクトサービスプロジェクトIAM
Shared VPCについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

会社のWi-Fiルーターを複数の部署でシェアするイメージだよ!Google Cloudで、1つのネットワーク(VPC)を複数のプロジェクト(部署)が一緒に使える仕組みなんだ。ネットワーク管理は1か所でまとめて、各チームは自分のアプリ開発に集中できるってこと!


Shared VPCとは

Shared VPC(共有VPC)は、Google Cloudが提供する機能で、1つのVPC(Virtual Private Cloud)ネットワークを複数のGoogleCloudプロジェクトにまたがって共有できる仕組みです。通常、プロジェクトごとに独立したネットワークを持つのが基本ですが、Shared VPCを使うと「ネットワークの管理」と「アプリケーションの開発・運用」を明確に分離できます。

企業の情報システム部門が会社全体のネットワークをまとめて管理しながら、各事業部門はそのネットワーク上で自由にシステムを動かせる、という構成が実現します。セキュリティポリシーの一元管理コストの集約ネットワーク設計の標準化といったメリットがあり、複数チーム・複数プロジェクトが存在する中〜大規模な組織で特に有効です。

なお、Shared VPCはGoogle Cloud固有の機能名ですが、AWSの「RAM(Resource Access Manager)によるVPC共有」やAzureの「共有サービスVNet」など、他クラウドにも類似の概念が存在します。クラウド選定・設計時には各社の用語を確認することが重要です。


Shared VPCの構造と仕組み

Shared VPCは「ホストプロジェクト」と「サービスプロジェクト」という2種類の役割で成り立っています。

役割プロジェクト名誰が管理するか主な役割
ネットワーク管理側ホストプロジェクトインフラ・情シスチームVPC・サブネットファイアウォールを定義
アプリ利用側サービスプロジェクト各開発チーム・事業部門ホストのサブネットを借りてVMやコンテナを動かす

鍵となる概念の整理

  • VPC(Virtual Private Cloud): クラウド上の仮想的な「プライベートネットワーク空間」
  • サブネット: VPCをさらに細かく区切ったネットワークの区画
  • IAM(Identity and Access Management): 「誰がどのリソースを使えるか」を制御する権限管理の仕組み
  • Shared VPC Admin ロール: ホストプロジェクトを設定し、サービスプロジェクトをアタッチできる特権ロール

覚え方:「大家さんと店子(たなこ)」

Shared VPCはビルのオーナーとテナントの関係に似ています。

  • ホストプロジェクト=大家さん:建物(ネットワーク)を所有・管理する
  • サービスプロジェクト=テナント:部屋(サブネット)を借りて、自分のビジネス(アプリ)を運営する
    大家さんが電気・水道・セキュリティを一括管理し、テナントは内装と営業に集中できるイメージです。

歴史と背景

  • 2016年頃: Google Cloudがプロジェクトをまたいだネットワーク共有の需要に対応すべく、機能の検討を開始
  • 2017年: 「XPN(Cross-Project Networking)」という名称でプレビュー提供が始まる
  • 2018年: 正式に「Shared VPC」という名称でGA(一般提供)開始。企業向けのセキュリティ・ガバナンス要件への対応が加速
  • 2019年以降: Organizationポリシーとの統合が強化され、企業全体のガバナンスフレームワークとして位置づけられるようになる
  • 現在: GKE(Google Kubernetes Engine)やCloud RunなどのマネージドサービスもShared VPC上のサブネットに対応し、利用シーンが拡大

Shared VPCのネットワーク構成図

Google Cloud Organization ホストプロジェクト (ネットワーク管理チーム) VPC ネットワーク ファイアウォール・ルーティング管理 サブネット A 10.0.1.0/24 サブネット B 10.0.2.0/24 IAM権限管理 Shared VPC Admin / ネットワークユーザー 🔒 セキュリティポリシー・Cloud DNS VPN / Interconnect 接続も一元管理 サービスプロジェクト A (開発チーム) サブネット A を使用 VM / GKE / Cloud Run を配置 アプリ開発・デプロイに集中 サービスプロジェクト B (営業システムチーム) サブネット B を使用 VM / Cloud SQL を配置 業務アプリの運用に集中

Shared VPCと通常構成の比較

比較ポイント通常構成(プロジェクト別VPC)Shared VPC
ネットワーク管理プロジェクトごとに個別管理ホストプロジェクトで一元管理
セキュリティポリシーチームごとにバラバラになりがち全体で統一・標準化できる
プロジェクト間通信VPC Peeringなど別途必要同一VPCなので自然に通信可能
コスト追跡プロジェクト単位で把握しやすいネットワークコストはホスト側に集約
向いている規模小規模・独立したチーム中〜大規模・複数チームの組織

関連する規格・RFC

規格・ドキュメント内容
Google Cloud Shared VPC 公式ドキュメントホスト/サービスプロジェクトの設定手順・IAMロールの詳細
RFC 4632CIDR(サブネット表記 /24 など)の基本仕様
CIS Google Cloud Foundations BenchmarkShared VPC利用を含むGoogle Cloudのセキュリティ標準

関連用語