クラウドネットワーキング

プライベートDNSゾーン ぷらいべーとでぃーえぬえすぞーん

DNS名前解決VPC仮想ネットワーククラウド内部通信
プライベートDNSゾーンについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

クラウドの中だけで使える「社内専用の電話帳」だよ!インターネットには公開せず、自社のシステム同士が「db.internal」みたいなわかりやすい名前でお互いを見つけられるようにする仕組みなんだ。外からは絶対見えないのがポイント!


プライベートDNSゾーンとは

DNS(Domain Name System) とは、「db.example.com」のような人間が読めるホスト名を、コンピューターが通信に使うIPアドレスに変換する仕組みのことです。インターネット上のDNSは世界中に公開されていますが、プライベートDNSゾーン は、特定のクラウド仮想ネットワーク(VPCや仮想ネットワークなど)の内側だけで有効な、非公開のDNSゾーンです。

たとえば「db-server.internal」というホスト名を登録しておくと、同じ仮想ネットワーク内のサーバーだけがそのIPアドレスを引けるようになります。インターネット上の他のユーザーがそのドメイン名を検索しても、まったく見えません。セキュリティの確保人間にわかりやすい名前での内部通信 の両立を実現するのがプライベートDNSゾーンの役割です。

AWS・Azure・Google Cloudなど主要なクラウドサービスはすべてこの機能を提供しており、マイクロサービスや複数サーバー間の連携が当たり前になった現代のシステム設計では欠かせない基盤技術となっています。


プライベートDNSゾーンの構造と仕組み

プライベートDNSゾーンを構成する要素を整理すると、次のようになります。

要素役割具体例
ゾーン名管理するドメインの範囲internal.example.com / corp.local
DNSレコードホスト名とIPの対応表db → 10.0.1.5(Aレコード)
リンクする仮想ネットワークこのゾーンを使えるネットワークVPC / Azure VNet など
名前解決のスコープどの範囲でだけ解決できるかリンクされたVPCの内側のみ

DNSレコードの主な種類は以下のとおりです。

レコード種別意味使用例
A レコードホスト名 → IPv4アドレスweb.internal → 10.0.0.10
AAAA レコードホスト名 → IPv6アドレスweb.internal → fd00::1
CNAME レコード別名(エイリアス)の設定api.internal → backend.internal
PTR レコードIPアドレス → ホスト名(逆引き)10.0.0.10 → web.internal

覚え方:「内側専用の電話帳」

プライベートDNSゾーンは「会社の内線電話帳」と同じです。社員番号(ホスト名)で誰(サーバー)を呼べばいいかわかるが、その電話帳は社外には公開されていない。公開DNSは「一般の電話帳」、プライベートDNSゾーンは「社内限定の内線電話帳」と覚えると混乱しません。

自動登録(Auto-registration)機能

多くのクラウドサービスでは、仮想マシンを起動すると自動的にプライベートDNSゾーンへレコードが登録される機能があります。手動でIPアドレスを管理する手間がなくなり、スケールアップ・スケールダウンが激しい環境でも常に正確な名前解決が維持されます。


歴史と背景

  • 1980年代:DNSがインターネット標準として整備(RFC 1034 / 1035)。当初は公開前提の設計
  • 2000年代前半:企業内ネットワークでの「内部DNS」運用が一般化。オンプレミスサーバーにBindなどで構築
  • 2006年:AWS EC2のサービス開始。クラウド仮想ネットワーク内でのDNS管理ニーズが急増
  • 2013年頃:AWS Route 53がPrivate Hosted Zoneを提供開始。「クラウドマネージド型のプライベートDNSゾーン」が普及
  • 2017年:Azure Private DNS(プレビュー)提供開始、Google Cloud Private ZonesもCloud DNSに追加
  • 2020年代マイクロサービスアーキテクチャの普及により、サービス間の名前解決基盤としてプライベートDNSゾーンが必須インフラに定着

パブリックDNSゾーンとの比較・クラウド各社の対応

パブリックゾーンとプライベートゾーンの違い

パブリックDNSゾーン (インターネット公開) example.com www → 203.0.113.10 api → 203.0.113.20 🌍 世界中から名前解決できる 外部サービスへの公開に使う プライベートDNSゾーン (仮想ネットワーク内限定) internal.example.com db → 10.0.1.5 cache → 10.0.1.6 🔒 VPC内部からしか見えない 内部サービス連携に使う VS

クラウド各社のプライベートDNSゾーンサービス比較

クラウドサービス名特徴
AWSRoute 53 Private Hosted ZoneVPCに関連付け。複数VPCへの共有が可能
AzureAzure Private DNS ZoneVNetリンクで接続。自動登録機能あり
Google CloudCloud DNS Private ZoneVPCネットワークに関連付け。転送ゾーン設定が柔軟

オンプレミス環境との連携(DNS転送)

クラウドだけで完結しない企業環境では、DNS転送(フォワーディング) という仕組みで、社内の既存DNSサーバーとクラウドのプライベートDNSゾーンを連携させることができます。「corp.localドメインへの問い合わせは社内サーバーへ」「internal.example.comはクラウドへ」のように振り分けることで、ハイブリッドクラウド環境でも一貫した名前解決が実現します。


関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
RFC 1034DNSの概念と機能の定義
RFC 1035DNSの実装仕様と形式
RFC 2782SRVレコード(サービス検出)の定義
RFC 6762mDNS(マルチキャストDNS):ローカルネットワーク内の名前解決
RFC 8499DNS用語集(現代的な定義の整理)

関連用語