負荷分散と可用性

GSLB(グローバルサーバーロードバランシング) じーえすえるびー

ロードバランサーDNS冗長化災害対策CDNフェイルオーバー
GSLBについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

世界中に置いたサーバーを「どこが空いてる?どこが近い?」って賢く振り分けてくれる交通整理係だよ!東京のサーバーが落ちても大阪やニューヨークに自動で切り替わるから、サービスを止めずに運営できるってこと!


GSLBとは

GSLB(Global Server Load Balancing/グローバルサーバーロードバランシング) とは、地理的に離れた複数のデータセンターやサーバーに対して、ユーザーのアクセスを最適な場所へ振り分ける技術です。一般的なロードバランサーが「同じデータセンター内」でサーバーを分散するのに対し、GSLBは「世界規模」で振り分けを行う点が大きな違いです。

仕組みの核心は DNS(ドメイン名とIPアドレスを対応させる仕組み) の応答を動的に切り替えることです。ユーザーが www.example.com にアクセスするとき、GSLBは「このユーザーには東京のサーバーのIPを返そう」「いや、今東京が混んでいるから大阪のIPを返そう」と判断し、DNSの回答を使い分けます。

企業がシステムの DR(ディザスターリカバリー=災害復旧)高可用性(止まらないサービス) を実現するうえで、GSLBは欠かせないインフラ技術のひとつです。システム発注の場面では「マルチリージョン構成」「拠点間冗長化」といった要件が出てきたときに必ず登場します。


GSLBの振り分けロジック

GSLBはただランダムに振り分けるわけではなく、複数の「判断基準」を組み合わせて最適なサーバーを選びます。

振り分け方式内容主な用途
近接性(地理的距離)ユーザーに最も物理的に近い拠点へ誘導レイテンシ(遅延)削減
ラウンドロビン各拠点に順番にアクセスを割り当て均等な負荷分散
重み付き分散拠点ごとに比率を設定して振り分け段階的な移行・カナリアリリース
ヘルスチェック応答しない拠点を自動で除外障害時の自動フェイルオーバー
負荷ベースCPU使用率・接続数が少ない拠点へ誘導ピーク時の過負荷防止

覚え方:「GSLB=グローバルな賢い仕分け係」

「G(ぐるっと世界を見渡して)S(最適な場所を)L(ライブで)B(ばっちり振り分け)」と覚えると頭に入りやすいです。

GSLBとローカルLBの違い

【ローカルLB(普通のロードバランサー)】
        インターネット

        ロードバランサー(1拠点内)
        ↙   ↓   ↘
     Web1  Web2  Web3  ← 同じデータセンター内

【GSLB(グローバルロードバランシング)】
        インターネット

           GSLB(DNS制御)
        ↙         ↘
  東京DC            大阪DC
  ↙ ↓ ↘           ↙ ↓ ↘
W1  W2  W3        W4  W5  W6

歴史と背景

  • 1990年代後半:Webサービスの爆発的普及により、単一データセンターでは対応しきれない大規模トラフィックへの対処が求められる
  • 2000年代前半:F5 NetworksやCitrixなどのネットワーク専業ベンダーがGSLB機能を持つハードウェアアプライアンスを製品化
  • 2001年 9.11同時多発テロ:企業のBCP(事業継続計画)意識が急速に高まり、地理的冗長化の重要性が認識される。DR目的でのGSLB導入が加速
  • 2010年代:クラウドの普及(AWS・Azure・GCPなど)により、クラウドサービス側がGSLB相当の機能(AWS Route 53のヘルスチェック+フェイルオーバーなど)を標準提供し始める
  • 現在オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成でのGSLB活用が主流。CDN(コンテンツ配信ネットワーク)との統合も一般化

GSLBと関連技術の位置づけ

GSLBと関連技術の関係図 ユーザー (世界中からアクセス) GSLB DNS応答を動的に切り替え・振り分け判断 東京 DC ローカルLB Web×3台 大阪 DC ローカルLB Web×3台 NY DC ローカルLB Web×3台 GSLBのヘルスチェック機能 各DCに定期的に死活確認を送信 → 応答なし=自動でDNS応答から除外 → フェイルオーバー完了 (切り替えはDNSのTTL時間内に完了。TTLを短く設定することで迅速な切り替えが可能)

CDNとGSLBの違い

よく混同される CDN(Content Delivery Network) との違いを整理します。

比較項目GSLBCDN
主な目的サーバー間の負荷分散・冗長化静的コンテンツの高速配信
制御レイヤーDNSDNS+エッジサーバーキャッシュ
典型的な対象基幹システム・Webアプリ全体画像・動画・JS/CSSファイル
導入形態自社データセンター or クラウドクラウドサービス(Cloudflareなど)
フェイルオーバー◎ 得意△ 限定的

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
RFC 1794DNS round robinによる負荷分散の初期定義
RFC 2782SRVレコード(サービス位置情報をDNSで提供)
RFC 6891EDNS(拡張DNS)クライアントサブネット情報を用いた地理的振り分けの基盤
RFC 7871Client Subnet in DNS Queries(地理的GSLB判断に使うクライアントIPの伝達)

関連用語