負荷分散と可用性

Azure Front Door あじゅーる ふろんと どあ

CDN負荷分散WAFグローバルロードバランサーエッジネットワークAnycast
Azure Front Doorについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

世界中にあるMicrosoftのネットワーク拠点を使って、ユーザーを「一番近くて速いサーバー」に自動で案内してくれる交通整理係だよ! 攻撃をブロックするセキュリティ機能もセットになってるから、「速い・強い・安定」を一括で面倒見てくれるサービスなんだ!


Azure Front Doorとは

Azure Front Door(アジュール フロント ドア)は、Microsoft Azureが提供するグローバル規模の負荷分散・アプリケーション配信サービスです。世界中に点在するMicrosoftのエッジ(ネットワークの末端拠点)を経由して、ユーザーのリクエストを最適なバックエンドサーバーに振り分けます。「Front Door(正面玄関)」という名前のとおり、Webアプリケーションへの入口を一元管理するサービスです。

単なる負荷分散にとどまらず、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)WAF(WebアプリケーションファイアウォールSSL/TLS終端URLルーティングフェイルオーバー(障害時の自動切り替え) といった機能を一つのサービスとして提供します。これにより、従来は複数の製品を組み合わせて構築していた仕組みを、Azure Front Door単体でまかなえることが大きな特徴です。

特にグローバルに展開するWebアプリケーションや、複数リージョン(地理的なデータセンター拠点)に跨るシステムとの相性が抜群です。日本・米国・ヨーロッパなどにユーザーが分散しているサービスで「どの国のユーザーにも速くて安定したレスポンスを届けたい」という要件を満たすために採用されます。


Azure Front Doorの主な機能

機能カテゴリ具体的な機能何が嬉しいか
グローバル負荷分散世界190以上のエッジPoPへのAnycastルーティングユーザーに最も近い拠点で処理→低遅延
ヘルスモニタリングバックエンドの死活監視・自動フェイルオーバーサーバーが落ちても自動で別サーバーへ切り替え
CDN機能静的コンテンツのエッジキャッシュ画像・JS・CSSをユーザーの近くで配信→高速化
WAF統合OWASPルール・カスタムルールによる攻撃遮断SQLインジェクションXSSなどをエッジで防御
SSL/TLS終端無料マネージド証明書の自動更新証明書管理の手間がゼロに
URLルーティングパスベース・ヘッダーベースの振り分け/api/*はAPIサーバー、/img/*はストレージへ振り分け
セッションアフィニティ同一ユーザーを同一バックエンドへ誘導ログイン状態などのセッション維持に対応

Standardプランと Premiumプランの違い

Azure Front DoorにはStandardPremiumの2つのティアがあります(2022年以降の新世代)。

項目StandardPremium
CDN・負荷分散
WAF(基本ルール)
WAF(Botプロテクション・高度なルール)
Private Link連携(バックエンドの非公開化)
セキュリティレポート
想定用途一般的なWebアプリ高セキュリティが求められる基幹システム

覚え方:「玄関でまとめて対応」

Front Doorは文字どおり「玄関」です。お客さん(ユーザー)が来たら、一番近い玄関スタッフ(エッジ) が応対し、「この用件なら2階(APIサーバー)へ」「あちらは不審者(攻撃)だから入館拒否(WAF)」と仕分けしてくれる受付総合窓口、と覚えましょう。


歴史と背景

  • 2018年: Azure Front Doorが一般提供(GA)開始。当時はCDNとロードバランサーが別サービスだったため、両方の機能を統合したサービスとして登場
  • 2020年: WAF機能との統合が強化。セキュリティ面の需要に対応
  • 2022年: Azure Front Door Standard/Premiumとして新世代に刷新。旧来の「Azure CDN(Microsoftプロファイル)」と統合され、一本化された
  • 現在: MicrosoftのグローバルWAN(Wide Area Network)であるAzure Global Networkを活用し、世界190以上のPoPを持つエッジネットワークを基盤とする

背景として、クラウド時代にWebアプリがグローバル展開を前提とするようになったこと、またDDoS攻撃やWebアプリへの攻撃が増加したことで「ネットワークの入口で一括防御・最適化する」アーキテクチャへの需要が高まりました。


Azure Front Doorと類似サービスの比較

同種のサービスが複数あるため、使い分けを整理します。

サービス提供主な用途グローバル対応
Azure Front DoorMicrosoft AzureグローバルHTTP(S)負荷分散+CDN+WAF✅(190以上のPoP)
Azure Application GatewayMicrosoft Azureリージョン内のHTTP(S)負荷分散・WAF❌(リージョン内)
Azure Load BalancerMicrosoft AzureTCP/UDP レイヤーの負荷分散❌(リージョン内)
AWS CloudFrontAWSCDN中心(グローバル配信)
AWS Global AcceleratorAWSグローバルTCP/UDP最適化
CloudflareCloudflareCDN+WAF+DDoS対策

ポイント: Azure Front Doorは「HTTP/HTTPSのグローバル分散」に特化しています。同じAzure内でも、リージョン内の負荷分散が目的であればApplication GatewayやLoad Balancerを使い分けます。

Azure内の負荷分散サービスの位置づけ(SVG図解)

グローバルレイヤー(インターネット全体) Azure Front Door HTTP/HTTPS・CDN・WAF・グローバル負荷分散 リージョンレイヤー(特定データセンター内) Application Gateway HTTP/HTTPS・WAF・URLルーティング Azure Load Balancer TCP/UDP・レイヤー4・高スループット バックエンド(実際のサーバー・サービス) Azure App Service VM / VMSS AKS(Kubernetes) オンプレミスサーバー

関連する規格・RFC

規格・仕様内容
RFC 7540 (HTTP/2)Azure Front DoorがサポートするHTTP/2プロトコル。接続多重化による高速化
RFC 9114 (HTTP/3)Azure Front DoorはHTTP/3(QUIC)にも対応。モバイル回線など不安定な環境で有利
OWASP Core Rule SetWAF機能で使用される標準的なWebアプリ攻撃検知ルールセット
RFC 6066 (SNI)1つのIPアドレスで複数ドメインのSSL証明書を使い分けるための拡張機能

関連用語