スイッチング

ブロードキャストドメイン ぶろーどきゃすとどめいん

ブロードキャストVLANルータースイッチセグメントARP
ブロードキャストドメインって何?

簡単に言うとこんな感じ!

「全員に一斉放送できる範囲」のことだよ!テレビの地上波みたいに、同じエリア内の全員に届く電波の範囲と同じイメージ。ネットワークでこの範囲が広がりすぎると渋滞が起きるから、ルーターVLANで区切って管理するんだ!


ブロードキャストドメインとは

ネットワーク上で、ある機器が「全員に向けて」送信したデータ(ブロードキャスト)が届く範囲のことをブロードキャストドメインと呼びます。同じブロードキャストドメインに属する機器は、誰かが「みんな聞いて!」と叫んだときに、その声が全員に届きます。逆に、ドメインの外にはその声は届きません。

ブロードキャストは、特定の相手のMACアドレスIPアドレスがわからないときに使われます。たとえば「このIPアドレスを持っている人、MACアドレスを教えて!」と全員に問い合わせるARP(Address Resolution Protocol)がその代表例です。このような通信は必要不可欠ですが、機器が増えるほどブロードキャストの量も増え、ネットワーク全体の帯域を圧迫します。

ルーターはブロードキャストを転送しない性質を持つため、ルーターを境界にブロードキャストドメインは分割されます。一方、スイッチ(L2スイッチはブロードキャストをそのまま転送するため、スイッチで接続されたネットワーク全体が同一のブロードキャストドメインとなります。


ブロードキャストドメインの構造と仕組み

ブロードキャストドメインを正しく理解するには、コリジョンドメインとの違い、そしてスイッチ・ルーター・VLANの役割を整理するのが近道です。

概念範囲を広げる機器範囲を分割する機器
コリジョンドメインハブ(リピーター)スイッチ、ルーター
ブロードキャストドメインスイッチ(L2)ルーター、L3スイッチ、VLAN

ブロードキャストの流れ(ARPを例に)

PC-A が「192.168.1.10 は誰?」と全員に叫ぶ(ARP Request)

同じブロードキャストドメイン内の全機器が受信

PC-B「それ私!MACアドレスはXXです」と返事(ARP Reply)

ルーターの外側には届かない(別ドメインは知らない)

ブロードキャストドメインを分割する方法

方法仕組み特徴
ルーターで物理分割ルーターが境界になるシンプルだが機器コストがかかる
VLAN(仮想LAN)スイッチ上で論理的に分割1台のスイッチで複数ドメインを作れる
L3スイッチスイッチ+ルーティング機能を1台に高速・柔軟に分割可能

覚え方のヒント

「ブロードキャストドメイン=ルーターが壁、スイッチは壁なし」

スイッチはブロードキャストを素通りさせる → ドメインが広がる
ルーターはブロードキャストをブロックする → ドメインが分かれる

この2行を覚えておけば、試験でも実務でも迷いません!


歴史と背景

  • 1970年代〜1980年代初頭:初期のイーサネットはバス型トポロジで、すべての機器が同一セグメント上に接続。ブロードキャストドメインとコリジョンドメインが事実上一致していた
  • 1980年代後半:ネットワーク規模拡大に伴い、ブロードキャストが帯域を圧迫する「ブロードキャストストーム」が問題視されるようになる
  • 1990年代前半:ルーターによるセグメント分割が標準的な設計手法となる。ルーターがブロードキャストドメインの境界として認識され始める
  • 1990年代後半IEEE 802.1Q(VLAN) が標準化され、1台のスイッチ上で複数のブロードキャストドメインを論理的に作成可能になる。物理的な分割なしに柔軟な設計が実現
  • 2000年代以降:L3スイッチの普及により、ルーターなしでもスイッチ単体でブロードキャストドメインを分割・ルーティングできる環境が一般化

ブロードキャストドメインとVLAN・ルーターの関係

VLANを使うことで、1台のスイッチを複数のブロードキャストドメインに論理分割できます。以下の図は、スイッチ1台をVLAN10とVLAN20に分けた場合のイメージです。

ブロードキャストドメインの分割(VLAN構成) ブロードキャストドメイン① VLAN 10(総務部) PC-A PC-B ARP届く PC-C ブロードキャストドメイン② VLAN 20(営業部) PC-D PC-E ARP届く PC-F L2スイッチ ルーター / L3SW ここでブロードキャストが遮断される ARP届かない

上の図のように、VLAN10の機器が送ったブロードキャストはVLAN20には届きません。VLAN間の通信が必要な場合は、ルーター(またはL3スイッチ) を経由してユニキャスト(1対1通信)で行います。

ドメイン分割が必要になる実務サイン

症状原因対処
ネットワークが重い・遅いブロードキャストが多すぎるVLANで分割
部署間でデータを分離したい同一ドメインは通信が見えるVLANでセキュリティ分離
機器が100台以上になってきたARP量が急増ドメイン分割を検討

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
IEEE 802.1QVLANのタギング方式を定義。ブロードキャストドメインの論理分割を実現する基盤規格
RFC 826ARP(Address Resolution Protocol)の定義。ブロードキャストドメイン内で利用される代表的なブロードキャスト通信
RFC 5227IPv4 Address Conflict Detection。ブロードキャストを使ったIPアドレス重複検出の仕様

関連用語

  • VLAN — 1台のスイッチを複数のブロードキャストドメインに論理分割する技術
  • ARP — ブロードキャストドメイン内でIPアドレスからMACアドレスを解決するプロトコル
  • コリジョンドメイン — データの衝突(コリジョン)が発生しうる範囲。スイッチで分割される
  • L2スイッチ — MACアドレスで転送を行うスイッチ。ブロードキャストドメインを広げる
  • L3スイッチ — ルーティング機能を持つスイッチ。ブロードキャストドメインを分割できる
  • ルーター — ネットワーク間を接続しブロードキャストドメインの境界となる機器
  • サブネット — IPアドレスを分割して管理する単位。多くの場合ブロードキャストドメインと対応する
  • ブロードキャストストーム — ブロードキャストが制御不能に増殖しネットワークを麻痺させる障害