「勘」から「データ」へ:計測なき改善は試行錯誤
Googleアナリティクスを導入していても「アクセス数しか見ていない」「問い合わせが何件来ているかGAで確認できない」という状態の中小企業は非常に多いです。アクセス数が増えても問い合わせが増えているかどうかを計測していなければ、改善施策の効果を判断する手段がありません。
Googleアナリティクス4(GA4)でコンバージョンを正しく設定することで、「どのページ経由の訪問者が問い合わせしやすいか」「どの流入元(検索・SNS・広告)が成果につながっているか」が明確になります。これがわかれば、改善の優先度が格段に上がります。
課題の背景:コンバージョン計測が設定されていない理由
理由1:設定の方法がわからない
GA4はユニバーサルアナリティクス(旧GA)と仕様が大きく変わり、設定方法が変わりました。「以前は設定していたが、GA4になってから未設定のまま」というケースが多いです。
理由2:サンクスページが存在しない
フォーム送信後に「ありがとうございます」ページ(サンクスページ)が表示されず、同じページに「送信しました」のメッセージが表示されるだけの場合、URLが変わらないためコンバージョン計測が難しくなります。
理由3:「計測できなくてもなんとなくわかる」という感覚
担当者が「だいたいこのくらい来ているはず」という感覚で運用している場合、正確な数字をとることの優先度が下がります。しかし実際に計測してみると「思ったより少ない」「特定の流入元からしか問い合わせが来ていない」という発見があります。
解決策:GA4でのコンバージョン設定手順
方法1:サンクスページのURLでコンバージョン設定する
最もシンプルな方法です。フォーム送信後に「お問い合わせありがとうございます」というページ(例:/thanks/ や /contact-complete/)が表示される設定になっているサイトで使えます。
手順:
- GA4管理画面の「設定」→「イベント」をクリック
- 「イベントを作成」をクリック
- イベント名:
form_submit_complete(任意) - 条件:
event_name = page_viewかつpage_location contains /thanks - 作成後、「コンバージョンとしてマーク」をオンにする
方法2:Google Tag Managerを使う
コードを直接編集せずにタグを設置・管理できるGoogleのツールです。より柔軟なコンバージョン設定が可能で、フォームの「送信ボタンクリック」や「特定の要素のクリック」をトリガーに設定できます。
基本的な流れ:
- GTMアカウントを作成しサイトにタグを設置
- 「トリガー」でフォーム送信またはサンクスページへの到達を設定
- 「タグ」でGA4のイベントを送信する設定を作成
- GA4側でそのイベントをコンバージョンとしてマーク
コンバージョンデータの活用方法
どの流入元が成果につながっているかを確認する
GA4で「集客」→「トラフィック獲得」レポートを開き、コンバージョン数を流入元別に確認します。
例えばこのような結果が得られます:
- オーガニック検索(Google検索):月12件
- SNS(Instagram):月3件
- 直接アクセス:月2件
- 有料広告:月1件
この場合、SEO対策が最も成果につながっているため、ブログ記事の充実やキーワード対策に投資することが合理的だとわかります。
どのページが問い合わせに貢献しているかを確認する
「探索」→「経路探索」でフォーム完了ページを起点に「前のページ」を追うと、どのページを経由した訪問者が問い合わせしやすいかがわかります。
「事例ページ→料金ページ→問い合わせ」という経路が多いとわかれば、この動線を強化するコンテンツ改善が有効です。
デバイス別のコンバージョン率を確認する
PC・スマートフォン・タブレット別にコンバージョン率が異なる場合、モバイルでの問い合わせ率が低ければスマートフォン対応の改善が優先課題になります。
業種別アドバイス
飲食店
「予約完了」「テイクアウト注文完了」「電話リンクのクリック」の3つをコンバージョンとして設定します。「電話リンクのクリック」はGTMで設定でき、電話での問い合わせをWeb経由で計測できます。
美容室・エステ
外部予約サービス(ホットペッパー・MINIMO など)に遷移するクリック数を「コンバージョン」として設定します。「LINE友達追加ボタンのクリック」も計測できれば、LINEからの問い合わせ経路の計測につながります。
士業(税理士・行政書士)
「フォーム送信完了」に加えて「電話番号クリック(モバイルからの発信)」もコンバージョンとして計測します。士業では電話からの問い合わせが多いため、電話クリック数を把握することで総合的な問い合わせ数がより正確になります。
EC・物販
「購入完了」に加えて「カートに追加」「決済ページ到達」も中間コンバージョンとして計測します。カート→購入完了の「落ち込み率」を把握することで、決済段階での離脱原因を特定できます。
ビフォーアフター事例:神戸市西宮市のコンサルタント会社
Before(コンバージョン未計測)
- 「アクセスは月3,000件あるのに問い合わせが月4〜5件しかない気がする」という感覚的な把握
- 改善の優先度が不明確
After(GA4でのコンバージョン設定後)
- フォーム送信+電話クリックをコンバージョン設定
- 計測開始後の発見:
- スマートフォンからのコンバージョン率がPCの半分以下
- オーガニック検索からの問い合わせが全体の76%
- 事例ページを見たユーザーの成約率が他ページの3倍
- 優先改善:スマホUXの改善+事例ページの充実
- 3ヶ月後:月間問い合わせ:5件→13件(2.6倍)
計測して初めて「何をすべきか」が明確になり、的外れな改善をせずに成果向上できました。
まとめ
Googleアナリティクス4でのコンバージョン計測設定は、ホームページ改善の「羅針盤」です。計測なしで改善を続けることは、地図なしで目的地に向かうようなものです。
設定のステップ:
- サンクスページを用意する(フォーム送信後のお礼ページ)
- GA4でサンクスページ到達をコンバージョン設定する
- 電話クリックもコンバージョンとして設定する(GTMを使用)
- 月1回、コンバージョン数と流入元を確認する
- 数字に基づいて改善の優先順位を決める
まず「今月フォームから何件来ているか」をGA4で確認できる状態にすることから始めてください。