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VPCピアリング ぶいぴーしーぴありんぐ

VPCプライベートネットワークAWSクラウド間接続ルーティングCIDR
VPCピアリングについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

クラウド上の「自分専用のネットワーク(VPC)」どうしを、プライベートな専用通路でこっそりつなぐ仕組みだよ!インターネットを経由しないから速くて安全で、まるで隣の部屋とドアを開けて直接行き来できるようなイメージなんだ!


VPCピアリングとは

VPC(Virtual Private Cloud)とは、クラウド上に作られる「自分専用の仮想ネットワーク空間」のことです。AWSやGCP、Azureなどのクラウドサービスでは、利用者ごとに論理的に分離されたネットワーク環境が提供されており、このネットワーク同士をインターネットを介さずに直接つなぐ技術が「VPCピアリング」です。

通常、異なるVPC間で通信しようとするとインターネットを経由することになり、セキュリティリスクや遅延が生じます。VPCピアリングを使うと、クラウドプロバイダーの内部バックボーンネットワークを使ってVPC同士を直結できるため、外部に通信内容が漏れるリスクを抑えつつ、低遅延で安定した通信が実現できます。

活用シーンとして多いのは、本番環境と開発環境の分離管理部門ごとのシステムを安全につなぐ、あるいは複数のAWSアカウントやリージョン間でサービスを連携させるといったケースです。システムの調達・発注を担うビジネスパーソンにとっても、「なぜこの設計が必要なのか」を理解しておくと、ベンダーとの会話がぐっとスムーズになります。


VPCピアリングの仕組みと構造

VPCピアリングは「ピア(peer=対等な仲間)」という言葉が示す通り、2つのVPCが対等に1対1でつながる構造です。

項目内容
接続方式1対1のプライベート接続(インターネット不使用)
通信経路クラウドプロバイダーの内部ネットワーク
対応範囲同一アカウント内・別アカウント間・別リージョン間
ルーティング各VPCのルートテーブルに手動で追加が必要
料金リージョン内は無料〜低コスト、リージョン間は転送量課金
推移的ルーティング非対応(A-B-Cとつないでも、AとCは直接通信不可)

「推移的ルーティング非対応」とは?

VPCピアリングの重要な制約がこれです。たとえば VPC-A ↔ VPC-BVPC-B ↔ VPC-C とピアリングを張っても、VPC-A と VPC-C は直接通信できません。A→C通信をしたければ、別途 A↔C のピアリングも追加する必要があります。

【OK】  VPC-A ──── VPC-B   (直接ピアリングあり)
【NG】  VPC-A → VPC-B → VPC-C  (中継はできない)
【OK】  VPC-A ──── VPC-C   (別途ピアリングを追加すればOK)

多数のVPCをつなぐ場合、ピアリングの数が爆発的に増えるため、大規模な環境ではAWS Transit Gatewayなどのハブ型接続サービスの利用が推奨されます。

CIDR重複問題

VPCピアリングにはCIDRブロック(IPアドレスの範囲)が重複していると接続できないという制約もあります。たとえば2つのVPCがどちらも 10.0.0.0/16 を使っていると、どちらのIPに通信すべきか区別できなくなります。設計段階でIPアドレスの範囲を整理しておくことが必須です。


歴史と背景

  • 2012年頃 — AWSがVPCを正式リリース。企業がクラウド上に独自のプライベートネットワークを構築できるようになる
  • 2014年 — AWSがVPCピアリングを同一リージョン内でサポート開始。マルチアカウント構成の基盤が整い始める
  • 2017年 — AWSがクロスリージョンVPCピアリングを発表。異なる地域のVPCをつなぐ設計が現実的になる
  • 2018年 — AWS Transit Gatewayが登場。多数のVPCを接続する「ハブ型」アーキテクチャが主流となり、ピアリングは「シンプルな1対1接続」に使い分けられるようになる
  • 現在 — GCP(VPCネットワークピアリング)、Azure(VNet Peering)でも同様の概念が実装・普及しており、マルチクラウド・マルチアカウント設計の標準的な要素となっている

VPCピアリング vs 他の接続方式

VPC間をつなぐ方法はピアリングだけではありません。用途・規模に応じて使い分けが必要です。

VPC接続方式の比較 接続方式 方法の種類 VPCピアリング 1対1の直接接続 Transit Gateway ハブ型・多対多接続 VPN / Direct Connect オンプレミス連携 主な用途 少数VPC間の連携 大規模・多VPC環境 自社データセンター連携 推移的ルーティング ❌ 非対応 ✅ 対応 ✅ 対応(用途が異なる) コスト感 低コスト〜無料 時間課金あり 高め(回線費用含む) 設定の複雑さ シンプル やや複雑 複雑(物理回線含む) 💡 選び方のポイント VPCが3〜4本以内の小規模連携 → ピアリングがシンプルで最適 VPCが5本以上 or 将来拡張予定 → Transit Gatewayを検討 自社データセンターとの接続 → VPN / Direct Connectが本筋

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