LAN・物理層

光ファイバー ひかりふぁいばー

光通信シングルモードマルチモード全反射伝送損失有線通信
光ファイバーについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

光ファイバーは「光で情報を届ける細いガラスの糸」だよ!電気の代わりに光の点滅でデータを送るから、超高速・超長距離でも劣化しにくいんだ。海底ケーブルから家のネット回線まで、インターネットの「背骨」として活躍してるってこと!


光ファイバーとは

光ファイバー(Optical Fiberとは、光を伝送媒体として使うケーブルのことです。髪の毛ほどの細さのガラスやプラスチックの芯(コア)に光を閉じ込め、「全反射」という物理現象を利用して光を遠くまで届けます。電気信号を使う銅線ケーブルとは根本的に仕組みが異なります。

データは「0と1」の光の点滅(オン・オフ)として送られます。光は電磁波の一種であるため、電磁ノイズの影響を受けず、また光速に近い速度で伝わるため、大容量・長距離・高信頼性という三拍子そろった伝送が可能です。

ビジネスの現場では、オフィスビルのバックボーンネットワーク(建物内の幹線)、データセンター間の接続、そして一般家庭向けの「フレッツ光」などのFTTH(Fiber To The Home)回線として広く使われています。「回線が遅い」「安定しない」という悩みを抱える現場では、光ファイバーへの切り替えが解決策になることも多いです。


光ファイバーの構造と仕組み

光ファイバーは層状の構造をしており、光を閉じ込める工夫が施されています。

構成要素材質役割
コア(芯)高純度ガラス / プラスチック光が実際に通る部分
クラッド(被覆1層目)コアより屈折率の低いガラス光をコアに閉じ込める(全反射を起こす)
コーティング樹脂機械的な保護
ジャケット(外皮)強化プラスチック等外部の衝撃・水分から守る

全反射ってなに?光が逃げない理由

光は「屈折率が高い物質から低い物質へ」特定の角度以上で入射すると、外に出ずに100%反射されます。これが全反射です。コアはクラッドより屈折率が高く設計されているため、光はコアの中でジグザグに反射しながら前に進み続けます。まるでトンネルの中を光が跳ね回って進むイメージです。

伝送損失の単位「dB/km」

光も長距離を進むと少しずつ弱まります。この弱まり具合を伝送損失(dB/km)で表します。ガラス製の光ファイバーは0.2 dB/km程度と非常に低損失で、100 kmを超える距離でも中継器なしで通信できます(比較:銅線は数 dB/km程度)。


シングルモードとマルチモードの違い

光ファイバーには、光の通り道(モード)の数によって2種類あります。

シングルモード vs マルチモード シングルモード (SM) コア径: 約9 µm(極細) 光路がほぼ一直線 ✔ 伝送距離: 数十〜数百 km ✔ 帯域幅: 非常に広い ✔ 高速・長距離通信向け ✘ コストが高め 用途: 幹線・海底ケーブル 規格例: OS1, OS2 マルチモード (MM) コア径: 50〜62.5 µm(太め) 複数の光路が乱反射 ✔ 伝送距離: 〜2 km程度 ✔ 接続・取り扱いが容易 ✔ 短距離・構内向け ✘ 長距離では信号劣化あり 用途: LAN・データセンター内 規格例: OM3, OM4, OM5

覚え方:「S(シングル)は速い・遠い・高い、M(マルチ)は身近・短距離・安い」

SM(シングルモード) → 海底ケーブルや通信キャリアの幹線など、遠距離・超高速が必要な場面
MM(マルチモード) → ビルの階層間配線やデータセンター内の棚間接続など、数百メートル以内の構内ネットワーク


銅線ケーブル(メタルケーブル)との比較

光ファイバーを選ぶかどうかは、距離・速度・コストのバランスで決まります。

比較項目光ファイバー銅線(カテゴリケーブル)
伝送速度最大 400 Gbps〜(テラビット級も可能)最大 40 Gbps(Cat8)
伝送距離最大 数十〜数百 km最大 100 m(Cat6A等)
電磁ノイズ耐性ほぼ影響なし影響を受けやすい
重量・柔軟性軽くて細いやや重い・太い
給電(PoE)不可(光は電気を運べない)可能(PoEで機器に給電)
コスト(材料)高め安価
施工難易度曲げに弱い・コネクタ加工が難しい比較的容易
主な用途幹線・WAN・データセンター間社内LAN・デスク〜スイッチ間

実務のポイント: フロア内のデスクへの配線は銅線で十分ですが、建物間の配線や100m超が必要な場合は光ファイバー一択です。また工場や変電所など電磁ノイズが多い環境でも光ファイバーが選ばれます。


主なコネクタの種類

光ファイバーはコネクタの形状も複数あり、発注・仕様確認の際に確認が必要です。

コネクタ名特徴主な用途
SC四角い押し込み式。最もポピュラー企業ネットワーク・FTTHの宅内側
LCSCの半分サイズ・高密度配線向けデータセンター・SFPトランシーバー
ST丸型バヨネット(ひねって固定)式古い企業LANに残存
MTP/MPO12〜24芯をまとめて接続できる多芯コネクタ高密度データセンター
FCねじ込み式・振動に強い計測機器・通信キャリア設備

歴史と背景

  • 1960年 — レーザーが発明され、光通信の理論的基盤が整い始める
  • 1966年 — 高坂君雄・チャールズ・カオ(後にノーベル物理学賞)が「低損失光ファイバーによる通信は可能」と論文発表。光ファイバー通信の出発点となる
  • 1970年 — コーニング社(米)が伝送損失20 dB/km以下のガラスファイバーを実用化。実用化への道が開かれる
  • 1977年 — 世界初の光ファイバー商用電話網が米シカゴで稼働
  • 1988年 — 初の大西洋横断海底光ファイバーケーブル(TAT-8)が開通。インターネットのグローバル化を支えるインフラの礎となる
  • 1990年代 — 波長分割多重(WDM)技術の実用化により、1本のファイバーで複数の波長(色)を同時に通せるようになり、容量が飛躍的に拡大
  • 2000年代〜現在 — FTTHの普及により一般家庭にも光ファイバーが到達。現在では1本のファイバーでテラビット級の通信が可能に

関連する規格・RFC

規格番号内容
IEEE 802.3有線イーサネット規格全般(光ファイバーを使う1000BASE-LX、10GBASE-LR等を含む)
ITU-T G.652シングルモード光ファイバーの標準規格(最も広く普及)
ITU-T G.657曲げに強いシングルモードファイバーの規格(FTTH向け)
TIA-568米国の建物内配線規格(光ファイバーの性能カテゴリOM1〜OM5を定義)

関連用語