ネットワークセキュリティ

ポートスキャン ぽーとすきゃん

ポートTCPUDPNmap脆弱性診断ファイアウォール
ポートスキャンについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

建物のドア(ポート)を一枚ずつノックして「開いてる?」って確認する行為だよ。攻撃者がどこから侵入できるか下調べするときにも使うし、逆に管理者が「どのドアが空いてるか」チェックするセキュリティ診断にも使うんだ!


ポートスキャンとは

ポートスキャンとは、ネットワーク上のコンピューターやサーバーに対して、どのポートが開いているかを順番に調べる行為です。ポートとは、コンピューターがネットワーク通信をやり取りするための「窓口番号」のようなもので、ウェブ通信なら80番・443番、メールなら25番など、用途ごとに番号が決まっています。

ポートスキャンは「攻撃者の侵入準備」と「防御側の自己診断」という、まったく逆の目的で使われます。悪意ある攻撃者は侵入口を探すためにスキャンし、セキュリティ担当者は「うっかり開けっ放しになっているポートがないか」を確認するために同じ技術を使います。どちらの立場で使うかで、脅威にもツールにもなる両刃の剣です。

企業のシステム発注・運用の文脈では、「脆弱性診断ペネトレーションテスト)」の第一歩として必ず登場します。外部の診断会社に依頼すると、まずポートスキャンで「攻撃者から見た自社の顔」を明らかにするところから始まります。


ポートスキャンの仕組みと種類

スキャンの方法はいくつかあり、目的や検出されにくさによって使い分けられます。

スキャン種別仕組み特徴
TCPコネクトスキャン完全なTCP接続(3ウェイハンドシェイク)を確立確実だがログに残りやすい
SYNスキャン(ステルス)SYNパケットだけ送り、接続を完結させない検出されにくい・高速
UDPスキャンUDPポートへパケットを送信遅い・結果が不安定になりやすい
FINスキャンFINパケットを送り、応答の有無を見るファイアウォール回避に使われる
バージョンスキャン開いたポートでどのソフトが動くか調査攻撃の精度を上げるために使う

ポートの「開いている/閉じている/フィルタリング」の違い

応答パターンでポートの状態を判定する

SYN送信 ──→ [対象ポート]

  ・SYN-ACK が返る  → 【OPEN】    サービスが動いている=侵入の可能性
  ・RST が返る      → 【CLOSED】  ポートは閉じている(でも存在は確認できた)
  ・無応答 / ICMP拒否 → 【FILTERED】 ファイアウォールが遮断している

ポート番号の区分

区分範囲用途例
ウェルノウンポート0〜1023HTTP(80), HTTPS(443), SSH(22), FTP(21)
登録済みポート1024〜49151各種アプリケーション
ダイナミックポート49152〜65535接続元が一時的に使う

歴史と背景

  • 1980年代:インターネット黎明期。ポートの概念はTCP/IP規格の整備とともに登場
  • 1990年代前半:ハッカーコミュニティでポートスキャンが攻撃の前段階として広まる
  • 1997年Nmap(Network Mapper) がFyodor(Gordon Lyon)によって公開。現在も最も有名なポートスキャンツール
  • 2000年代:企業のセキュリティ診断(ペネトレーションテスト)サービスが普及し、ポートスキャンが「攻撃調査」だけでなく「防御診断」の標準手順として定着
  • 2010年代以降:クラウド環境の普及で仮想サーバーが急増し、スキャン対象の管理が複雑化。「攻撃対象領域(アタックサーフェス)管理」という概念が登場

攻撃者の視点 vs 防御者の視点

ポートスキャンを誰がどんな目的で行うかによって、意味合いがまったく変わります。

ポートスキャン:攻撃者 vs 防御者の使い方 攻撃者 侵入口を探す 防御者(管理者) 自己診断・監視 ポートスキャン 開放ポートの一覧取得 攻撃者が行うこと ① 開放ポートを発見 ② 動作中サービス・バージョンを特定 ③ 既知の脆弱性と照合 ④ 侵入・マルウェア設置・情報窃取 ⚠ 無断スキャンは不正アクセス禁止法違反   の可能性あり(日本) 防御者が行うこと ① 開放ポートの棚卸し(意図しない公開発見) ② 不要なポートをファイアウォールで遮断 ③ 外部診断会社に依頼して第三者視点で確認 ④ IDS/IPSでスキャン検知・アラート設定 ✓ 自社システムへの診断は合法・推奨

代表的なポートスキャンツール

ツール名特徴主な用途
Nmap最も有名・多機能。CLIベースセキュリティ診断・調査全般
Masscan超高速スキャン大規模ネットワーク調査
Shodanインターネット全体をスキャンした検索エンジン公開資産の把握
Nessus脆弱性スキャナー(ポートスキャンも含む)企業向け脆弱性診断

防御策:ポートスキャンへの対策

対策の優先順位

 高  ┌─────────────────────────────────────┐
     │ ① 不要なポートを閉じる(そもそも開けない)    │
     │ ② ファイアウォールで外部からのアクセスを制限   │
     │ ③ IDS/IPS でスキャン検知・自動遮断           │
 低  │ ④ 定期的に自社でスキャン診断を実施           │
     └─────────────────────────────────────┘

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
RFC 793TCPの基本仕様(3ウェイハンドシェイクの定義)
RFC 768UDPの基本仕様
RFC 1700ウェルノウンポート番号の標準割り当て(現在はIANAが管理)
PCI DSS 要件11カード情報を扱う環境での定期的な脆弱性スキャン義務

関連用語