ネットワーク設計と自動化

NetBox ねっとぼっくす

IPAMDCIMネットワーク管理インフラ自動化オープンソースREST API
NetBoxについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

NetBoxは「ネットワークの地図帳&台帳」だよ!どのIPアドレスが誰に割り当てられているか、どのサーバーがどのラックに刺さっているか、ケーブルはどこに繋がっているか——そういう「ネットワークの全体像」を一元管理できるオープンソースのツールなんだ!


NetBoxとは

NetBox(ネットボックス)は、ネットワークインフラの情報を統合的に管理するためのオープンソースのWebアプリケーションだ。大きく2つの機能を持つ。1つ目はIPAMIP Address Management):IPアドレスやサブネットVLANを台帳として管理する機能。2つ目はDCIM(Data Center Infrastructure Management):物理的なサーバー・スイッチ・ルーターがどのラックのどのスロットに搭載されているかを管理する機能だ。

もともとはデジタルオーシャン(DigitalOcean)社のネットワークエンジニアチームが「社内ツール」として開発し、2016年にオープンソースとして公開した。現在はNetBox Labsが主導するコミュニティプロジェクトとして活発に開発が続いている。「ネットワークの真実の情報源(Source of Truth)」 として機能することを設計思想の中心に置いており、AnsibleTerraformPythonなどのIaC(Infrastructure as Code)ツールと連携してネットワーク自動化の基盤として使われることが多い。

中規模以上の企業やデータセンター事業者にとって、IPアドレスをExcelで管理したり、ラック配置をホワイトボードで把握したりする「脱Excel」の切り札として注目されている。REST APIGraphQL APIを標準搭載しており、他システムとの連携が容易なのも大きな強みだ。


NetBoxの主要機能

機能カテゴリ具体的な管理対象ユースケース例
IPAMIPアドレス / サブネット / VRF / VLAN「この /24 の中で空きIPはどこ?」を即座に確認
DCIMラック / デバイス / ケーブル / 電源サーバー増設時のラック空きスペース確認
仮想化管理仮想マシン / クラスター / インターフェース物理と仮想を一元管理
回線管理プロバイダー回線 / 接続ポイントISP回線の契約情報と物理接続の紐づけ
テナント管理顧客 / 部署 / プロジェクト誰がどのリソースを使っているかの管理
カスタムフィールド任意の属性追加自社固有の情報を柔軟に付与

覚え方:「IPとラックの二刀流」

NetBoxの本質は 「論理(IP)と物理(ラック)をひとつの画面で管理する」 ことだ。「IP台帳=IPAM」と「設備台帳=DCIM」を別々のツールで管理していると、どちらかが古くなる——NetBoxはその問題をまとめて解決するんだ。

NetBoxのデータモデル(主要オブジェクトの関係)

[サイト(拠点)]
  └─ [ラック]
        └─ [デバイス(物理機器)]
              └─ [インターフェース]
                    └─ [IPアドレス] ─── [プレフィックス(サブネット)]
                                              └─ [VRF / VLAN]

歴史と背景

  • 2015年頃:DigitalOceanのネットワークエンジニアリングチームが、急速に拡大するインフラ管理のために社内ツールとして開発開始
  • 2016年:GitHubでオープンソース(Apache 2.0ライセンス)として公開。Djangoフレームワーク(Python)ベースで構築
  • 2017〜2019年:コミュニティが急速に拡大。VLAN管理・仮想化対応など機能が充実
  • 2020年:v2.9でGraphQL APIを導入。自動化ツールとの連携がさらに強化される
  • 2021年NetBox Labsが設立され、エンタープライズサポートとクラウド版(NetBox Cloud)の提供を開始
  • 2022年:v3.xシリーズに移行。UIの大幅刷新とプラグインエコシステムが成熟
  • 2023〜現在:NetBox Enterpriseの展開が進み、大企業・通信キャリアでの採用事例が増加。「ネットワーク自動化のSource of Truth」としての地位が確立

NetBoxのアーキテクチャと連携ツール

NetBoxは単体で使うよりも、自動化ツールのデータソースとして使うことで真価を発揮する。

NetBox を中心とした自動化エコシステム NetBox Source of Truth IPAM + DCIM + API 発見ツール Nmap / LLDP 等 手動入力 / CSV Web UI / Import Ansible 構成自動化 Terraform IaC プロビジョニング Python / pynetbox カスタムスクリプト 監視ツール Zabbix / Grafana REST API / GraphQL

NetBox vs 競合・類似ツール

ツール種別IPAMDCIMAPI費用
NetBoxOSSREST + GraphQL無料(SaaSは有料)
phpIPAMOSSREST無料
Infoblox商用REST高額ライセンス
SolarWinds IPAM商用REST有料
racktablesOSS限定的無料

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
RFC 4632CIDR(Classless Inter-Domain Routing)— NetBoxのプレフィックス管理の基礎概念
RFC 4291IPv6アドレスアーキテクチャ — NetBoxはIPv6も完全サポート
RFC 4364BGP/MPLS IP VPN(VRF) — NetBoxのVRF管理機能の基礎

関連用語

  • IPAM — IPアドレスをデータベースで一元管理する手法・ツール群の総称
  • DCIM — データセンターの物理設備(ラック・電源・冷却)を管理する仕組み
  • Infrastructure as Code — インフラの構成をコードとして記述・管理する考え方
  • REST APIHTTP通信でシステム間のデータ連携を行うインターフェース設計スタイル
  • Ansible — YAMLで記述するオープンソースのIT自動化ツール
  • VLAN — 物理ネットワークを論理的に分割する技術
  • VRF — 1台のルーターで複数の独立したルーティングテーブルを持つ仮想化技術
  • Terraform — インフラをコードで定義・プロビジョニングするHashiCorp製ツール