ISMAP(政府情報システムのためのクラウドサービス安全性評価制度) いすまっぷ
簡単に言うとこんな感じ!
「国が”このクラウドは安全だよ”とお墨付きを与えるリスト」だよ! 政府機関がクラウドを使うとき、セキュリティの審査を通過したサービスだけがリストに載って、そこから選べる仕組みなんだ。民間企業もこのリストを参考にすることが多いよ!
ISMAPとは
ISMAP(Information system Security Management and Assessment Program) は、政府が利用するクラウドサービスのセキュリティを事前に評価・登録する日本独自の制度です。2020年度に運用を開始し、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)・デジタル庁・総務省・経済産業省 の4省庁が共同で運営しています。
政府機関がクラウドを調達する際、ISMAPに登録されたサービスの中から選ぶことが原則とされています。これにより、「調達のたびに各省庁がバラバラにセキュリティ審査をする」という非効率を解消し、一元的かつ継続的なセキュリティ確保 を実現しています。民間企業にとっても、ISMAPへの登録は「政府水準のセキュリティ基準を満たしている」という対外的な信頼性の証明になるため、公共案件に強みを持ちたいクラウドベンダー が積極的に取得を目指す制度です。
ISMAPの仕組みと評価の流れ
登録を希望するクラウド事業者が自ら申請し、第三者の監査機関 によるセキュリティ監査を受けて、基準を満たせばリストに掲載されます。登録後も定期的な更新監査があり、継続的なセキュリティ維持が求められます。
| ステップ | 内容 | 主な担当 |
|---|---|---|
| ① 申請 | クラウド事業者がISMAP事務局に申請 | クラウド事業者 |
| ② 自己点検 | 管理基準に基づく自己チェックシート作成 | クラウド事業者 |
| ③ 第三者監査 | ISMAP登録監査機関による独立監査 | 監査機関 |
| ④ 審査・登録 | 審査委員会による審査後、クラウドサービスリストに掲載 | ISMAP事務局 |
| ⑤ 定期更新 | 原則1年ごとに更新監査 | クラウド事業者+監査機関 |
ISMAP管理基準の構成
評価の根拠となる ISMAP管理基準 は、国際規格 ISO/IEC 27001・27002(情報セキュリティマネジメント)や ISO/IEC 27017(クラウド固有の管理策)などをベースに策定されています。管理策の数は1,000項目以上に上り、組織的・物理的・技術的な広範囲をカバーしています。
ISMAP-LIU(低影響業務向け)
2022年には ISMAP-LIU(Low-Impact Use) というサブカテゴリも開始されました。通常のISMAPより審査基準を緩和し、機密性の低い業務向けのSaaSサービスも登録しやすくしたものです。
| 種別 | 対象 | 審査の厳しさ |
|---|---|---|
| ISMAP | 機密性の高い政府業務向けIaaS/PaaS/SaaS | 高い(1,000項目超) |
| ISMAP-LIU | 低影響業務向けSaaS(ビデオ会議等) | 中程度(簡略化) |
歴史と背景
- 2018年 — 政府が「クラウド・バイ・デフォルト原則」を策定。クラウドを優先利用する方針を打ち出す
- 2019年 — ISMAPの制度設計・管理基準の検討開始。海外の類似制度(米国FedRAMPなど)を参考に日本版を構築
- 2020年6月 — ISMAP運用開始。初期の登録サービスはAWS・Azure・GCPなど主要クラウドを含む数社
- 2021年 — デジタル庁発足に伴い、ISMAPの管轄にデジタル庁が加わる
- 2022年 — ISMAP-LIU(低影響業務向け)の運用開始。利用範囲を拡大
- 2023年以降 — 登録サービス数が増加し、国内外クラウドベンダーの参入が加速
ISMAP と類似制度の比較
日本のISMAPは、米国の FedRAMP を参考に設計されたとされています。両者の違いを理解すると、ISMAPの位置づけがよりクリアになります。
民間企業がISMAPで意識すべきポイント:
- クラウド導入を検討しているベンダーの選定時:ISMAPリストに載っているかどうかを確認するだけで、セキュリティの最低ラインを担保できる
- 自社がクラウドサービスを提供する場合:政府・官公庁向けに売り込むならISMAP登録は事実上の必須条件
- サプライチェーンリスク管理:政府系プロジェクトに関わるSIerやベンダーも、採用クラウドがISMAP登録済みかを問われるケースが増加中
関連する規格・RFC
| 規格番号 | 内容 |
|---|---|
| ISO/IEC 27001 | 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項。ISMAPの管理基準の根幹 |
| ISO/IEC 27002 | 情報セキュリティ管理策の実践規範。管理策の具体的なガイドライン |
| ISO/IEC 27017 | クラウドサービスに特化したセキュリティ管理策のガイドライン |
| ISO/IEC 27018 | クラウド上の個人情報保護に関するガイドライン |
関連用語
- クラウドコンピューティング — インターネット経由でITリソースを利用する仕組み。ISMAPの評価対象
- ISMS — 情報セキュリティマネジメントシステム。ISMAPの管理基準の土台となる国際規格
- ISO/IEC 27001 — 情報セキュリティ管理の国際規格。ISMAP管理基準の中核
- FedRAMP — 米国連邦政府版のクラウドセキュリティ評価制度。ISMAPの参考モデル
- ゼロトラスト — 「何も信頼しない」前提のセキュリティ設計思想
- サプライチェーンリスク — 外部委託や調達先を経由したセキュリティリスク
- 政府共通プラットフォーム — 政府機関が共同利用するクラウド基盤。ISMAP登録サービスが採用される
- 個人情報保護法 — 個人データの取扱いを定める日本の法律。クラウド利用時にも適用される