フォトブックアプリ、ゼロから売れるまで
第7話
ファネルを作る―認知から購入、そしてリピートへ
ファネルとは何か
ローンチ1ヶ月後、売上は出た。でも「次の月も同じように売れる保証」がない。
行き当たりばったりの施策を打ち続けるのではなく、マーケティングファネルという構造で考えるようにした。
ファネル(漏斗)とは、最初に多くの人が入ってきて、段階を経るごとに絞られ、最終的に購入・リピーターになる、その流れを図式化したもの。
今回のファネル設計
【認知】アプリの存在を知る
↓ (SNS広告・口コミ・メディア掲載)
【興味】アプリをダウンロードして開く
↓ (ASO・インフルエンサー)
【検討】フォトブックを作り始める
↓ (オンボーディング・UX)
【購入】注文を完了する
↓ (決済UX・カゴ落ち対策)
【リピート】2回目・3回目を注文する
↓ (リテンション施策)
【推薦】家族・友人に勧める
↓ (紹介プログラム・口コミ)
各ステップに対応するKPIを設定するといいよ。
| ステップ | 指標 | 目標値(初期) |
|---|---|---|
| 認知→興味 | ダウンロード数 | 月1,000件 |
| 興味→検討 | フォトブック作成開始率 | 40% |
| 検討→購入 | 購入完了率(CVR) | 10% |
| 購入→リピート | 3ヶ月以内の再購入率 | 30% |
| リピート→推薦 | 友人紹介数 | 購入者の15% |
数字が取れるようになると、「どのステップがボトルネックか」が見えるんだ。「ダウンロードは増えたのに購入が増えない」なら、UXの問題。「購入はされるのにリピートしない」なら、プロダクトの問題、という判断ができるよ。
CACとLTVのバランス
ファネルを回すには広告費がかかる。そこで大切な考え方が**CAC(顧客獲得コスト)とLTV(顧客生涯価値)**のバランスだ。
CAC:1人のお客さんを獲得するのにかかった費用の合計 ÷ 獲得した顧客数
LTV:1人のお客さんが生涯を通じて払ってくれる金額の合計
健全なビジネスの目安は LTV ÷ CAC ≧ 3。CACの3倍以上のLTVがあれば、広告に投資し続けられる。
今回の数字を計算してみた。
- CAC:1,200円(広告費15万円 ÷ 獲得125人)
- 初回購入単価:3,850円
- リピート率:30%(3ヶ月以内)
- リピート時の平均単価:3,500円
- LTV(1年):3,850 + 3,500 × 0.3 × 2 = 5,950円
- LTV ÷ CAC = 5,950 ÷ 1,200 ≒ 5.0
今の段階ではね。でもこの数字は変動するよ。
広告の競合が増えるとCACが上がる。ユーザーが離脱するとLTVが下がる。常にこの比率をモニタリングして、崩れたら対策を打つ必要があるんだ。
特に「LTVを上げる」施策、つまりリピートを増やすことが、長期的には最も重要な投資になるよ。
リテンション施策
「購入してくれた人が、また購入してくれる」ためのリテンション施策を設計した。
記念日リマインド通知
購入時に「誰の記念日のために作ったか」を聞いておく。翌年の同じ時期に「去年のフォトブック、覚えてますか?今年も作りませんか」という通知を送る。
完成フォトブックのSNS共有促進
フォトブックが届いた頃を見計らって「届きましたか?ぜひSNSでシェアしてください」と通知する。シェア用のハッシュタグを用意して、ユーザーの投稿が新規ユーザーへの広告になる。
アルバムの続きを促す
「第2巻はいかがですか?」機能。前回作ったフォトブックの日付以降の写真を自動でピックアップして提案する。
通知の「量」より「タイミング」と「文脈」が大事だよ。
誕生日の1週間前に来る「去年のフォトブック、今年も」という通知は、迷惑どころか「気が利いてる」と感じてもらえるんだ。
「最後の購入から90日経ちました。また使ってください」という文脈のない通知は嫌がられるよ。
ユーザーの文脈に合わせた通知ができれば、リテンション施策は「押しつけ」ではなく「サービス」になるんだよね。
広告運用の考え方
ファネルの「認知」層を広げるために、Instagram広告を始めた。
ターゲティング設定(初期)
- 年齢:28〜38歳の女性
- 地域:全国
- 興味関心:育児、家族、写真、手作り、プレゼント
- 類似オーディエンス:すでに購入したユーザーに似た人(Lookalike)
クリエイティブの法則
最初の0.5秒でスクロールを止められないと負け。今回は「完成したフォトブックを子どもが嬉しそうに開けているリール動画」が最も成果が高かった。
「商品の機能」ではなく「感情の瞬間」を見せる——インサイトから来た判断が、広告でも正解だった。
最初は月3〜5万円から始めてみよう。データが集まるまでは小さく始めて、効果が見えてきたら増やすといいよ。
広告は「出せば売れる」ではなく、「出してデータを取り、改善して、また出す」サイクルで育てるものなんだ。
最初から大きく張ると、「どのクリエイティブが効いたかわからない」状態になる。少額で複数のクリエイティブをテストして、勝ちパターンを見つけてから予算を集中投下するのが正しい順番だよ。