B2Cアプリの立ち上げ・グロースガイド
第5話
決済をどうする―カゴ落ちとの戦い
カゴ落ち率70%という現実
アプリのβ版を社内の家族に使ってもらったテストで、衝撃的なデータが出た。
フォトブックを作り終えて「注文確認画面」まで到達したユーザーのうち、約70%が購入せずに離脱していた。
一番大事な場面で、7割が去っていく。
カゴ落ちはECの永遠の課題で、業界平均は60〜80%と言われているんだよ。
主な原因はこのあたり。
- 決済情報の入力が面倒:クレカ番号を手入力させる
- 想定外の追加料金:送料・税・手数料が最後に出てくる
- 会員登録を強制される:「ゲスト購入」ができない
- 不安感:「この会社に個人情報を預けて大丈夫か?」
- 決済方法が合わない:使いたい支払い方法がない
どれが原因か、ユーザーに「なぜ買わなかったか」を直接聞いてみよう。
決済方法の選び方
フォトブックのターゲット「30代ママ」が使いやすい決済方法を調査した。
| 決済方法 | 利便性 | 対応コスト | ターゲット適合度 |
|---|---|---|---|
| Apple Pay / Google Pay | ◎ タップ1回で完了 | 中 | ◎ スマホに慣れている |
| クレジットカード | ○ ほぼ全員持っている | 低 | ○ |
| コンビニ払い | △ 来店が必要 | 中 | △ 手間がかかる |
| 後払い(ペイディ等) | ○ クレカ不要 | 中 | ○ カード持っていない層に有効 |
| 銀行振込 | × 手間が多い | 低 | × |
最初から全部は対応しなくていいよ。まず「9割のユーザーをカバーできる組み合わせ」を選ぼう。
今回はApple Pay / Google Pay + クレジットカード + 後払いの3択でスタートすることにしたんだ。
Apple Pay / Google Payが使えると、クレカ番号の手入力が不要になる。これだけでカゴ落ち率が20%前後改善するというデータがあるよ。スマホアプリでは、まずここを対応するのが最優先だね。
決済UXの改善ポイント
決済画面のUIを細かく見直した。
送料は最初から表示する
「フォトブック 3,480円」と表示して、最後の確認画面で「+送料550円」が出てくると、ユーザーは「だまされた感」を持つ。最初の商品ページから「送料550円」を明示する。
セキュリティバッジを表示する
「SSL暗号化対応」「プライバシーマーク取得」などのバッジを決済画面に表示するだけで、購入率が上がる。ユーザーは「怪しくないか」を常に判断している。
「注文を確定する」ボタンの文言
「送信する」より「注文を確定して支払う」の方が、ユーザーは次に何が起きるかわかる。ボタンの文言は曖昧にしない。
変わるよ。A/Bテストで何度も実証されているんだ。
「購入する」より「今すぐ注文する(3,480円)」のように金額を入れると、クリック率が上がるケースがある。「何を押したら何が起きるか」が明確な方が、ユーザーは安心して押せるからね。
文言・色・サイズ・位置。ボタン1つとっても、変数がたくさんある。だからA/Bテスト(2種類の画面を同時に見せて、どちらの成果が高いか比べる手法)が重要なんだよ。
カゴ落ちした人へのリカバリー
カゴ落ちを「ゼロにする」のは不可能だ。だから「落ちた後どうするか」も設計する。
カゴ落ちメール(プッシュ通知)
注文確認画面で止まって1時間経過したユーザーに、プッシュ通知を送る。
「フォトブックが完成してます!今なら送料無料でお届けできます 🎁」
ポイントは「責める」のではなく「背中を押す」トーン。割引や送料無料などのインセンティブをつけると効果が高い。
作りかけの保存
アプリを閉じても、作成中のフォトブックが自動保存される。次に開いたとき「続きから作れます」と通知する。「また最初から」の絶望感をなくす。
タイミングと文言次第だよ。
「さっき見てましたよね?買ってください」という露骨なリターゲティングはウザい。でも「途中まで作ったフォトブック、保存しておきました」という通知は、むしろ親切に受け取られることが多いんだ。
「監視されてる感」ではなく「気にかけてもらえてる感」を出すのが、BtoCで愛されるコミュニケーションの基本だよ。
改善後のカゴ落ち率
決済UXを改善した結果。
| 施策 | 改善効果(目安) |
|---|---|
| Apple Pay対応 | カゴ落ち率 -15% |
| 送料の事前表示 | カゴ落ち率 -8% |
| セキュリティバッジ追加 | 購入完了率 +5% |
| カゴ落ちプッシュ通知 | 離脱者の12%が購入に戻る |
70%だったカゴ落ち率が、施策を重ねて約50%まで下がった。まだ半分は落ちているが、それが業界の現実だ。「完全になくす」ではなく「少しずつ改善し続ける」のがカゴ落ち対策の正しい姿勢。
カゴ落ち率を50%から40%に下げるより、そもそも「カゴに入れる人を2倍に増やす」方が、売上インパクトが大きい場合もあるんだよね。
改善の優先度は「どこのボトルネックを直すと一番売上が伸びるか」で考えてみて。カゴ落ちだけを追うのではなく、ファネル全体を見ることが大事だよ。次の話でそこを詳しく見ていこう。