SLA(サービスレベル合意) えすえるえー(さーびすれべるごうい)
簡単に言うとこんな感じ!
SLAは「Service Level Agreement(サービスレベル合意)」の略で、「このシステムは年間99.9%動いていますよ」「障害が起きたら2時間以内に対応しますよ」みたいなサービス品質の約束事を契約書に書いたものだよ。居酒屋の「注文から10分以内に料理が来なければ割引」みたいなイメージで、達成できなかった場合のペナルティを事前に決めておく仕組みなんだ!
SLAとは
SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意) とは、ITサービスの提供者(ベンダー)と利用者(発注企業)の間で、サービス品質の基準・測定方法・未達時のペナルティを文書化した合意書のことです。
「ちゃんと動いていること」「問題が起きたらすぐ対応すること」というあいまいな期待値を、数値化した指標(メトリクス)として定義するのがSLAの本質です。「稼働率99.9%」「障害一次応答1時間以内」「月次レポート毎月5営業日以内に提出」のように具体的な数字で記述することで、ベンダー・発注者双方が同じ品質基準を共有できます。
SLAが重要になるのは特に保守・運用フェーズです。システム開発が終わって本番稼働が始まると、「どのくらい快適に動くか」「問題が起きたときどう対応してもらえるか」が発注企業の日常業務を直接左右します。SLAがないまま運用保守契約を結ぶと、障害が起きても「どのくらいで直してもらえるか」の基準がなく、交渉ごとになってしまいます。
SLAの主な指標
SLAで定めるべき代表的な指標を整理します。案件の性質に応じて必要な項目を選択・追加してください。
| 指標カテゴリ | 指標名 | 典型的な基準値例 |
|---|---|---|
| 可用性 | 稼働率(Availability) | 99.9%(月約44分のダウンタイムまで許容) |
| 可用性 | 計画外停止回数 | 月1回以内 |
| 障害対応 | 一次応答時間(First Response) | 重大障害:1時間以内、通常:4時間以内 |
| 障害対応 | 復旧目標時間(RTO) | 重大障害:4時間以内 |
| 障害対応 | 復旧目標時点(RPO) | 直前バックアップ時点(最大24時間前) |
| パフォーマンス | レスポンスタイム | 通常操作:3秒以内、検索:5秒以内 |
| サポート | 問い合わせ応答時間 | 平日9-18時:当日中、夜間休日:翌営業日 |
| 報告 | 月次レポート提出期限 | 翌月5営業日以内 |
稼働率と「9の数」
稼働率はよく「ナインの数」で表現されます。
| 表現 | 稼働率 | 年間ダウンタイム目安 |
|---|---|---|
| ツーナイン(99%) | 99% | 約87時間 |
| スリーナイン(99.9%) | 99.9% | 約8.7時間 |
| フォーナイン(99.99%) | 99.99% | 約52分 |
| ファイブナイン(99.999%) | 99.999% | 約5分 |
業務系システムは「スリーナイン」、金融・医療などミッションクリティカルなシステムは「フォーナイン以上」を求めることが多いです。ただし、稼働率が上がるほどコストも大幅に増加することを理解した上で要求しましょう。
歴史と背景
- 1980年代後半:英国政府がITサービス管理フレームワーク「ITIL(IT Infrastructure Library)」の原型を策定。SLAの概念がここで整備される
- 1990年代:テレコム業界(電話・回線サービス)でSLAが一般化。「回線品質の保証」として数値化した合意書が普及
- 2000年代:ITIL v2の普及とともに、企業のIT部門・アウトソーシング契約にSLAが標準的に採用される
- 2007年:ITIL v3リリース。SLAをサービスカタログ・サービスポートフォリオと連携させる考え方が広まる
- 2010年代:クラウドサービス(AWS・Azure・GCP)がSLAを公開する慣行を確立。「SLA違反時のサービスクレジット(返金)」制度が一般化
- 2019年:ITIL 4リリース。SLAを「サービスレベル管理(SLM)」プラクティスとして体系化
SLAの構成要素
関連する規格・フレームワーク
| 規格・フレームワーク | 内容 |
|---|---|
| ITIL 4(AXELOS) | サービスレベル管理(SLM)プラクティスとしてSLAを体系化 |
| ISO/IEC 20000 | ITサービスマネジメントの国際規格。SLA策定・管理を要求事項に含む |
| AWS SLA・Azure SLA(各社公開文書) | クラウドプロバイダーが公開するSLAのサンプル。自社SLA設計の参考になる |
関連用語
- 契約形態(請負・準委任・SES) — SLAはどの契約形態でも添付できるが、保守・運用契約での活用が多い
- KPI・KGI — SLAの指標(稼働率・応答時間)はシステムKPIの一形態
- ベンダー評価 — SLA案の妥当性はベンダー評価の重要な審査ポイント
- TCO(総所有コスト) — SLAのレベルを上げるほど保守コストが増加する
- 受入テスト(UAT) — 本番稼働前にSLAで定めた性能基準を検証するテスト
- 要件定義書 — SLAの品質要件の源泉となる非機能要件を定義する文書