プロジェクト管理の基本概念

P2M(プログラム&プロジェクトマネジメント) ぴーつーえむ

プログラムマネジメントプロジェクトマネジメントミッションスキームモデルシステムモデルサービスモデル
P2Mについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

P2Mは「大きな目標(ミッション)を達成するために、複数のプロジェクトをまとめて管理する日本発のフレームワーク」だよ!単発のプロジェクト管理じゃなくて、会社全体の戦略と結びついた「プログラム」という視点で仕事を整理するのが特徴なんだ。


P2Mとは

P2Mは「Program and Project Management(プログラム&プロジェクトマネジメント)」の略で、日本の経済産業省の支援のもと、2001年に日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が策定した日本発のプロジェクト管理フレームワークです。PMBOKPRINCE2などの海外標準と並ぶ体系として、特に複雑で不確実性の高いプロジェクト群を戦略的に管理することを目的としています。

最大の特徴は「ミッション(使命)」を起点にしている点です。単に「プロジェクトを期限内に終わらせる」ことだけでなく、「そのプロジェクトが組織の戦略・社会的使命にどう貢献するか」を問い続けます。複数の関連プロジェクトをまとめたプログラムという概念を中心に据え、プログラム全体を通じた価値創出を重視します。

ビジネスの現場では、システム開発・インフラ整備・業務改革などが複合した大規模プロジェクトや、官民連携のような複雑な事業に適用されています。特に「なぜこの投資をするのか」というミッション軸での意思決定が求められる場面で力を発揮します。


P2Mの3層構造とモデル

P2Mはプロジェクト管理を「ミッション→プログラム→プロジェクト」の3層で捉えます。

名称役割
第1層ミッション組織の使命・達成すべき目標を定義する
第2層プログラムミッション実現のための複数プロジェクトの束
第3層プロジェクト個々の具体的な作業・成果物を生み出す単位

さらに、プログラムを構成する要素として3つのモデルが定義されています。

モデル名内容
スキームモデルプログラムの構想・事業計画。ミッションをどう実現するかの青写真
システムモデル技術・システム・物理的な仕組みの設計。「何を作るか」の設計図
サービスモデル成果物をどう運用・サービスとして提供するかの計画

覚え方

ミッション(M)からプログラム(P)へ、プロジェクト(P)へ落とす」で「M→P→P = P2M」と覚えると、名前と構造がセットで頭に入ります。

P2Mの知識エリア(主な分野)

P2MはPMBOKの「知識エリア」に相当する概念として11の知識エリアを定めています。

プロジェクト統合マネジメント
プロジェクトスコープマネジメント
プロジェクトタイムマネジメント
プロジェクトコストマネジメント
プロジェクト品質マネジメント
プロジェクト人的資源マネジメント
プロジェクトコミュニケーションマネジメント
プロジェクトリスクマネジメント
プロジェクト調達マネジメント
プロジェクトファイナンスマネジメント(P2M独自)
プロジェクト関係性マネジメント(P2M独自)

PMBOKにはない「ファイナンス」と「関係性(ステークホルダー」の2分野を独自に設けているのがP2Mの特色です。


歴史と背景

  • 1990年代後半:日本の大規模ITプロジェクトの失敗が相次ぎ、プロジェクト管理手法の整備が急務に
  • 1999年:経済産業省がプロジェクトマネジメント推進の研究を開始
  • 2001年:日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ、当時はPMCC)がP2Mガイドブック初版を発行
  • 2003年:P2Mに基づく資格制度「PMS(プロジェクトマネジメントスペシャリスト)」が開始
  • 2008年:ガイドブック改訂版を発行。プログラムマネジメントの概念をより強化
  • 2011年以降:東日本大震災の復興プロジェクトなど、複合的な社会課題への適用が注目される
  • 現在:PMIの「PMBOK」やAxelosの「PRINCE2」と並ぶ国際的な標準として認知され、アジア圏での普及が進む

P2M・PMBOK・PRINCE2の比較

プロジェクト管理の主要フレームワークを比較すると、P2Mの立ち位置が明確になります。

比較項目P2MPMBOKPRINCE2
発祥日本アメリカ(PMI)イギリス(Axelos)
策定年2001年1996年(初版)1989年(初版)
視点ミッション・プログラム中心プロセス・知識エリア中心プロセス・コントロール中心
特徴価値創出・不確実性対応汎用的・広範な知識体系段階的管理・ガバナンス重視
資格PMS / PMR(PMAJ)PMP(PMI)PRINCE2 Practitioner
向いている場面複合・社会的使命のあるプロジェクトあらゆるプロジェクト全般段階管理が必要な組織プロジェクト

以下のSVG図解は、P2Mの3層構造(ミッション→プログラム→プロジェクト)とPMBOKの知識エリア中心の構造を対比したものです。

P2M の構造 ミッション 組織の使命・戦略目標 プログラム 複数プロジェクトの統合管理 PJ-A 開発 PJ-B インフラ PJ-C 改革 ▲ スキーム / システム / サービスモデル 価値創出・不確実性対応を重視 PMBOK の構造 プロジェクト(単体) 統合 Integration スコープ Scope スケジュール Schedule コスト Cost 品質 Quality リスク 他 Risk etc. ▲ 知識エリア × プロセス群 汎用的・プロセス管理を重視

関連する規格・RFC

規格・文書内容
P2Mガイドブック(PMAJ発行)P2Mの公式テキスト。2001年初版、改訂版あり
ISO 21500プロジェクトマネジメントの国際規格。P2Mとも整合性を持つ
ISO 21503プログラムマネジメントのガイダンス。P2Mのプログラム概念と親和性が高い

関連用語