クラウド移行

移行アセスメント いこうあせすめんと

クラウド移行現状調査フィット&ギャップ分析マイグレーションリフト&シフトTCO分析
移行アセスメントについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

引っ越し前に「何を持っていくか・何を捨てるか・何を買い替えるか」を棚卸しする作業だよ!システムをクラウドに移す前に、今のシステムの状態・コスト・リスクをまるごと調べて「移行できるか・どう移すか」を判断するんだ。


移行アセスメントとは

移行アセスメント(Migration Assessment)とは、既存のシステムやインフラをクラウドや新しい基盤へ移行する前に実施する「現状調査・評価」のプロセスです。どのシステムが移行可能か、移行するとどんなメリット・リスクがあるか、費用はどれくらいかかるかを体系的に洗い出します。

「とりあえずクラウドに移そう」と見切り発車すると、移行後に「動かない」「コストが増えた」「セキュリティ要件を満たせない」といったトラブルが多発します。移行アセスメントはそうした失敗を防ぐための設計図を描く前の地盤調査にあたります。

大規模なシステム移行プロジェクトでは、アセスメントの精度がプロジェクト全体の成否を左右するといっても過言ではありません。経営判断・予算確保・スケジュール策定のすべての起点となる、非常に重要な工程です。


移行アセスメントで調べること

移行アセスメントでは、大きく分けて以下の4つの観点から現状を評価します。

観点主な調査内容なぜ重要か
技術適合性OS・ミドルウェアのバージョン、依存関係、API互換性移行先でそのまま動くか判断するため
パフォーマンス要件CPU・メモリ使用量、ピーク時負荷、レスポンスタイムクラウド上の適切なスペック選定に必要
コスト(TCO分析)現在の運用費・ライセンス費 vs クラウド料金移行の経済的メリットを定量化するため
リスク・制約法規制・データ所在地要件、セキュリティポリシー移行できない・条件付きのシステムを識別するため

移行アセスメントの覚え方

技・パ・コ・リ(ぎ・ぱ・こ・り)」で覚えよう!

  • :技術適合性(動くか?)
  • :パフォーマンス(速いか?)
  • :コスト(安くなるか?)
  • :リスク(問題ないか?)

アセスメント結果による移行パターン分類(7R)

アセスメントの結果、各システムは以下のいずれかに分類されます。

分類英語意味
再ホストRehost(リフト&シフト)そのままクラウドに引っ越し
再プラットフォームReplatform少し手を加えてクラウド最適化
再購入RepurchaseSaaSへ乗り換え
再設計Refactor/Re-architectクラウドネイティブに作り直し
保持Retain当面オンプレミスのまま維持
廃止Retire不要なので廃止
保留Relocate判断を後回しにする

歴史と背景

  • 2000年代前半:大規模なデータセンター統合プロジェクトが増加し、移行前の現状調査の重要性が認識され始める
  • 2006年:AWS(Amazon Web Services)の商用提供開始。クラウドへのシステム移行という新しい文脈でアセスメントの需要が高まる
  • 2010年代前半:企業の「クラウドファースト」方針が広まり、既存システムの棚卸し・評価が組織的な課題に
  • 2013年頃:ガートナーが「5R」(後に7Rに発展)のフレームワークを提唱し、移行アセスメントの標準的な考え方として普及
  • 2017年以降:AWSの「Migration Evaluator」、Azureの「Azure Migrate」など、クラウドベンダー自身がアセスメントツールを無償提供し始める
  • 2020年代:DX推進・レガシーシステム刷新の機運が高まり、移行アセスメントは日本企業でも必須プロセスとして定着

アセスメントのフローと各フェーズ

移行アセスメントは一般的に以下の流れで進みます。

Phase 1 スコープ定義 対象システム確定 Phase 2 現状調査 データ収集・棚卸し Phase 3 分析・評価 技術・コスト・リスク Phase 4 移行計画策定 優先順位・スケジュール・予算 主な成果物 ・システム台帳 ・依存関係マップ ・TCO試算書 ・7R分類表 ⏱ 一般的な期間目安:小規模(20システム以下)=2〜4週間 / 大規模(100システム超)=2〜3ヶ月 ※ クラウドベンダー提供ツール(Azure Migrate / AWS Migration Evaluator)を使うと自動収集で短縮可能

アセスメントを自社でやるか、外部委託するか

観点自社実施外部委託(SIer・コンサル)
コスト人件費のみ(低)委託費が発生(高)
精度内部事情に詳しい反面、客観性が薄れる客観的・標準的な評価が得やすい
スピード担当者の工数次第で遅延しやすい専任チームで短期集中できる
向いているケースシステム数が少ない・ IT人材が充実している大規模・初めてのクラウド移行

関連する規格・RFC

規格・文書内容
AWS Migration EvaluatorAWSが提供する移行前コスト試算・インベントリ収集ツール
Azure MigrateMicrosoftが提供するオンプレミスからAzureへの移行アセスメントツール
Google Cloud Rapid Assessment & Migration Program (RAMP)Googleが提供する移行支援・アセスメントプログラム
TOGAF(The Open Group Architecture Framework)エンタープライズアーキテクチャ設計のフレームワーク。現状(As-Is)→将来(To-Be)の分析手法として参照される

関連用語