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保守・運用契約 ほしゅ・うんようけいやく

保守契約運用契約SLAシステム保守障害対応月額費用
保守・運用契約について教えて

簡単に言うとこんな感じ!

保守・運用契約は「システムを安全に動かし続けるための継続的なお世話の契約」だよ。家に例えると、家を建てた後も「壊れたら直す・設備点検する・リフォームする」担当を決めておく契約みたいなものだね。システムは完成したら終わりじゃなくて、その後の管理コストが総費用の7割を占めるとも言われてるんだ!


保守・運用契約とは

保守・運用契約とは、システムの本番稼働後に、そのシステムを安定して動かし続けるためにベンダーと結ぶ継続的な契約です。「開発契約」が家を建てる契約なら、「保守・運用契約」は家の管理組合や設備業者との年間メンテナンス契約に相当します。

保守・運用契約の範囲は大きく2つに分けられます。「保守(Maintenance)」 はシステムの不具合修正・バージョンアップ・機能改善など、システム自体への変更を伴う作業です。一方 「運用(Operation)」 は日次バッチ処理の監視・バックアップ実施・ログ確認など、システムを日々動かし続けるルーティン作業を指します。この2つを一体化した契約を結ぶケースが多いですが、別々のベンダーに分けることもあります。

発注者にとって重要なのは、契約内容の範囲と費用が明確かどうかです。「保守契約があれば何でもやってもらえる」と思い込んでいると、いざ障害が起きたときに「それは契約範囲外です」と言われるトラブルが発生します。契約前に対応範囲・応答時間・費用の上限・追加作業の単価などをしっかり確認しましょう。


保守・運用の主な作業内容

分類作業内容説明
障害対応障害検知・一次切り分け・復旧系統障害発生時の対応。SLAで応答時間を規定
予防保守定期点検・ログ監視・性能監視障害を未然に防ぐための日常的な監視作業
適応保守OS・ミドルウェアのバージョンアップ外部環境の変化(セキュリティパッチ等)への対応
完全化保守機能改善・性能改善使い勝手向上や新機能追加。別費用になるケースも
バックアップ管理データバックアップ・復元テスト定期的なデータ保全と復元手順の維持
セキュリティ対応脆弱性対応・セキュリティパッチ適用新たに発見された脆弱性への迅速な対処
ドキュメント管理構成管理・手順書更新システム構成や操作手順書の最新化

契約形態の種類

契約タイプ特徴向いている場面
月額固定型毎月定額で対応範囲内の作業を実施作業量が予測しやすい安定したシステム
従量課金作業量・障害件数に応じて費用発生作業量が少なく低コストを重視する場合
スポット対応型必要な時だけ都度依頼小規模システムや自社対応が中心の場合
SLA連動型SLA違反時にペナルティ・割引が発生高可用性が求められるシステム

歴史と背景

  • 1970年代:メインフレーム全盛期。IBMなどのベンダーが「ハードウェア保守契約」という形でサービスを開始。月額保守費用の概念が普及する
  • 1980〜90年代:オフコン・パソコンの普及でソフトウェア保守契約が一般化。「年間保守費=購入価格の15〜20%」という慣行が根付く
  • 2000年代:ITIL(IT Infrastructure Library)の普及により「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」などのプロセスが体系化され、保守・運用契約の内容が標準化される
  • 2010年代:クラウドサービスの普及により、ベンダーが保守・運用を内包した「マネージドサービス」が増加。従来型保守契約の見直しが進む
  • 2020年代:DX推進の流れで「攻めのIT(新機能開発)」と「守りのIT(保守・運用)」のバランスが議論される。ローコード・SaaS活用により保守コスト削減も進む

保守・運用費の目安と費用構造

システムライフサイクルとコスト構造 初期開発費用(一般的に総費用の30〜40%) 要件定義・設計・開発・テスト・初期導入 保守・運用費用(一般的に総費用の60〜70%) ※ 5〜10年間の累積では初期費用を大きく上回ることも 障害対応・監視 セキュリティ対応 機能改善・変更 保守費の年額目安(開発費に対する割合) 軽量対応 10〜15%/年 標準対応 15〜25%/年 高品質対応 25〜40%/年 24h/365日 40%〜/年

関連する規格・RFC

規格・標準内容
ISO/IEC 14764ソフトウェア保守の国際標準。保守の分類(是正・適応・完全化・予防)を定義
ITIL v4ITサービス管理のベストプラクティス集。保守・運用プロセスを体系化
ISO 20000ITサービスマネジメントの国際標準。SLAを含む保守・運用体制の要件を規定

関連用語