Have I Been Pwned はぶ あい びーん ぽーんど
簡単に言うとこんな感じ!
自分のメールアドレスやパスワードが、過去にどこかのサービスから流出していないかを無料で調べられるサービスだよ!「自分のアカウント、大丈夫かな?」って不安なときに、まず調べるべき定番サイトなんだ。
Have I Been Pwnedとは
Have I Been Pwned(略称: HIBP)は、世界中で発生したデータブリーチ(情報漏洩事件)で流出したメールアドレスやパスワードのデータベースを収集・公開している無料の調査サービスです。ユーザーは自分のメールアドレスを入力するだけで、過去に何らかのサービスから自分の情報が漏れていないかを即座に確認できます。
サービス名の “Pwned”(ポーンドと読む)は、オンラインゲームのスラングで「完全にやられた・支配された」を意味します。つまり「私はハックされたことがある?」というストレートな問いかけがサービス名そのものになっています。2013年にオーストラリアのセキュリティ研究者Troy Hunt(トロイ・ハント)が個人プロジェクトとして立ち上げ、現在では150億件以上のアカウント情報を収録する世界最大規模の流出データ検索サービスに成長しました。
企業の情シス担当者やセキュリティ専門家だけでなく、一般のビジネスパーソンにとっても「自社サービスや社員アカウントが危険にさらされていないか」を手軽に確認できる実務的なツールとして広く活用されています。
できることと仕組み
HIPBが提供する主な機能は以下の3つです。
| 機能 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| メールアドレス検索 | 指定したアドレスが何件・どのサービスの漏洩に含まれるかを表示 | 個人・企業 |
| パスワード検索(Pwned Passwords) | 特定のパスワードが過去に流出したことがあるかを確認 | 個人 |
| ドメイン監視 | 企業ドメイン(例: @example.com)全体を監視し、新規漏洩時にアラートを通知 | 企業・情シス |
パスワード検索の「k-Anonymity」方式
パスワードを検索する際、そのまま文字列を送信するとサーバー側に平文パスワードが漏れてしまいます。HIPBはこの問題をk-Anonymity(k-匿名性)という方式で解決しています。
1. ユーザーのパスワードをSHA-1ハッシュ値に変換
例: "password123" → "CBFDAC6008F9CAB4083784CBD1874F76618D2A97"
2. 先頭5文字だけをAPIに送信
送信: "CBFDA"
3. サーバーは先頭5文字が一致する全ハッシュのリストを返す
(数百〜数千件)
4. ユーザーの端末側でリストの中に自分のハッシュが含まれるか照合
これにより、サービス側に実際のパスワードやフルハッシュが渡らない仕組みになっています。
覚え方のポイント
「HIBP = Have I Been Pwned = ハックされた?を英語で直球に聞くサービス」
「Pwned(ポーンド)」はゲーマースラングで「やられた」という意味。チェスの駒「ポーン(Pawn)」が打ち間違えで”Pwn”になり、そのまま定着した言葉です。
歴史と背景
- 2013年12月 — Troy Huntがサービスを公開。Adobe社の大規模漏洩(1億5000万件)がきっかけで開発
- 2014年 — 複数の大型ブリーチ(Snapchat, Struts等)を追加収録。利用者が急増
- 2016年 — LinkedIn・MySpace・Tumblrの巨大漏洩データを追加。収録件数が10億件を突破
- 2017年 — Pwned Passwords機能を追加。流出パスワードのハッシュ検索が可能に
- 2018年 — k-Anonymity方式をAPIに実装。プライバシーを保ったままパスワード確認が可能に
- 2019年 — 「Collection #1」と呼ばれる7億7300万件の巨大リスト流出をいち早く収録・警告
- 2020年 — オーストラリア政府との協力体制を開始。公的機関でも活用される存在に
- 2021年 — FBIおよびNCA(英国国家犯罪庁)がHIPBのデータ提供パートナーに参加
- 2024年現在 — 収録メールアドレス15億件以上、パスワードハッシュ900億件以上を保持
データブリーチとクレデンシャルスタッフィングの関係
HIPBが重要な理由は、流出した情報がクレデンシャルスタッフィング攻撃(他サービスへの不正ログイン試行)に悪用されるからです。
主要サービスとの連携
HIPBのデータは単体サービスにとどまらず、他の製品にも組み込まれています。
| 連携先 | 活用方法 |
|---|---|
| Google Chrome / Firefox | 保存パスワードの漏洩チェック機能に内部利用 |
| 1Password | Watchtowerで流出パスワードを自動警告 |
| Cloudflare | セキュリティ製品のリスク判定に利用 |
| 各種IDaaSサービス | ログイン時の危険パスワード検知に活用 |
関連する規格・RFC
| 規格・RFC番号 | 内容 |
|---|---|
| RFC 9116 | security.txtの標準仕様。HIBPを含むセキュリティ報告窓口の記述方法を規定 |
関連用語
- ./320-credential-stuffing.md — クレデンシャルスタッフィング:流出ID・パスワードを使った他サービスへの不正ログイン攻撃
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- ./322-password-manager.md — パスワードマネージャー:複数のパスワードを安全に一元管理するツール
- ./323-mfa.md — 多要素認証(MFA):パスワード以外の要素を加えてなりすましを防ぐ認証方式
- ./324-sha1.md — SHA-1:データをハッシュ値に変換する暗号学的ハッシュ関数の一種
- ./326-dark-web.md — ダークウェブ:通常の検索エンジンからアクセスできない匿名ネットワーク上の領域
- ./327-k-anonymity.md — k-匿名性:個人を特定されないようにデータを送受信するプライバシー保護手法
- ./328-phishing.md — フィッシング:偽サイトや偽メールで認証情報を騙し取る攻撃手法