DREAD(脅威評価モデル) どれっど
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DREADについて教えて
DREADとは
DREADとは、ソフトウェアやシステムにおけるセキュリティ上の脅威・リスクを定量的(数値で)評価するためのフレームワークです。Microsoftが2000年代初頭に開発・公開し、脅威モデリングの現場で広く活用されてきました。
DREADという名称は、評価に使う5つの指標の頭文字を並べたものです。Damage(被害の大きさ)・Reproducibility(再現性)・Exploitability(攻撃の容易さ)・Affected Users(影響するユーザー数)・Discoverability(発見されやすさ)の5項目で構成されます。各項目を1〜10点で採点し、その平均または合計値によってリスクの優先度を判断します。
「このシステムにはたくさんの脆弱性があるけど、どこから直せばいいの?」という問いに答えるためのツールです。感覚や勘ではなく、共通の物差しで複数のリスクを比べて優先順位をつけることができるため、セキュリティ担当者や開発チームが会話・議論をする共通言語としても機能します。
DREADの5つの評価軸
| 頭文字 | 項目名 | 意味 | 評価の目安(低→高) |
|---|---|---|---|
| D | Damage(被害) | 攻撃が成功した場合の被害の深刻さ | 情報漏えいなし → 機密データ全流出 |
| R | Reproducibility(再現性) | 攻撃をどれだけ簡単に再現できるか | 特定条件でのみ再現 → いつでも確実に再現可能 |
| E | Exploitability(攻撃容易性) | 攻撃を実行するためのスキル・コストの低さ | 高度な専門知識が必要 → ツール1つで誰でも可能 |
| A | Affected Users(影響ユーザー数) | 被害を受けるユーザーの範囲 | 個人1人 → 全ユーザー・社会全体 |
| D | Discoverability(発見容易性) | 攻撃者が脆弱性を見つけやすいか | 深くコードを読まないと見えない → 公開情報から一目瞭然 |
覚え方:「ドレッドな攻撃、いつでも全員バレてる」
- ド(Damage)= ダメージはどれほど?
- レ(Reproducibility)= 再現できる?
- ッ(Exploitability)= 攻撃しやすい?
- ド(Affected Users)= 大勢が影響受ける?
- な(Discoverability)= 見つけられやすい?
スコアの計算方法
各項目を1〜10点で採点し、スコアを算出します。
DREADスコア = (D + R + E + A + D) ÷ 5
例:
Damage = 8
Reproducibility = 7
Exploitability = 6
Affected Users = 9
Discoverability = 5
スコア = (8+7+6+9+5) ÷ 5 = 7.0 (高リスク)
一般的なリスクレベルの目安は次のとおりです。
| スコア範囲 | リスクレベル | 対応方針の目安 |
|---|---|---|
| 8〜10 | 🔴 高(Critical) | 即時対応必須 |
| 4〜7 | 🟡 中(Medium) | 計画的に対応 |
| 1〜3 | 🟢 低(Low) | 監視継続・低優先 |
歴史と背景
- 1999〜2002年頃:Microsoftが社内のセキュリティ開発プロセス強化を推進。SDL(Security Development Lifecycle) の一環として脅威モデリング手法を体系化しはじめる
- 2002年:Microsoftが「STRIDE」と「DREAD」を組み合わせた脅威モデリング手法を公式に提唱。STRIDEで脅威の種類を分類し、DREADでそのリスク度を定量評価するという2段階アプローチが確立される
- 2000年代中盤:書籍『Threat Modeling』(Frank Swiderski & Window Snyder, Microsoft Press)でDREADが広く紹介され、セキュリティエンジニアの間に普及
- 2008〜2010年頃:Microsoftが「Discoverability(発見容易性)の採点が攻撃者目線に偏りすぎており、防御側の動機を下げる」として、社内ではDの項目を除外した4項目評価に変更するケースも登場
- 2010年代以降:OWASPなどのコミュニティではDREADをベースにしつつ独自に改良したリスク評価モデル(OWASP Risk Rating Methodology)が登場。DREADそのものは「主観性が高い」という批判も受けながらも、教育・入門用フレームワークとして現在も広く使われている
STRIDEとの関係:セットで使う脅威モデリング
DREADは単独でも使えますが、STRIDEと組み合わせることで真価を発揮します。STRIDEが「どんな種類の脅威か」を分類し、DREADが「その脅威はどれほど深刻か」を数値化する、という役割分担です。
他のリスク評価フレームワークとの比較
| フレームワーク | 開発元 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| DREAD | Microsoft | 5項目を数値化して平均スコアで優先度決定。シンプルで導入が容易 | 開発初期の脅威モデリング・教育目的 |
| CVSS(共通脆弱性評価システム) | FIRST | 国際標準の脆弱性スコアリング。Base/Temporal/Environmental の3層構造 | 既知の脆弱性(CVE)の深刻度評価 |
| OWASP Risk Rating | OWASP | DREADを発展させた8項目評価。可能性×影響度の2軸で判断 | Webアプリケーションのリスク評価 |
| FAIR | FAIR Institute | 金銭的損失を確率論的に算出。精度が高い分、習得コストも高い | 経営層への定量的なリスク報告 |
関連する規格・RFC
※ DREADはMicrosoftの社内手法が起源であり、IETFや ISOによる公式標準規格は存在しません。ただし、脆弱性の定量評価に関連する規格として以下が参考になります。
| 規格・参考文書 | 内容 |
|---|---|
| NIST SP 800-30 | リスクアセスメントのガイドライン(NIST) |
| CVSS v3.1 Specification | 共通脆弱性評価システムの仕様(FIRST.org) |
関連用語
- STRIDE — 脅威を6種類に分類するMicrosoftの脅威モデリングフレームワーク
- 脅威モデリング — システム設計段階でリスクを洗い出し・分析する手法
- CVSS — 脆弱性の深刻度を国際標準で定量評価するスコアリングシステム
- 脆弱性 — 攻撃者に悪用されうるシステムの弱点・欠陥
- SDL(Security Development Lifecycle) — Microsoftが策定したセキュリティを組み込んだ開発プロセス
- OWASP — Webアプリのセキュリティ標準・ガイドラインを提供するオープンコミュニティ
- ペネトレーションテスト — 擬似的な攻撃でシステムの脆弱性を検証するセキュリティテスト手法
- リスクアセスメント — 情報セキュリティ上のリスクを特定・分析・評価するプロセス