iperf あいぴーふ
簡単に言うとこんな感じ!
ネットワークの「本当の速さ」を測るツールだよ!インターネット回線の速度テストサイトみたいなもので、2台のPCの間でデータを流して「実際にどれくらいの速さで通信できるか」をズバリ計測してくれるんだ!
iperfとは
iperf(アイピーフ)とは、2台のコンピューター間でデータを送受信し、ネットワークの実効帯域幅(スループット) を測定するためのオープンソースのコマンドラインツールです。「Webの速度テストサイト」はインターネット全体の速度を測るのに対し、iperfは社内LAN・データセンター間・拠点間VPNなど、任意の2点間の通信品質を直接計測できるのが最大の特徴です。
現在は後継版のiperf3が広く使われており、TCP・UDPの両方でテストができます。TCPテストでは「実際に安定して流せる最大速度(スループット)」を、UDPテストでは「パケットロス率・ジッター(遅延のばらつき)」も計測できます。ネットワーク機器の導入前後の比較・障害調査・SLA(サービス品質保証)の確認など、インフラ担当者の必須ツールとして広く使われています。
iperf自体はソフトウェアのインストールだけで動作し、特別なハードウェアは不要です。サーバー側とクライアント側の2台にiperfを入れるだけで計測を始められるため、手軽さも人気の理由の一つです。
iperfの仕組みと主な計測指標
iperfはサーバー・クライアント方式で動作します。一方の端末をサーバーモードで待機させ、もう一方のクライアントから接続してデータを送り合うことで、その間の通信性能を測ります。
| 計測指標 | 意味 | どんなときに重要? |
|---|---|---|
| スループット(帯域幅) | 単位時間に転送できたデータ量(Mbps/Gbps) | 回線増速の効果確認・機器選定 |
| パケットロス率 | 送ったデータのうち届かなかった割合(%) | VoIP・映像伝送品質の確認 |
| ジッター | 遅延時間のばらつき(ms) | リアルタイム通信(Web会議など)の品質評価 |
| RTT(往復遅延) | データが往復するのにかかる時間(ms) | 拠点間・クラウド接続の応答性確認 |
コマンドの基本構造
# サーバー側(待ち受け)
iperf3 -s
# クライアント側(接続して測定)
iperf3 -c <サーバーのIPアドレス>
# UDPで帯域1Gbpsを指定して計測
iperf3 -c <サーバーIP> -u -b 1G
# 測定時間を30秒に設定
iperf3 -c <サーバーIP> -t 30
iperf vs iperf3 の違い
| 比較項目 | iperf(v2) | iperf3 |
|---|---|---|
| 開発状況 | メンテナンスのみ | 積極的に更新中 |
| 複数並列ストリーム | ◎ 対応 | △ 一部制限あり |
| JSON出力 | △ なし | ◎ 対応(自動化向き) |
| 双方向同時計測 | △ 別途必要 | ◎ --bidir オプション |
| 現在の推奨度 | 特殊用途向け | ✅ 一般推奨 |
覚え方
「iperf = 実際に水を流してみる水道管テスト」 カタログスペック(最大〇〇Mbps)ではなく、実際に流してみた結果が分かる。工事後に「本当に通るか」を確かめるイメージで覚えよう。
歴史と背景
- 1999年 — 米国NLANR(National Laboratory for Applied Network Research)がiperfを開発。高速ネットワーク研究の評価ツールとして誕生
- 2000年代前半 — Linux・Unix系OSで標準的なネットワーク計測ツールとして普及。Windowsバイナリも提供開始
- 2010年 — ESnet(米国エネルギー省のネットワーク研究機関)がiperf3の開発を開始。コードを一から書き直しクリーンなアーキテクチャに
- 2014年 — iperf3の安定版がリリース。JSONオプションや双方向計測など現代的な機能を追加
- 2020年代 — クラウド移行・SD-WAN普及に伴い、拠点間・クラウド接続の性能評価ツールとしてさらに重要性が増大。DockerイメージやRaspberry Piでの活用も一般化
iperf測定の構成と使われ方
iperfを使った実際の計測はこのような構成で行います。
実務でよく使われるシーン
| シーン | 測定ポイント | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 新規回線の開通確認 | 拠点 ↔ 本社 | 契約帯域が実際に出ているか |
| Wi-Fi設計の検証 | 端末 ↔ APルーター | 電波環境でのスループット |
| クラウド接続の評価 | オンプレ ↔ クラウドVPC | 専用線・VPNの実効速度 |
| 障害調査 | 問題発生区間を絞り込み | どの区間で速度低下しているか |
| 機器更新前後の比較 | 同一区間で前後計測 | 新機器の効果を数値で証明 |
関連する規格・RFC
| 規格・RFC番号 | 内容 |
|---|---|
| RFC 793 | TCP(Transmission Control Protocol)の定義。iperfのTCPモードの基盤プロトコル |
| RFC 768 | UDP(User Datagram Protocol)の定義。iperfのUDPモードの基盤プロトコル |
| RFC 2544 | ネットワーク機器のベンチマーク手法の標準。iperfによる計測の参考規格 |
関連用語
- スループット — 単位時間に実際に転送できたデータ量。iperfが計測する主要指標
- 帯域幅 — ネットワークが理論上転送できるデータ量の最大値
- ジッター — パケット遅延のばらつき。UDPモードで計測できるリアルタイム通信品質の指標
- パケットロス — 送信されたパケットが届かない割合。UDP計測で把握できる
- TCP — 信頼性重視の通信プロトコル。iperfのデフォルト計測モード
- UDP — 速度重視の通信プロトコル。VoIPや映像品質の評価に使うiperfモード
- ping — ネットワーク疎通確認ツール。RTTを計測するiperfの兄弟的存在
- Wireshark — パケットキャプチャツール。iperfと組み合わせて障害の深掘り調査に使う