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レイテンシー れいてんしー

遅延RTT(ラウンドトリップタイム)スループットpingQoSレスポンスタイム
レイテンシーって何?「遅延」と何が違うの?

簡単に言うとこんな感じ!

レイテンシーは「データが出発してから相手に届くまでの時間」のことだよ!宅配便で言うと「荷物を出してから受け取り先に届くまでにかかる時間」がレイテンシー。「遅延」とほぼ同じ意味で使われるんだけど、特に「どれだけ待たされるか」に着目した言葉なんだ!


レイテンシーとは

レイテンシー(Latency)とは、データや信号が送信元から宛先に届くまでにかかる時間的な遅れのことです。単位はミリ秒(ms)で表されることが多く、数値が小さいほど「遅れが少ない=快適」を意味します。

ネットワークの世界では「遅延」とほぼ同義で使われますが、厳密には遅延(Delay)が原因や要素を指す言葉であるのに対し、レイテンシーは体感・計測値としての待ち時間を指すことが多いです。たとえばオンライン会議で相手の声が遅れて聞こえる、クラウドシステムのボタンを押してから反応が来るまでに時間がかかる——そういった「もたつき感」の正体がレイテンシーです。

ビジネスシステムの発注・選定においても、レイテンシーは体感品質(UX)に直結する重要指標です。スループット(通信量)が十分でも、レイテンシーが高いとユーザーはシステムを「遅い」と感じます。インフラやクラウドサービスを選ぶ際には必ず確認したい数値です。


レイテンシーの構成要素

レイテンシーは「1つの原因」ではなく、複数の遅延が積み重なって発生します。

種類内容
伝搬遅延信号が物理的に距離を移動する時間東京→ニューヨーク間は光の速度でも約70ms
処理遅延ルーターやサーバーがデータを処理する時間ルーターがパケットを解析・転送する時間
キューイング遅延通信が混雑して順番待ちする時間昼休みにアクセスが集中して詰まる
伝送遅延データを回線に送り出す時間大きなファイルを低速回線で送る場合

覚え方:「でん・しょ・きゅー・でん」

4つの遅延の頭文字をまとめると「伝(搬)・処(理)・キュー・伝(送)」。「電車、処理待ち、キューに並ぶ、電線で送る」というイメージで覚えると忘れにくいですよ!

RTT(ラウンドトリップタイム)とは

実務でよく登場する RTT(Round Trip Time)は、データを送って返事が戻ってくるまでの「往復」の時間です。ping コマンドで計測できる値がこれに当たります。

$ ping google.com
64 bytes from 142.250.x.x: icmp_seq=1 ttl=117 time=12.4 ms
                                                       ^^^^
                                                   これがRTT

RTT ≒ 片道レイテンシー × 2(+処理時間)と考えると直感的に理解しやすいです。


歴史と背景

  • 1960年代:ARPANETの研究が始まり、パケット交換ネットワークにおける遅延が初めて本格的に研究される
  • 1990年代:インターネットの商用化が進み、Webページの表示速度が遅延の問題として一般ユーザーに認識されるようになる
  • 2000年代:VoIP(インターネット電話)やオンラインゲームの普及により、リアルタイム通信でのレイテンシー問題がクローズアップされる。音声通話では150ms以上で体感品質が低下するとされる
  • 2010年代:クラウドサービスの普及に伴い、データセンターのリージョン(地理的拠点)選びがレイテンシーに直結することが認識される。CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)が普及し、ユーザーの近くにサーバーを置く設計が一般化
  • 2020年代5GエッジコンピューティングによりIoT・自動運転などの超低遅延(1ms以下)要件が登場。レイテンシーの最小化がインフラ設計の中心テーマの1つになる

スループットとレイテンシーの違い

よく混同される「スループット」との違いを整理します。

指標意味道路で例えると
レイテンシー1つのデータが届くまでの時間(速さ)車が出発地から目的地に着くまでの時間
スループット単位時間あたりに転送できるデータ量(量)1時間に何台の車が目的地に着けるか(車線数)

「回線が速い(スループットが大きい)のに、なぜか重い」という場面はよくあります。その原因の多くはレイテンシーの高さです。

スループット vs レイテンシー のイメージ レイテンシー(遅延) 1つのデータが届く「速さ」 📦 → → → → → → 📥 出発 ────────── 到着(12ms) 小さいほど「サクサク」と感じる ⚡ リアルタイム性に影響 単位: ms(ミリ秒) スループット(帯域幅) 単位時間に運べる「データの量」 📦📦📦📦📦📦 →→→ 📥 1秒間に ── 100MB 転送可能 大きいほど「大量転送」が速い 📁 ファイル転送・動画配信に影響 単位: Mbps / Gbps ※ 両方が揃って初めて「快適なネットワーク」になる

業務システムで気にすべき目安

用途推奨レイテンシー(RTT)
一般的なWebアプリ・社内システム100ms 以下
VoIP・Web会議150ms 以下(ITU-T G.114 推奨)
オンラインゲーム50ms 以下
金融取引・高頻度トレーディング1ms 以下
IoT・自動運転(5G)1ms 以下

関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
ITU-T G.114音声通話の片道遅延は150ms以内を推奨と規定
RFC 2544ネットワーク機器のレイテンシー計測手法を標準化
RFC 6349TCP スループット測定のフレームワーク(レイテンシーも考慮)
RFC 8085UDP アプリケーションにおける遅延制御のガイドライン

関連用語

  • スループット — 単位時間あたりに転送できるデータ量。レイテンシーと並ぶネットワーク性能の2大指標
  • RTT(ラウンドトリップタイム) — データの往復時間。pingコマンドで計測できる値
  • ping — ネットワークの疎通確認ツール。レイテンシー計測にも使われる
  • QoS(サービス品質) — 音声や動画など優先度の高い通信を優先処理し、レイテンシーを制御する仕組み
  • CDN — コンテンツをユーザーの近くのサーバーから配信し、レイテンシーを下げる仕組み
  • エッジコンピューティング — 処理をユーザーの近くで行うことで超低レイテンシーを実現するアーキテクチャ