調達プロセス

ベンチマーキング べんちまーきんぐ

比較評価性能測定RFP調達PoCベンダー選定
ベンチマーキングって何?

簡単に言うとこんな感じ!

複数の製品やサービスを同じ条件でテストして「どれが一番速い?安い?使いやすい?」を比べる作業だよ!家電量販店で炊飯器を並べてスペック比較するイメージ。システム選定でも「口だけじゃなく実際に測って決める」ための大事なプロセスなんだ!


ベンチマーキングとは

ベンチマーキング(Benchmarking)とは、複数の製品・サービス・システムを共通の評価基準(ベンチマーク)で測定・比較し、最適な選択肢を判断するプロセスです。「benchmark」はもともと測量用の基準点を意味する言葉で、そこから転じて「比較の物差し」として使われるようになりました。

IT調達の文脈では、複数のベンダーやクラウドサービスを同一条件で評価することを指します。たとえば「データベースAとBに同じ量のデータを入れて、検索にかかる時間を測る」「クラウドストレージX・Y・Zのコストとレスポンス速度を並べて比べる」といった作業がこれにあたります。感覚や営業トークに頼らず、数値と事実で選定根拠を作れるのが最大のメリットです。

システム発注の現場では、ベンチマーキングの結果が社内承認・予算申請の根拠資料としても機能します。「なぜこのベンダーを選んだのか」を説明できるようにしておくことは、情シス担当者にとっても調達担当者にとっても重要なリスク管理です。


ベンチマーキングの種類と構造

ベンチマーキングには目的によっていくつかの種類があります。

種類内容活用シーン
性能ベンチマーク処理速度・レスポンスタイム・スループットを測定サーバー・DB・クラウド選定
コストベンチマーク機能・性能あたりの費用対効果を比較SaaS・クラウド契約の見直し
機能ベンチマーク要件に対する機能の充足度をスコアリングERPやCRM選定
セキュリティベンチマークセキュリティ要件・認証への準拠状況を比較セキュリティ製品・クラウド審査
業界ベンチマーク自社の水準を業界平均と比較IT投資対効果の経営報告

覚え方:「ものさしを揃えてから測る」

ベンチマーキングで失敗しやすいのは「条件がバラバラなまま比べてしまう」こと。AはWi-Fi環境、BはLAN接続で速度を測っても意味がありません。「同じ物差し(ベンチマーク)で測る」ことが大前提。「B(ベンチマーク)=共通のB(Base:基準)」と覚えると忘れにくいです。

評価スコアリングの例

機能ベンチマークでは、評価項目ごとに重み付けをしてスコア化するのが一般的です。

【評価シート例】
評価項目          重み  ベンダーA  ベンダーB  ベンダーC
─────────────────────────────────────────────────────
処理速度          30%      4点       5点       3点
コスト            25%      5点       3点       4点
サポート体制      20%      3点       4点       5点
セキュリティ要件  15%      5点       5点       4点
操作性・UX        10%      4点       3点       5点
─────────────────────────────────────────────────────
加重合計         100%    4.15点    4.05点    3.90点

歴史と背景

  • 1970年代 — 製造業でQC(品質管理)の一環として、他社との比較分析が始まる
  • 1979年 — ゼロックス社が競合他社との詳細な比較分析を実施。これが現代的ベンチマーキングの原点とされる
  • 1989年 — ロバート・キャンプ(Robert Camp)が著書 Benchmarking を発表し、体系的な手法として確立
  • 1990年代 — IT業界でCPUやサーバーの性能測定にベンチマークが広く使われ始める(SPEC、TPC等の業界標準登場)
  • 2000年代クラウドコンピューティングの登場により、クラウドサービス間の性能・コスト比較ベンチマークが急増
  • 2010年代〜現在 — SaaS選定・調達プロセスの標準化に伴い、機能・セキュリティ・コスト総合評価の枠組みとして定着

ベンチマーキングと関連プロセスの位置づけ

ベンチマーキングはシステム調達プロセスの中で、どの段階で行われるのでしょうか。RFPやPoCとの関係を整理します。

要件定義 何が必要かを 整理する RFP発行 ベンダーへの 提案依頼書 ベンチマーク 評価 条件を揃えて 数値で比較 PoC実施 概念実証・ 試験導入 ベンダー 選定・契約 最終決定 導入・ 運用開始 ベンチマーク評価でやること ✔ 評価項目・重み付けの設定 ✔ 同一条件での性能・機能測定 ✔ スコアリングシートで点数化 ✔ 比較レポートの作成・共有

ベンチマーキング vs PoC:何が違う?

比較軸ベンチマーキングPoC(概念実証)
目的複数候補を比較して絞り込む特定候補が「使えるか」を確かめる
対象数複数のベンダー・製品通常1〜2候補
期間比較的短期(数日〜数週間)数週間〜数ヶ月
成果物比較評価レポート実証結果レポート
実施タイミングPoC前の候補絞り込み段階ベンチマーク後の検証段階

関連用語

  • RFP(提案依頼書) — ベンダーへの提案を依頼する際に発行する要件書。ベンチマーキングの評価軸はRFPに記載した要件から作る
  • PoC(概念実証) — 候補を絞った後に実際に動かして検証するプロセス。ベンチマーキングと組み合わせて使われる
  • ベンダー選定 — 複数のITベンダーを評価・比較して発注先を決めるプロセス全体
  • SLA(サービスレベル合意) — ベンチマーキングで確認した性能水準を、契約上の保証として定める合意書
  • TCO(総所有コスト) — 導入費用だけでなく運用・保守コストも含めた総合コスト。コストベンチマークで重要な指標
  • RFI(情報提供依頼書) — ベンチマーク前にベンダー情報を収集するために発行する文書
  • 調達プロセス — システム発注の一連の手続き。ベンチマーキングはその中核ステップ