セキュリティテスト

OWASP ZAP おわすぷざっぷ

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OWASP ZAPについて教えて

簡単に言うとこんな感じ!

Webサイトの「防犯チェック係」を無料で雇えるツールだよ!ハッカーが使うような手口でわざと自分のサイトを攻撃してみて、「ここから侵入できますよ」って穴を見つけてくれるんだ。しかも無料で使えるオープンソースなんだって!


OWASP ZAPとは

OWASP ZAP(Zed Attack Proxy) は、Webアプリケーションのセキュリティ上の弱点(脆弱性)を発見するための、無料のオープンソース製ツールです。開発・運用中のWebサイトやWebシステムに対して、攻撃者が試みるような手口を自動的に再現し、問題のある箇所を洗い出してくれます。

OWASP(Open Web Application Security Project) とは、Webセキュリティの標準化・啓発を行う世界的な非営利団体で、ZAPはその団体が主導して開発してきたフラグシップツールです(現在はZAP独自のプロジェクト「ZAPプロジェクト」として継続開発中)。Windows・Mac・Linuxで動作し、GUI(画面操作)とCLI(コマンド操作)の両方に対応しています。

「システムを発注する側」として知っておきたいのは、ZAPを使ったセキュリティテストを開発工程に組み込むよう発注仕様書に明記できるという点です。ベンダーに「ZAPのスキャンレポートを納品物に含めること」と指定するだけで、最低限のセキュリティ検査が担保されます。


ZAPの主な機能と仕組み

ZAPは「プロキシ(Proxy)」として動作するのが最大の特徴です。プロキシとは通信の中継役のこと。ブラウザとWebサーバーの間にZAPを挟むことで、やり取りされるすべての通信を記録・改ざん・再送できます。

機能名概要使いどころ
パッシブスキャン通常の操作中の通信を観察し、問題を検知副作用なし・手軽に開始できる
アクティブスキャン攻撃パターンを実際に送信して脆弱性を探す本格的な診断・テスト環境向け
スパイダー(クローラー)サイト内のURLを自動で探索・列挙テスト範囲の全量把握
ファジング意図的に異常なデータを送り込んで反応を見る入力値検証の穴を見つける
AJAX スパイダーJavaScriptで動くページも探索できるSPAなどモダンWebに対応
レポート出力HTML・XML・JSONなどで結果を出力納品物・証跡管理に活用

覚え方:「ZAP=ザッピングして穴を探す」

テレビのチャンネルをザッピング(次々と切り替え)するように、Webサイトのあちこちを次々と試して穴を探す——そんなイメージで「ZAP」と覚えると忘れにくいですよ。

ZAPが検出できる主な脆弱性(OWASP Top 10より)

脆弱性の種類具体的なリスク
SQLインジェクションDBの情報が盗まれる
クロスサイトスクリプティング(XSS)ユーザーのブラウザで悪意あるスクリプトが実行される
認証の不備パスワードなしでログインできる状態
セキュリティヘッダーの欠如ブラウザのセキュリティ機能が無効になっている
機密情報の漏洩エラーメッセージにシステム情報が表示される

歴史と背景

  • 2001年 — OWASPが設立。Webセキュリティの標準化活動を開始
  • 2010年頃 — ZAPの前身となるプロジェクトが開始。商用ツール「WebScarab」の後継として位置づけられる
  • 2011年 — OWASP ZAP 1.0 正式リリース。OWASPのフラグシッププロジェクトに認定される
  • 2015年頃 — CI/CDパイプライン(自動ビルド・テストの仕組み)への統合機能が充実し、DevSecOps(開発・運用・セキュリティの統合)の文脈で広く使われ始める
  • 2020年 — バージョン2.10リリース。APIスキャン機能が大幅強化
  • 2021年 — OWASPから独立した「ZAPプロジェクト」として継続開発体制に移行
  • 2023年以降 — ZAP 2.14系。自動化フレームワークの強化・Docker対応が進み、クラウド環境でのセキュリティテスト標準ツールとして定着

ZAPの動作構造と関連ツールとの比較

ZAPがどのように通信の間に割り込むか、構造を図解します。

ブラウザ (テスター) OWASP ZAP ・通信を記録・改ざん ・攻撃パターンを自動送信 ・脆弱性を検出・報告 Webサーバー (テスト対象) ZAPが行う主なチェック SQLインジェクション テスト XSS(クロスサイト スクリプティング) セキュリティ ヘッダー検査 認証バイパス検査 情報漏洩検査 ディレクトリ探索

ZAPと類似ツールの比較

ツール名種別費用主な用途特徴
OWASP ZAPOSS無料Webアプリ診断全般GUI・CLIともに充実。CI/CD統合も可能
Burp Suite Community商用(無料版あり)無料〜有料Webアプリ診断プロ向け。手動テスト機能が豊富
Burp Suite Pro商用有料(高額)本格ペネトレーションスキャン機能が大幅に強化
NiktoOSS無料Webサーバー診断CLIのみ。軽量・シンプル
Nessus商用有料ネットワーク全般インフラ含む広範囲の診断

発注担当者へのヒント: ZAPは無料・オープンソースのため、ベンダーへの追加費用なしに「ZAPスキャンの実施と結果報告書の提出」を要件に含めることができます。予算を抑えながらセキュリティの最低ラインを担保する手段として有効です。


関連する規格・RFC

規格・RFC番号内容
OWASP Top 10Webアプリの代表的な脆弱性トップ10。ZAPの検出項目の基準となっている
OWASP Testing GuideWebアプリセキュリティテストの包括的なガイドライン
RFC 7235HTTP認証の仕様。ZAPの認証バイパステストの検査基準
RFC 6265HTTPクッキーの仕様。セッション管理の脆弱性検査に関連

関連用語