Webシステム発注初心者ガイド
第9話
リリース―本番へ、いよいよ公開
リリース前にやること
検収が完了した翌日、C社から「本番リリースの準備に入ります」と連絡が来た。
「検収OKならもう完成じゃないの?」と思っていたら、リリース前にやることがまだたくさんあった。
テスト環境での確認はできたけど、本番環境は別物なんだよね。リリース前に確認することが色々あるよ。
リリース前チェックリスト
- 本番サーバーの準備:サーバーの設定・ドメイン・SSL証明書
- データ移行:既存の顧客マスターや製品データを本番DBに投入
- ユーザー登録:実際に使う8名分のアカウント作成
- 最終動作確認:本番環境でも主要機能が動くか確認
- バックアップ設定:データが消えたときの復元手順
- 障害連絡フロー:何かあったときC社にどう連絡するか
データ移行という難関
意外と手間がかかったのがデータ移行だ。
既存の顧客マスターはExcelファイルに散らばっていた。8人分の担当者が持つExcelを集めて統合しようとしたら、フォーマットがバラバラで、重複している顧客も多かった。
普通というか、よくある落とし穴だよ。
データクレンジング(データの整理・統一・重複除去)は、システム開発の見積もりで軽く見られがちだけど、実際はかなりの工数がかかるんだ。
今回のように発注者側でExcelを整理する場合も、C社にCSVを渡してDBへ投入してもらう場合も、事前に「どのフォーマットで何件のデータを移行するか」を確認しておくべきだったね。
次回以降のシステム化があれば、「データ移行」も開発スコープに明示することをオススメするよ。
社内向けトレーニング
リリース2週間前、社内でトレーニングを実施した。
C社が操作マニュアルを用意してくれたが、8ページのPDFを渡しても誰も読まないのが現実。なので、実際に全員で画面を触りながら「見積書を1件作って申請する」操作を30分でやってもらうことにした。
読まない人が多い、というのが現実なんだよね。
ハンズオン形式(実際に手を動かしてもらう)の方が定着率が高いよ。操作を一緒にやりながら「ここはこうする」「こういうときはこのボタン」という説明の方が身につくから。
さらに、「よくある質問」をまとめたQ&Aを別途作っておくと、リリース後の問い合わせが大幅に減るんだ。今回は主な操作を画面キャプチャ付きでまとめた1枚ものチートシートを配ったら好評だったよ。
リリース当日
リリース当日は月曜の朝を選んだ。週の最初の方が「問題が出ても修正の時間がある」からだ。
C社が本番環境への切り替えを実施し、午前9時に「リリース完了しました」の連絡が入った。
その日の午後には、早速「あれ、この操作ってどうするんでしたっけ?」という質問が数件来た。想定内だ。
まずは深呼吸してね。リリース直後に多少の混乱が起きるのは普通のことだよ。
やっておくといいこと
- C社との緊急連絡フロー確認:「本番で動かなくなった」場合の連絡先と対応時間
- リリース後1〜2週間は様子見:通常業務を止めるほどの問題でないか確認
- フィードバック収集:使ってみて気になった点をメモしてもらう
「致命的なバグ」と「改善要望」は分けて管理しよう。バグは即対応、改善要望はフェーズ2以降のリストへ。
リリース後1ヶ月
1ヶ月後、現場から声が届いた。
「前は見積書を送るまで平均3日かかっていたのが、1日以内で出せるようになりました」
「承認がどこで止まっているかリアルタイムでわかるようになって、催促しなくてよくなった」
Excelでの作業時間が減った分、営業が顧客対応に使える時間が増えたと営業部長も喜んでいた。
お疲れさまでした!でも、まだ旅は終わっていないよ。
フェーズ2で先送りにした「発注受付・請求書発行」もあるし、何よりシステムは作って終わりじゃなく、使い続けることで価値が出るんだよね。
最終回は、今回のプロジェクト全体を振り返って、次に活かすポイントをまとめていこう。