Webシステム発注初心者ガイド
第6話
契約の基本―請負と準委任、どちらを選ぶ?
「請負」と「準委任」
C社から契約書のドラフトが届いた。表紙に「準委任契約」とある。
「あれ、請負じゃないの?」と思いながら、違いを調べ始めた。
大きな違いは「何に対してお金を払うか」だよ。
請負契約は「成果物の完成」に対して払うんだ。完成しなければ報酬は発生しない(完成責任がある)。家の建設工事のイメージで、「家が完成したら代金を払う」という感じだね。
準委任契約は「作業をすること」に対して払う。成果物が完成しなくても、作業した分は報酬が発生するよ。弁護士への相談料のイメージで、「相談した時間に対して払う」という感じ。
それぞれのメリット・デメリット
| 請負契約 | 準委任契約 | |
|---|---|---|
| 成果責任 | あり(完成しなければ不払いも) | なし(作業した分は払う) |
| 要件変更 | 追加費用が発生しやすい | 柔軟に対応しやすい |
| 発注者のリスク | 仕様変更でコストが跳ねる | 完成しなくてもお金が出る |
| 受注者のリスク | 見積もりが甘いと赤字になる | 収益が安定しやすい |
| 向いているケース | 要件が固まっている | 要件が変わりやすい・試行錯誤型 |
要件定義書があっても、開発中に「ここの仕様、実は違いました」「この機能、追加してほしい」という変更は必ず起きるんだよね。
請負の場合、変更のたびに「追加費用の協議」が必要になる。変更が多いと追加費用でどんどん膨らんで、最終的に準委任より高くなることもあるから。
初めての発注で、かつ要件が多少ブレる可能性があるなら、準委任の方がリスクを取りやすい場合もあるよ。C社が準委任を提案してきたのも、それが理由かもしれないね。
契約書で確認すべき項目
どちらの契約形態であれ、以下の点は必ず確認する。
契約書チェックリスト
- 納期・マイルストーン:いつ何を納品するか明記されているか
- 検収条件:「何をもって完成とするか」の基準が書かれているか
- 支払条件:着手金・中間払い・納品後払いの比率と時期
- 変更管理:仕様変更時の手続きと追加費用の決め方
- 知的財産権:開発したシステムの著作権・ソースコードの所有権は誰か
- 秘密保持(NDA):自社情報の取り扱いについて
- 瑕疵担保責任:リリース後に不具合が出た場合の対応期間
ならない場合があるんだよ。特に指定しないと、開発会社が著作権を持つケースがある。
なぜ重要かというと、将来「別の会社に保守をお願いしたい」「自社でソースを修正したい」というときに、元の開発会社の許可が必要になったり、ソースコードを渡してもらえなかったりするトラブルが起きやすいから。
ソースコード・ドキュメント類の著作権は発注者に帰属すると明記させてね。これは必須だよ。
着手金と支払いスケジュール
C社から提示された支払い条件は以下の通りだった。
| タイミング | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 契約締結時(着手金) | 114万円 | 30% |
| 開発完了時(中間払い) | 152万円 | 40% |
| 検収完了時(残金) | 114万円 | 30% |
契約内容によるけど、基本的には戻らない前提のことが多いよ。
着手金は開発会社にとって「準備・体制確保のコスト」だし、発注者にとっては「本気度の証明」でもあるんだ。
リスクを下げるには、着手金の割合を低くする交渉をするか、「キックオフ後に完成しなかった場合の返金規定」を契約に盛り込む方法もある。
大切なのは、契約書をしっかり読んで不明点は必ず質問すること。「なんとなくサインした」だと後で困るのは自分だからね。
弁護士レビューは必要?
契約書は法的な文書なので、不安であれば弁護士に確認してもらうことも検討に値する。
中小企業向けの顧問弁護士サービスや、スポットで契約書レビューを依頼できる弁護士事務所もある。数万円でレビューしてもらえるケースが多く、高額な開発費用と比べれば保険として十分元が取れる。
よかった!契約完了、おめでとう!
次はいよいよ開発スタートだね。キックオフミーティングから始まって、実際にシステムが形になっていく過程を一緒に見ていこう。