#01 人工知能入門 DNN基礎

人工知能とは何か——「賢さ」を機械に教える

AIって結局何なの?

「AI(人工知能)」という言葉はもはや日常語になりました。スマートフォンの音声アシスタント、メールのスパムフィルタ、翻訳アプリ——これらはすべてAIの産物です。でも「AIとは何か」と聞かれると、意外と答えに詰まりますよね。

一言で言うと、AIとは「コンピュータに人間のような判断や推論をさせる技術の総称」です。

ただ、「人間のような」という表現はあいまいです。もう少し具体的に見ていきましょう。


プログラムとAIの違い

通常のプログラムとAIの最大の違いは「ルールを誰が書くか」です。

通常のプログラム:
  人間がルールを書く → コンピュータがルール通りに動く

機械学習(AIの一種):
  人間がデータを与える → コンピュータが自分でルールを学ぶ

例えばスパムフィルタで考えてみましょう。

従来の方法(ルールベース): 「“お得”という言葉が含まれていたらスパム」「差出人が知らないアドレスならスパム」……というルールを人間が手作業で書いていきます。でもスパム送信者はすぐにルールをかわす新しい文面を考えます。いたちごっこです。

機械学習の方法: 大量の「スパムメール」と「正常なメール」のサンプルをAIに見せます。AIは自分で「スパムに多いパターン」を学習し、新しいメールが来たときに「これはスパムっぽい」と判断できるようになります。

つまり、学習データから自動的にルールを生成するのが機械学習です。


AIの構造を整理する

AIという言葉の中に、いくつかの概念が入れ子になっています。

AI(人工知能)
└── 機械学習(Machine Learning)
    └── ディープラーニング(Deep Learning)
概念意味
AIコンピュータに知的な動作をさせる技術全般チェスAI、翻訳、音声認識
機械学習データから自動的にルールを学ぶ手法スパムフィルタ、推薦システム
ディープラーニング多層のニューラルネットワークを使った機械学習画像認識、ChatGPT

ディープラーニングは機械学習の一種であり、機械学習はAIの一種です。「AIとディープラーニングは別物か?」と聞かれたら、ディープラーニングはAIの中の特定の手法と答えると正確です。


なぜディープラーニングが注目されているのか

機械学習には昔からさまざまな手法がありました。決定木(データを木構造で分類する手法)、SVM(サポートベクターマシン、データを超平面で分ける手法)など。それでも2010年代にディープラーニングが一気に注目を集めた理由は3つあります。

  1. 大量のデータが手に入るようになった(インターネットの普及)
  2. GPUで並列計算が高速化した(GPUはもともとゲーム用の画像処理チップ)
  3. 多層ネットワークの学習が実用的になった(アルゴリズムの改善)

この3つが揃ったことで、画像認識の精度が人間を超えるレベルに達し、AI革命が起きました。


身近なAIの例

アプリ・機能使われているAI技術
音声アシスタント(Siri, OK Google)音声認識 + 自然言語処理
翻訳(DeepL, Google翻訳)ニューラル機械翻訳
スパムフィルタテキスト分類
顔認証画像認識(CNN)
レコメンド(Netflix, YouTube)協調フィルタリング
ChatGPT大規模言語モデル(LLM)

これらはすべて「大量のデータから学習したモデル」が動いています。


まとめ

  • AIとは「コンピュータに人間のような判断をさせる技術」の総称
  • 機械学習は「データから自動でルールを学ぶ」アプローチ
  • ディープラーニングは機械学習の一手法で、多層のニューラルネットワークを使う
  • 大量データ・GPU・アルゴリズム改善の3つが揃ってAIブームが生まれた

次回は、ディープラーニングの核心であるニューラルネットワークが何をしているのかを見ていきます。